内閣府の「需給ギャップ」を鵜呑みにしてはいけない 〜高橋洋一が「街角景気」を解説

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月10日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。内閣府が発表した10月の景気ウォッチャー調査について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

街角景気10月調査、大幅改善

内閣府が11月9日に発表した10月の景気ウォッチャー調査によると、景気に敏感な小売店主らに聞いた「街角景気」の現状を3ヵ月前と比べた判断指数は、前の月と比べて13.4ポイント上昇の55.5となり、2ヵ月連続で改善した。2014年1月以来、7年9ヵ月ぶりの高水準となっている。

飯田)景気ウォッチャー調査は信用できますか?

高橋)比較的当たっているというところでしょうか。街角の感覚をそのまま出しているのですが、いい話ですよね。コロナが落ち着いて来て、景気がよくなっているという明るい話なのですけれどね。

飯田)そうですね。

高橋)このような調査を見ながら、よく補正予算の議論を遅らせたりするのですよ。

飯田)議論を遅らせたりする?

高橋)調査結果がいいと、文句が来にくいのですよ。だから遅らせることができるのです。

飯田)「街場の景気が上向いているぞ」というものがあると。

高橋)補正予算の経済対策は、あと1週間くらいで出すでしょう。ですから補正予算は11月中に出せばいい。実際、国会は来月(12月)になるとかね。

景気対策はいいときにタイミングを逃さず行うべき 〜給付金はとにかくスピード感

飯田)「7年9ヵ月ぶりの高水準」とは言いながら、コロナでへこんだ分があるのだからと。

高橋)「55.5」という数字については、50を超えたらいい方なのだけれど、その前が悪過ぎましたから。

飯田)コロナ禍で。

高橋)こういうときには景気対策を急いで、先に出すといい調子で上がるのですけれどね。逆に議論を送らせると、タイミングを逃してしまうことにもなるのです。

飯田)タイミングを逃す。

高橋)上がりかけているときに「ポンッ」とやるのがいちばんいいのです。だから、給付金の話などはとにかくスピード感ですよ。

需給ギャップ 〜内閣府推計「22兆円」に対し高橋洋一氏の推計では「35兆円」

飯田)肌感覚の部分では景気が少し上がって来たという感じがあります。一方で、同じく内閣府が発表した景気動向指数等々、9月の話ですけれども、まだまだ厳しい数字も並んでいます。

高橋)私はこういうときにGDPギャップと言って、本来の「ほとんどの人が働けるレベルの仕事量を確保するGDP」と、いまのGDPの差を見て景気対策を決めます。その推計を私は自分でしていますが、35兆円くらいあります。

内閣府の需給ギャップを鵜呑みにしてはいけない

高橋)その差はかなり大きいですよ。開いています。こういうものは放っておくと、半年くらいあとの雇用が危なくなるという状況なのです。

飯田)需給ギャップは、内閣府の推計だと「22兆円」と書いてありますけれど。

高橋)あれは蹴上げが入っているのです。いちばん上のところを少し低めに見積もっているのですよ。内閣府の推計だと、失業が多いところを見ているわけです。簡単に言うと、前は550兆くらいあったけれど、「いまはそれより30兆くらい低いでしょう」という言い方の方が簡単なわけです。

飯田)要するに、100%の実力を出したら稼げるGDPの額を低く見積もれば、その差は縮まると。

高橋)それは需給ギャップが小さく見えますよ。だから逆に言うと、需給ギャップが埋まっていても、物価が上がらないという状況になるわけです。

飯田)その推計値通りに需給ギャップが埋まっても。

高橋)だから実績値が、内閣府の推計値を上回れば普通、物価が上がるはずなのに、上がらないのです。

飯田)なるほど。

高橋)すぐに「これは想定しているところが低過ぎる」とわかりますよ。私はそれを補正して計算しました。そうすると35兆円くらいになるのです。

飯田)なるほど。確かにコロナ前の景気がいいときは、550兆くらい日本は稼げていたと。

高橋)本来であれば、少しずつ伸びて行くというところを想定して、いまの水準を見るような形でやった方がいいのです。内閣府の需給ギャップを鵜呑みにして言う人がいるのだけれど、そもそも目指すべき水準が違っているということが問題なのです。

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