松野官房長官は財務省が言ったことを鵜呑みに? 〜政府はなぜトリガー条項を解除しないのか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月17日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。ガソリン価格が170円を超えた場合、小売価格の上昇を抑えるために補助金を出すという政府の対策について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

ガソリン価格170円超えなら補助金最大5円支給案

萩生田経済産業大臣は11月16日、レギュラーガソリンの平均価格が一定の価格を超えた場合に、石油元売り各社に補助金を出し、小売価格の上昇を抑える緊急の対策を明らかにした。当面は1リットルあたり170円を超えた場合に、1リットルあたり最大5円程度を支給する見通しだ。

なぜ補助金で対応するのか謎 〜元売りが値下げする保証はない

飯田)8日時点で店頭価格の全国平均がリッター169円となっています。

佐々木)なぜ補助金で対応するのか謎でしかありません。元売りに補助金を出すのはいいのだけれど、それで元売りが値下げするという保証は何もありません。

飯田)小売価格にどこまで乗って来るのかという。

なぜトリガー条項を解除しないのか 〜「値下げするとそれまで買い控えが起きる」ことはない

佐々木)結果的に我々の手元に来るときは、同じ金額になるのではないでしょうか。あと、最大の問題は、松野官房長官がトリガー条項を解除して値下げすると……。

飯田)揮発油税等々を減税する。

佐々木)そうすると、買い控えが起きると。何を言っているのかよくわからないですね。例えば、水道料金が値上がりして、これを値下げしなければいけない。「でも値下げすると水の使い控えが起きます」と言っているのとほぼ同じことです。

飯田)そうですね。

佐々木)松野官房長官は現場労働をしていなくて、日曜日に遊びでドライブに行くくらいなのかも知れないけれど、世の中、遊びでドライブに行くためにガソリンを使っている人はごくわずかで、大半は仕事のために使っているわけです。あるいは、私は福井や長野に家を借りているので、3拠点移動生活をしていますが、地方で暮らしている人は車がないと生活できません。

飯田)本当にそうですよね。

佐々木)今夜のおかずを買いに行かなければいけないのに、「ガソリンがもうすぐ値下げするから行くのをやめよう」と言ったら、食べるものがないですからね。仕事にも行けないし、買い控えなんて起きません。

松野官房長官は財務省の言ったことを鵜呑みにしてそのまま言っているだけなのか

飯田)ツイッターでも“タケイッチャン”さんから、「ガソリンを買い控えできるならしてみたいです」とあります。

佐々木)本当ですよね。なぜトリガー条項を解除しないのか。一説には、トリガー条項をつくったのは民主党政権時代だから。

飯田)ガソリン値下げ隊などで盛り上がった。

佐々木)2010年の税制改正でやったので、民主党時代につくった政策を自民党がやりたがらないという意見もあります。一方で松野官房長官が言っていた「値下げすると買い控えが起きる」というのは、よく聞く言葉だなと。財務省ワードです。

飯田)消費税について「コロナ禍で消費税を減税すべきだ。それで消費を喚起すべきだ」という話をしたときに、「いや、買い控えが起こってしまうから」と。

佐々木)要するに消費税を下げるまで買い控えが起きてしまうからと。財務省の言っている考え方とまったく同じで、もしかすると、松野官房長官は財務省の言ったことを鵜呑みにして、そのまま言っているだけなのではないかという気がしなくもないです。

東日本大震災の復興財源を確保しなければいけないために凍結されているトリガー条項

飯田)トリガー条項は、もともと揮発油税などの暫定税率の部分。リッターあたり25円ほど乗っていると言われていますが、そこを期間限定で取らないということは、即座に25円下がるのですよね。

佐々木)東日本大震災の復興財源を確保するため、停止されているわけです。そもそも東日本大震災の復興税を消費税に上乗せしているではないですか。あれもどうかと思われるのだけれど、いい加減、財源の話で延々と議論するのをやめて欲しいという感じがします。

補助金を出すのならば、トリガー条項と同じ25円を暫定措置として出すべき

飯田)国民民主党や維新は共同でトリガー条項を復活させる、凍結解除の法案を出すのだと言っています。しかし、これは立法措置が必要なのですよね。

佐々木)そうですね。スピード感を持つなら補助金という話になるのかも知れませんが、5円ですからね。25円の5分の1でしかない。補助金を出すのならば思い切って25円、トリガー条項と同じ金額にする。それを暫定措置にして、その代わりトリガー条項の解除を立法措置でやるという流れにした方がいいと思います。

飯田)25円の補助金を暫定措置で出して。

佐々木)小出しでやって行くというのは、兵力の逐次投入のような感じになってしまいます。景気回復のための刺激策は「ドカン」とやるから、みんな「おお」と思って一気にお金を使うわけです。逐次投入しても効果がないということは、リーマンショックからの回復のときにもやって、「日本は失敗した」と言われているわけだから、頑張って欲しいですね。

飯田)岸田政権には。

佐々木)こういう小さな「ええ?」という政策が次々に出て来ると、政権に対する不信感が積み重なって、信頼度が落ちて来るのです。いろいろあったけれど、安倍・菅時代は一貫して「景気を浮揚させるのだ」という強い意志を感じたところがありました。消費税増税はしてしまいましたが、その信頼感はあったと思います。岸田さんにはもう少し頑張って欲しいと思います。

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