世界に出遅れてしまっている日本勢の電気自動車 〜日産、電動化投資2兆円

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月30日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。日産自動車が発表した長期計画について解説した。

日産自動車の「長期ビジョン」を発表する内田誠社長兼CEO。奥は新型電気自動車のイメージ 撮影:2021年11月29日午前 写真提供:共同通信社

日産自動車が「2030年までに新車販売の50%を電気自動車とハイブリッド車にする」という長期計画を発表

日産自動車は11月29日、電気自動車(EV)の開発など電動化を加速させるため、今後5年間で2兆円を投資すると発表した。

飯田)日産では2020年の段階で10%が電動車ということになっているようです。数字が出て来ましたね。

クラフト)久々に日産のいいニュースです。日本企業のなかでは、具体的に量産計画の前倒しで積極姿勢を示しています。投資も2兆円と、かなり大きな金額で積極性が表れていて、いいのではないでしょうか。

電気自動車のパイオニアである日産自動車

飯田)もともとリーフなど、「電気自動車の分野で日産は進んでいる」というイメージもありました。

クラフト)日産は10年前までは、電気自動車の販売1位だったのです。パイオニアなのです。

飯田)1位というのは世界でも?

クラフト)世界でも。テスラが出る前です。いまは7位ぐらいです。それでも日本車では依然1位ですけれども。それだけ日本勢が出遅れているということです。

「最大80万円」という魅力的な補助金 〜民間と政府が一体となって電気自動車を推進する

飯田)補正予算の中身を見ると、補助金も出ているようです。

クラフト)政府が力を貸さないと、なかなか進んで行きません。「EV補助2倍、最大80万円」はかなり大きな補助金ですよね。

飯田)これまでの2倍。確かにそうですよね。新車販売価格にもよるけれども、3分の1から半分ぐらいは補助金で行けると。

クラフト)電気自動車を買いたくなりますよね。でも、これぐらいしないと本格的に産業として動きません。民間と政府が一体となって電気自動車を推進して行くのは、いいことだと思います。

東京工業大学の研究室で試験中の全固体電池=2019年11月21日、横浜市緑区 写真提供:時事通信

全固体電池をどこまで量産できるか

飯田)今回の計画のなかで、「全固体電池」というものが出て来ました。効率がよく、容量も大きいということです。

クラフト)全固体電池をどこまで量産できるかが、最大のポイントです。走行距離も長くなりますし、充電時間も短くなります。使用者からしたら大きなメリットがあります。

飯田)充電時間について、現在の3分の1を目指すということだと、急速充電で10分くらいで行けるかも知れない。

進まない「エネルギー計画」の議論

クラフト)このようにデジタル化が進む一方で、国としての議論が進んでいないのがエネルギー計画です。再生可能エネルギーと原子力を、国として、どういう比率でやって行くのか、化石燃料をどこまで減らして行くのか。そのなかにはいい面だけではなく、電気料金が上がり、安全面でも強化が必要です。早めに政府・国民がその議論をして、同じ方向性を共有して行くことが大事です。

飯田)トヨタ自動車の豊田章男社長などは、「電気自動車の電気をつくるのにCO2をたくさん出すし、電気自動車の電池をつくるのにもCO2を出す。結局エコなのかどうかわからないではないか」と批判しています。

クラフト)そういう意見はそれでいいと思うし、トヨタは水素で自分たちの戦略を見せています。それによって消費者の選択肢が増えることはいいことだと思います。

飯田)あちらを立てればこちらが立たずというように、「電気自動車バラ色の未来! CO2をまったく出しません!」というようなことは起こらないわけですね。

クラフト)「2050年までに排出実質0」と、積極的な目標を立てて進むのはいいですけれど、現実的には無理です。それでも方向性を示して進まなければならない。とにかく、0になるべく近づけるように民間・政府で努力して行くことが重要です。

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