安倍元総理が「安倍派」会長へ就任する「もう1つの理由」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月11日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。安倍晋三元総理が会長に就任する「安倍派」について解説した。

【衆院選2021 政治】車内から窓を開け手をふる安倍晋三元首相=2021年10月21日午後、横浜市のJR桜木町駅前 写真提供:産経新聞社

安倍派

自民党の安倍晋三元総理大臣は出身派閥の細田派幹部から、派閥への復帰と会長への就任を要請され、11月11日、正式に会長に就任し、細田派は「安倍派」となる。

飯田)もともと会長だった細田さんが衆院議長に就任し、「では誰が」というところで、安倍さんになった。総理、総裁になると派閥から抜けるという慣例があるのですが、安倍さんは総理を辞められたあとも、無派閥でした。

鈴木)いろいろな影響力を考えると、派閥には一線を画して立場をキープしておいた方が、発言もしやすいし、行動もしやすいのだと思います。派閥会長というのは、自民党のなかではそれなりの権力者ですから、派閥会長にならないよりはなった方がいいのでしょうけれども。安倍さんの場合は、長期政権のなかで安倍さんを中心とした権力構図ができ上がっていましたから、会長をやらなくても、ということだったのでしょう。

林外務大臣の人事の裏にある「安倍家と林家」の関係

鈴木)けれども、バックアップしてあげて、ある意味の流れをつくった岸田さんが、ここへ来ていろいろと岸田色を出し始めた。今度の林外務大臣の人事でも、安倍さんとは少し摩擦があったという話もあります。

飯田)地元の山口では、中選挙区時代から凌ぎを削っていたという話があります。

鈴木)よく林芳正さんが乗り込んでいた選挙区の、河村建夫さんとの対決だと言っているけれど、実はそうではなく、「林家と安倍家の戦い」ですよ。私は北九州報道部のときに、安倍晋太郎さんと林義郎さんの選挙を取材しましたけれど。

飯田)福岡の局だと山口はカバーしていたのですね。

鈴木)すごかったですよ。ライバルということもあって、衆議院に鞍替え云々のときも「安倍家と林家」という話があった。その林さんを、岸田さんは外務大臣にしました。安倍さんは安倍さんで、それなりに腹案があったということです。これは取材した人がそう言っていました。そんなこともある。

安倍派として派閥の構図を変える 〜岸田総理へのある思いも

鈴木)安倍さんとしては、これからも発言力を強めたい。そして、外交でもこれまで長くやって来た安倍外交の路線が、どうなるかわからないような不安定さも見える。そんな状況のなかで、ここは会長を引き受け、安倍派としてより発言を強めて、いわゆる派閥の構図を変えるという方向に行くのでしょう。

飯田)安倍派として。

鈴木)誰もが普通に「安倍さんは会長になるだろう」と思っていたけれど、安倍さんとしては自分からズカズカ行くより、「安倍さん、来てください」という環境をつくって迎え入れられないと、力が発揮できない。そのタイミングを計っていたのだろうと思います。

飯田)なるほど。

鈴木)高市さんの処遇にしても、萩生田さんの官房長官をめぐる対応にしても、今回の林さんの外務大臣に関する話にしても、腹のなかでは人事を含めて岸田さんに対し、「相談をして来る割には、全然違うではないか」という場面があったのだと思います。これは安倍派となると同時に、党内でのある種、派閥間の……。

麻生氏の大宏池会構想と安倍派

飯田)盟友と言われている麻生さんとの関係性があります。麻生さんは副総裁になって、かつ大宏池会構想などもある。

鈴木)岸田さんに近いのではないかと言われています。

飯田)ここにも溝が、ということを週刊誌で面白おかしく書いたりするところがありますが。

鈴木)麻生さんの周辺に聞くと、麻生さんは大宏池会を目指していると思います。しかし岸田さんが、いいのか悪いのかわからないけれど、元気になっているので、岸田さんが簡単に麻生さんと組むかについては「どうかな」という感じだと言われているし、麻生さんは安倍さんとは盟友ですから。大宏池会をやってしまうと、第1派閥をめぐる戦争になってしまいます。

飯田)数と数をめぐる。

鈴木)そういうことです。その意味では、麻生さんは安倍さんにも気を使いながら、大宏池会構想も一気には進めず、パワーバランスを見ながら動くことになる。当面は大宏池会は無理だろうけれど、もしかすると……というところです。

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