米中に対して「解決できるのは日本だけ」と存在感を示すべき 〜岸田総理がCOP26に出席

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月2日放送)に作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が出演。岸田総理がCOP26出席のため、イギリスへ向けて出発したというニュースについて解説した。

2021年11月2日、会見する岸田総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202111/02bura.html)

岸田総理大臣がCOP26出席のため、イギリスへ出発

気候変動対策を話し合う国連気候変動枠組み条約の第26回締約国会議(COP26)は、イギリス北部グラスゴーで現地時間11月1日から首脳級の会合が始まった。イタリアで開かれていた20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席していたアメリカのバイデン大統領など各国首脳らも参加する。また岸田総理もCOP26出席のため政府専用機で羽田空港を出発した。

飯田)世界の平均気温の上昇を1.5度以内に抑えることで、すべての参加国が一致できるかということが焦点だと言われております。岸田さんにとって、対面での外交はこれが初めてになります。

総理大臣と外務大臣では役割が違う

青山)逆に国際社会からすると、日本の新しい総理を始めて見る場となるのです。岸田さんが外務大臣をいくら長くやっていらしても、役割が全然違いますので、ほとんど関係ありません。

米中に対して日本の考えをはっきりと示すべき

青山)米中対立のど真ん中に行くわけです。ここで「日本ここにあり」というものを見せなければならない。国際社会で通じるような、アメリカに対しても、中国に対しても「日本はこう考えます」ということを言わないといけません。

飯田)米中それぞれに対して。

青山)COP26で言うと、いくつも大きな問題があるのですけれども、「世界が一致してこの程度の対策しかできないのか」という現状にあるわけです。国連加盟国だけで193ヵ国もあるので、それを調整することは至難の業ですけれども。はっきりしているのは、どこの国であっても「気候変動の影響を受けない国はありません」ということです。1つとして逃れられる地域はないので、一致点を探さないといけないのです。

気候変動はすべての国に影響する

青山)一致点を探しても、産業革命以前に戻せるわけではないので、戻せないことを前提に、気候が戻らない上での対策も取らなければいけない。例えば島嶼国だと海面が上昇して水没する可能性もあるわけです。

飯田)そうですね。

青山)そういうことも含めてやらなければならないので、岸田総理が役所も含めた調整で、現地滞在が数時間というのは本当に私はよくないと思います。その前のローマでやったG20のオンラインも含めて、もっと積極参加すべきだったと思います。国際社会は勘案してくれません。「総選挙だったから仕方ないよね、新総理になったばかりだから仕方ないよね」ということは一切なく、全部いきなり本気勝負なのです。

飯田)国際社会は。

青山)まず中国に対して、気候変動の国際協力を逆手に取り、中国が行っているウイグル、チベット、南モンゴル、香港をはじめとする深刻な人権抑圧を飲みこんで「中国に協力しろ」という姿勢を見せているのはおかしいと。「課題が違いますよ」と言うべきです。中国国民も中国政府も、みんな気候変動の犠牲者になってしまうのです。「中国の方から歩み寄らなければならない」ということをきちんと言うべきです。

飯田)中国に対して。

青山)アメリカに対しても、「すべて中国だけが悪い」という表現ではいけないと思います。いままではアメリカが主導して世界の産業を、よく言えば盛り立てて来た。しかし、逆に言うと、気候変動の大きな中心になっているわけです。その根っこまで掘り下げて、アメリカ自身も謙虚になって、はじめて中国に対してものが言えるのです。

習近平主席、SCO・CSTO合同サミットに出席(北京=新華社記者/黄敬文)= 2021(令和3)年9月18日 新華社/共同通信イメージズ

米中に対して「地政学的にも解決できるのは日本だけ」と存在感を示すべき

青山)バイデン大統領は、「中国とロシアに失望した」とおっしゃっています。それは先制パンチなのですけれども、この先制パンチはあまり有効だと思いません。ただうまく行かなくなるだけではないかということを懸念しています。

飯田)その先制パンチは。

青山)そうなるとイギリスのグラスゴーで開いていても、中国とアメリカのど真ん中にいるわけですから、注目すべき存在はイギリスよりも日本なのです。通常は日本はアメリカ寄りになるのです。同盟国ですからそれでいいのですけれども、地政学的には中国のすぐ隣です。太平洋の真ん中にハワイがあって、その意味ではアメリカと踵(きびす)を接しているわけです。その地政学的な日本の位置をきちんと全面に押し出して、「解決できるのは日本です」ということを押し出すべきです。「ここにあり」ということを。

これまでとは日本外交のいる場所が違う

飯田)アメリカと中国の気候変動に関しては、国務長官を務められていたケリーさんが特使となっていますが、「中国に対して譲歩してしまうのではないか」という危惧が報じられています。

青山)ケリーさんを起用した人事はいい人事だと思うのですが、動き出してみたら、おっしゃる通りに、「中国に押し切られてしまうのでは」という懸念が高まっているのは事実です。しかし、だからケリーさんから誰かに代えるという話ではないと思います。それはバイデン大統領の指導力の発揮場所ですし、アメリカに役割を果たしてもらわないと困るのです。

飯田)アメリカに。

青山)これだけ米中がガチンコでぶつかってしまって、身動きが取れなくなっている。そうなれば、GDPで米中に次ぐのは日本なのです。GDPが大きいということと、気候変動とは関係があるわけです。日本も努力しているけれども、相対としての責任を考えたら、いままでとは日本外交のいる場所は違うのです。ポーランドやチェコ、スロバキアなど、ある意味隠れた親日国がありますが、そういうところが改めて日本に注目していることをとても感じます。

飯田)日本外交の立ち位置がこれまでとは違う。

青山)いままでであれば、「日米同盟ですから」、「敗戦国ですから」と。そういう殻を自分で破らないといけないのです。その最初の担い手が、岸田総理なのです。

長い外交経験でアドバンテージを持つ岸田総理

青山)「外務大臣時代の実績は関係ないと思わなければいけない」と言いましたが、別の面で見ると、それでも人脈はあるはずです。

飯田)特に岸田さんが外相になった当初のオバマ政権時代は、いまの国務長官であるブリンケンさんが国務副長官でしたし、幹部に顔見知りはいるわけですよね。

青山)そうです。だから前総理の菅さんはそこで苦労されたわけですから。ブリンケン国務長官は、バランスがとても取れていると思います。それからCOP26と直接的に関係する話ではないけれども、サリバンさんという……。

飯田)サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)。

青山)サリバンさんも上質な政府高官だと思います。そういう人とのつながりは活用できます。岸田総理は、本当はアドバンテージを持っていらっしゃるのです。外交経験が長いということで。

岸田総理には殻を脱ぎ捨てていただきたい

青山)ただし、外務大臣としての外交と、日本国総理としての外交はまったく別物なのです。人間社会は面白いですね。

飯田)やはり立場で、背負うものが違うし。

青山)会社で言えば代表権を持っている社長と、外務大臣というのはある意味で平取、取締役営業部長ですよ。それと代表取締役社長はまったく違うでしょう。

飯田)見えている世界が違う。

青山)その通りです。期待されるものも違う。そのなかで、岸田総理には殻を脱ぎ捨てていただきたいです。

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