ロシアに「経済制裁」でしか圧力を掛けられない欧米の「それぞれの事情」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月13日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。イギリスで開催され、12月12日に閉幕したG7外相会合について解説した。

ロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ)=2021年10月13日 AFP=時事 写真提供:時事通信

G7外相会合が閉幕

イギリスで開催された先進7ヵ国(G7)外相会合が12月12日、2日間の日程を終えて閉幕した。終了後にはウクライナ情勢に関して、ロシアの軍事圧力を非難するG7外相声明を発表。議長声明では中国の抑圧的な経済政策について懸念を表明した。

飯田)日本からは林芳正外務大臣が出席しました。林さんは今回が初外遊となります。

須田)かつてはG8と言って、この会合にロシアが入っていた時代を考えると、ずいぶん状況が変わって来たなと思います。ロシアは完全に敵対的な構造に入って来て、ロシアのG8復帰は遠のいて行くのだろうなと思います。

「経済制裁」のみでロシアに圧力を掛ける欧米の弱さ

須田)そのことを前提に考えなければならないのですが、EUもそうですし、アメリカもそうなのだけれど、ロシアとの「軍事衝突」についてはまったく選択肢に入っていません。ですから、ヨーロッパもアメリカも「経済制裁」という1枚のカードで、何とかこの局面を乗り切ろうとしている。しかし、それだけでロシアの誘惑を打ち砕くことができるのか。私は経済制裁一本槍ではかなり弱いのではないかと思います。

欧米のロシアへの強いエネルギー依存

須田)なぜそれしかできないのかと言うと、あまりにもEUとロシアとの経済的な結びつきが強いからです。特にエネルギー、天然ガスに関して、ドイツを中心としたヨーロッパの大国によるロシア依存度が高まっているために、なかなかロシアに対して強力な手立てを講じることができない。それが悩ましいところではないかと思います。

飯田)ドイツとの間では「ノルド・ストリーム2」というパイプラインが、ほぼ完成というところまで来ています。

須田)あとは安全性のチェックだけです。それも本来であれば1年くらいかかるところを前倒しして、数ヵ月で終わらせようとしています。それだけドイツには必要なのです。本来であれば建設が終わり、供給されていてもおかしくない時期で、それを前提にエネルギー政策全体を構築していた。それが入って来ないというところで、ドイツとしては、エネルギー価格が高止まりしているために、何とか早くしたい。ここでロシアとの対立を激化するわけには行かないという状況になっているのです。

欧州から「対中国」に軸足を移したいアメリカ 〜欧米の弱腰外交ではウクライナへの侵攻を食い止めることはできない

飯田)アメリカからすると、やはり対中国というところに軸足は移したい。ヨーロッパ正面にそれほど兵力を割きたくないというところはありますか?

須田)まったく割きたくないのです。だから、アメリカですら「経済制裁」としか言っていません。プーチン大統領は強かであり、冒険主義ではあります。それに対して弱腰外交的なやり方で、ウクライナへの侵攻を食い止めることができるかと言うと、そうはならないと思います。

ウクライナを台湾に置き換えると

飯田)プーチンさんが成功事例をつくってしまうと、中国も「うちも兵を出せば……」ということにもなりかねないですね。

須田)ウクライナを台湾に置き換えると、構造的にわかりやすいのではないかと思います。

飯田)よく似ています。そうすると「バイデン大統領はどうする」という話になりますが、動かない、動けない。

須田)その辺りは、ボタンのかけ違いが出て来る可能性もあるのではないかと思います。

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