日本政府は協調するべき 〜「ウイグル強制労働防止法案」にバイデン大統領が署名

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月24日放送)に元内閣官房副長官・慶應義塾大学教授の松井孝治が出演。アメリカで「ウイグル強制労働防止法案」が成立したというニュースについて解説した。

政協全国委、新年茶話会を開催(北京=新華社記者/鞠鵬)= 2020(令和2)年12月31日 新華社/共同通信イメージズ

「ウイグル強制労働防止法案」がアメリカで成立

アメリカのバイデン大統領は12月23日、新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族の人々の強制労働によって生産された製品のアメリカ国内への輸入を禁ずる「ウイグル強制労働防止法案」に署名し、この法案が成立した。180日後の2022年6月に発効される予定。自治区全体を禁輸対象とするのは初めて。人権をめぐる米中の対立が制裁と報復の応酬に発展する可能性もあり、アメリカに進出する日本企業は厳しい対応を迫られる。

飯田)既に議会で可決されていて、あとは署名待ちという状態でしたが、予想通り署名されました。日本企業には影響が出そうですね。

松井)基本的に日本政府は協調するべきだと思います。どこまでやるかについては、人権と経済のバランスなので、難しい判断ですが。この問題も、日本の国会ではあまり議論にならないので、物足りないですね。

飯田)議論されないですね。

松井)中国という覇権国が歴史的にあり、その周辺に位置する国々は、連携するところは連携しなければいけないし、人権的な価値については主張しなければならないと思います。アメリカの民主党はその先鋭なので、そこに引きずられている感じがします。

中国新疆ウイグル自治区コルラ(庫爾勒)で棉花の摘み取り作業にあたる季節労働者(中国・コルラ)=2006年10月10日 AFP=時事 写真提供:時事通信

中国を追い込みすぎてもいけない 〜気になる「アンチ林外相」的な動き

飯田)アメリカの民主党は伝統的に人権について言及していますが、今回は共和党も含めた超党派であり、ほぼ「賛成一色」という形で法案が成立して来た経緯があります。アメリカ国内の空気感が変わっているということですか?

松井)そのようですね。しかし、制裁が過熱して、「ブロック経済」のようになってはいけないと思います。林外務大臣が日中議連の会長だったということで、やや「アンチ林」的な動きが出ていますが、林さんにはバランスを取ってもらいたいですね。どこまで人権問題を真正面から捉えるのか、そして、どこまでやると逆に中国を追い込みすぎてしまうのかを、彼らが判断するべきだと思います。衆院選での公職選挙法違反容疑の話も含めてね。

飯田)山口県の副知事を含めて、公選法違反の疑いで書類送検されました。

松井)参議院議員から衆議院に鞍替えし、河村建夫さんを押し出した形になっている。そのため、党内的に林さんがマークされて、発言しづらそうなのが気になりますね。だから、中国との関係を重視する人たちも議論するべきだと思います。

飯田)そうですね。

松井)結論から言うと、人権問題にはきちんと対応するべきだと思います。ただ、議論がない。立憲民主党も何も言わないし、自民党内にいる旧来の経世会の人たちも文句を言わない。林さんも言いにくくなっているような顔をしているのは、よくないのではないでしょうか。バランスをどう取るのかということを、国会で議論して欲しいです。

これこそ議論するべき問題

飯田)この政策を決定して行くということになると、中国に対して警戒心を持つのは大事なことだけれど、「嫌いだから全部切ってしまえ」という事態は避けなければならない。きちんとテーブルの上に全部上げた上で、「我々は何を選び取るのか」を決めなければならない。

松井)そういうことを国民にきちんと訴えないから、国民が政治に対して、「胡散臭い」と思ってしまうのです。これこそ議論するべき問題だと思います。

関連記事(外部サイト)