欧米に比べ日本経済の回復が遅れている「本当の理由」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。政府が発表した月例経済報告について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

月例経済報告、個人消費回復で17ヵ月ぶり上方修正

政府は12月21日に発表した12月の月例経済報告で、景気の基調判断を「このところ持ち直しの動きが見られる」に変更し、令和2年7月以来、17ヵ月(1年5ヵ月)ぶりに上方修正した。新型コロナウイルスの緊急事態宣言を9月末に全面解除した影響で、個人消費の判断を2ヵ月連続で上方修正したことなどが反映された。

世界の国と比較する景気判断 〜インフレ率で判断する

飯田)景気に関する政府の公式見解ということになっていますが。

高橋)月例経済報告などを見る場合、過去と比べますが、実はこういうときには世界の国と比較するのです。

飯田)世界と。

高橋)必ず世界と比較しなければなりません。2020年度当初に新型コロナの感染が始まったので、そのときにガタンと下がった。どういう数字を見て判断すればいいかと言うと、インフレ率を見るのがいちばん簡単なのです。

飯田)インフレ率。

高橋)インフレ率は経済活動の結果だから、「経済活動が盛んになると高くなる」という熱のようなものです。「経済の熱」というインフレ率を見れば簡単です。そのインフレ率を見ると、2020年の初めごろにコロナ禍になったから、「ガタン」と落ちて、世界のどこでもインフレ率がゼロかマイナスになっていた。

2021年当初からインフレ率が上がり始めた欧米 〜上がらない日本

高橋)そのあとも酷い状況が続きましたが、アメリカとヨーロッパは今年(2021年)の初めくらいから上がり始めているのです。アメリカは6%くらいに上がってしまっている。

飯田)そうですね。

高橋)ヨーロッパも4%くらいになってしまっています。そのくらいまでは日本も同じだったのだけれども、そこから差が出ているのです。日本はインフレ率で見ると、ここ2ヵ月くらいでようやくゼロになったという、そんな感じです。

補正予算を執行しなかったことが景気に影響

高橋)なぜこんなに差があるのか。菅政権で補正予算は世界のトップクラス並みにたくさんつくりました。しかし、「執行しなかった」ということが大きく影響しています。3割近く執行しなかったのです。それだけ執行しなければ、景気は上がらないですよ。私はこの執行率の差で、海外との比較をしています。

海外とのインフレ率の差は補正予算の執行率の問題

高橋)今年の初めくらいから差がついてしまったのは、執行率の問題だと思います。

飯田)確かに補正予算は成立しましたけれども、フレームを見ると、前年度の余剰の繰り越し、繰り入れが6兆円以上ある。

高橋)新しいように見えるのだけれども、予算を組んだものを使わないで、それをそのまま同じように使っているということが多いです。新規施策はほとんどないのです。要するに前の使い残しを、また同じように使っているという感じ。どうしてこんなに使い残してしまうのか理解できません。政府のなかで「これは検証しなくてはいけない」と言うと、みんな「そうだそうだ」と言うのだけれど、未だに検証していません。

飯田)予算を積んだところで使わなければ、経済効果はゼロですよね。

高橋)そうですよね。「使わせなかった」のか「使わなかった」のか、よくわからないのだけれど、不思議ですね。

飯田)普通は「年度中に使わないと翌年の予算が取れない」 というようなことが言われますけれど。

高橋)医療関係に関してもわかりません。本来であれば、新型コロナ専用病床が既にたくさんあるはずだったのです。なぜ使わなかったのか、検証すべきことが多いのです。

減税や給付金であれば執行率は100%

高橋)こういう場合、補助金は執行が遅れるので、簡単に消化できる予算は減税や給付金なのです。出せば終わってしまうから。

飯田)出してしまえば。

高橋)減税や給付金は執行率100%なので、そういうものを増やすべきです。補助金系は、「申請を待って行う」などと言うと、そこで止まってしまうことがよくありますから。

飯田)確かに税金もそうだし、社会保険料などでも天引きで取られて、気付かないところで負担が増えていることがあります。

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