「シェールガス増産」を言えないバイデン政権 〜米が石油備蓄の市場放出決定

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月24日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。アメリカ・バイデン政権が石油備蓄の市場放出を決定したというニュースについて解説した。

鹿児島県の志布志国家石油備蓄基地 写真提供:共同通信社

米、石油備蓄の市場放出を決定

アメリカ・バイデン政権は11月23日、高止まりする原油価格の対応策として日本、イギリス、中国、インド、韓国の消費国と協調し、石油備蓄を市場に放出すると発表した。アメリカとしては数ヵ月の間に合わせて5000万バレルを放出するとのこと。

飯田)日本も石油の国家備蓄のうち、とりあえず数日分を放出し、売却する案を24日に発表するということです。

高橋)これは為替の介入とそっくりなのですが、ある意味で読まれるとダメなのです。

飯田)読まれるとダメ。

高橋)次の手、その次の手と考えなければダメなのです。この話は先に出ているから、もう読まれてしまったのではないでしょうか。

飯田)「日本などの消費国に対して協調するよう交渉している」と先週、既に出ていますから。

高橋)読まれている。日本の国家備蓄は確か4ヵ月以上あるし、「3ヵ月以上」と厳密に決められているので、1ヵ月ぶんくらい空いています。だから放出できますし、安いときに仕入れた石油なので、いま売れば儲かるのです。

アメリカがシェールガスを増産することが最も効く方法 〜環境問題から言い出せないバイデン政権

高橋)アメリカは産油国だから、シェールガスの増産をするのがいちばん効くのです。「シェールガスを増産するかも知れない」と言った方がいいくらいなのだけれども、バイデン政権がそれを言えるかどうか。「環境重視」と言っているので、言いにくいのですよ。トランプさんであれば言っているでしょうね。

飯田)そうですね。

高橋)本当は、アメリカだけが増産すると言えば、状況はかなり変わるのです。

飯田)それだけで市場は「たくさん出て来るだろう」という先行きで。

高橋)でもそれができないから、同盟国と協調して石油備蓄を市場に放出するということなのですが、本当はアメリカが産油国なので、その地位を鮮明にして増産することがいちばん効くのです。

ガソリン価格に敏感なアメリカ国民

飯田)バイデン政権は選挙も近く、さらに気を遣っているところがありますか?

高橋)それはそうですよ。アメリカ国民はみんな車に乗りますから、ガソリン価格に関心があるのです。価格はもともと安くて、日本の3分の1か4分の1くらいなのだけれども、それでも敏感なのです。

飯田)価格が上がると?

高橋)上がると選挙に負けるという話はよくあります。

飯田)だから何とか抑えたいけれど、シェールが使えないから、ある意味で苦し紛れですか?

高橋)苦し紛れですね。当面はシェールを使えば業者の人も儲かるので、ハッピーだと思いますけれどね。

飯田)石油の値段が1バレルあたり80ドルを超えて来るとなると、採算ラインが相当上回って来ますよね。

高橋)やればいいと思うのですが、そういうことをしないのがバイデン政権らしいなと、これを見ていて思いました。

飯田)シェールガスは岩を砕いて、その間にあるガスなりオイルを抽出する。その際、薬品を使うので環境に悪いということが言われます。

ガソリン税を引き下げるべき

飯田)日本も国家備蓄を放出するということですが、ガソリン価格に与える影響はどうなると思いますか?

高橋)それはよくわかりません。為替の介入と一緒で、読まれてしまったら逆に高くなることもあるのです。

飯田)足元を見られると。

高橋)「読み通りだな」ということで、「弾薬が少ない」と思われて高くなりますよ。であれば、他の政策と組み合わせた方がいいです。ガソリン税を引き下げることがいちばん簡単です。暫定税率だけで20円以上あるでしょう。それで下がります。でも、補助金でやるなどと言っていますよね。

飯田)元売り各社に補助金が出るという話でした。

高橋)あげる人が違います。消費者にあげなくてはいけないのです。だから税金が筋ですよ。

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