困窮世帯への「補填」と「経済対策」は分けてやるべき 〜10万円相当給付

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月11日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。岸田総理が表明した10万円相当の給付金について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

岸田総理、年収960万円の所得制限で10万円相当の給付を表明

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2021年11月9日、発言する岸田総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202111/09kaigi.html)

国民全員に一律で配り、収入の多い人は課税所得にして年末に調整する

鈴木)中身はこれからだけれど、「使え」ということは、「市中にお金を回そう」ということです。それは私が言った「経済対策」に近いわけです。もしくはコロナと経済をミックスしてしまった。そういう意味では、私は今回の10万円について、「補填」の部類に入るお金だと思います。産経新聞が記事にした学生への対応もそうだし、非正規の人もそうだし、そういうところに対しての補填です。そう考えると、どの分野という色分けをせず、一律にみんなに出すべきです。収入が高い人もいるわけだから、それは年末に調整して、もらい過ぎた人は戻せばいいのです。

飯田)これを課税所得にして。

鈴木)色分けや区分けをして、それぞれに大義がついているけれど、私は何となく逆に総花的な印象を持ちます。もっと集中投下して、自由に使っていいお金にして欲しい。「どうぞ貯金でもしてください。人生設計に役立ててください。そして、こちら側はその上で使ってください」と、その辺りの棲み分けを経済対策のなかでやって欲しいと思います。

飯田)補填に特化するのであれば、マイナンバーがもっと普及していて、収入が把握できているなら、給付付き税額控除もできる。一律で10万円にするというのは、困っている人は貯金なり何なり補填してもらう。「使える人から使ってくださいね」と、「経済を一部回して行かなければならないから」と言う方が、説明もすっきりします。

鈴木)なぜ貯めるのかと言うと、いままで貯金を切り崩して来たため、そこを補填しなければならない。さらに言えば、貯金するのは将来に不安があるからですよね。そのために貯金をするわけでしょう。

社会保障の議論が必要 〜いまから議論しなければ間に合わない

鈴木)不安を解消するために、岸田内閣にやって欲しいのは、社会保障です。総裁選、総選挙と続けてありましたが、「お金を使っても将来が多少は安心だ」という、社会保障に関する仕組みについては議論されていません。

飯田)かつては大きな争点で、「一律7万円」という提案を出す党もありました。

鈴木)私は提案としてはありだと思います。それを議論して欲しいのだけれど、社会保障の議論から逃げている感じがします。社会保障を言うのであれば、「財源は税金で」などという議論になって来る。すると「増税は選挙に馴染まないから今回もまた避けた」という感じがするのです。しかし、将来を考えれば必要なことです。社会保障は一晩でできる話ではないので、いまから議論しなければ間に合わないですよ。

団塊ジュニアの年金受給開始は2040年 〜どう対処するのか

飯田)団塊の世代については2025年問題などと言われますが、後期高齢者化して行く。一方で、団塊ジュニアの存在があり、このボリュームゾーンの年金受給開始が2040年です。ここも1つの山を迎えますが、就職氷河期世代と被っていて、「保険料を払うどころではなかった」という人たちが、このまま生活保護に行くのか。あるいは低年金、無年金をどうするのかという大きな問題があります。

鈴木)大変なことになりますよ。いまの30代〜40代、それよりもっと若い人など、この辺りは少子高齢化で本当に大変なことになる。財源もない。その次の世代の年金を支えるのは、そのときの現役世代です。その数が少なければ、財源はどうするのですか? 年金をもらえませんよね? そういうことを考えると、いまからやらなければいけないのに、まだ逃げ続けているのかということです。

飯田)いまからやらなければ間に合わない。

岸田内閣には社会保障改革を考えて欲しい

鈴木)岸田内閣には命をかけてでも、年金改革も含めて社会保障改革をどうするのかを考えて欲しい。増税しなければいけないのなら、それでもいいです。しかし、一方で維新が言うように、身を切る改革もしながら、とにかくみんなで厳しいことについても考えていただきたい。社会保障から逃げて欲しくないのです。そこがしっかり見えて来れば、お金が増えたら貯金しないで使いますよ。将来を見据えた、社会保障とのセット論というのでしょうか。この辺りも岸田さんがやってくれたらと思います。

飯田)経済成長もさせなければいけない。分配もそうだけれど、成長についても言わないと、いろいろな意味で齟齬が生じます。

鈴木)そうなのですよ。今回は成長がちょっと弱いでしょう。

飯田)会見を見る限りは、分配色が強かった感じがします。12日や19日の補正予算などでメッセージが出るのかも知れないですけれど。

鈴木)経済対策の柱の2つ目、「成長」に注目です。

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