エネルギー価格が上昇しただけで消費動向は上がらない 〜日銀が物価見通しを1.1%に引き上げ

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月19日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。日本銀行が2022年度の物価上昇率見通しを従来の0.9%から1.1%へと引き上げたというニュースについて解説した。

OPECのロゴと石油ポンプの模型=2020年4月(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

日銀、物価見通しを1.1%に引き上げ 〜金融緩和は維持

日本銀行は1月17日〜18日に金融政策決定会合を開き、2022年度の物価上昇率見通しを従来の0.9%から1.1%へと引き上げた。資源価格の上昇などを背景に企業が値上げに踏み切る事例が増えて来たことを反映している。

エネルギー価格が上昇しただけ 〜企業が儲からないので消費動向は上がらない

飯田)ただ、2%の物価上昇目標までには時間がかかるということです。

佐々木)一見すると、物価が上がる方がリフレ政策的にいいのではないかと思えなくはないのだけれど、今回の物価上昇の理由は単なる資源、エネルギー価格の上昇という、ただそれだけです。

飯田)ガソリン代も上がって来ていますしね。

佐々木)エネルギー価格が上昇して物価が上がったのであれば、企業側は何も儲からないので、給料に回りません。

飯田)そうですね。

佐々木)そうすると消費者の消費動向は上昇しないので、結果的に景気は上向きにならない。70年代の石油ショックのころのスタグフレーションと同じ状況になってしまっている。

飯田)石油ショックのころと。

佐々木)だから「物価を上げて、給料を上げて行く」という方向に政策として続いているのだけれど、これだけ原油価格が乱高下していると、どうすればいいのかなという感じがします。コロナ禍はこの根源の1つの大きな要因ですが。

さまざまな要素が絡み合ってエネルギー価格が不安定になっている

佐々木)一方でヨーロッパがここ5年〜10年くらい、再生可能エネルギーにシフトしています。例えばドイツはこれだけ天然ガスの値段が上がっているのに、「原発3基の稼働停止」を発表していますが、大丈夫なのでしょうか。

飯田)発表しましたね。

佐々木)去年(2021年)夏にイギリスでは、異常気象で風がまったく吹かず、風力発電が稼働しませんでした。それが天然ガスの価格を押し上げ、「もう少し天然ガスを増やして欲しい」と言ったら、ウクライナ問題で制裁されている最中のロシアが、ここぞとばかりにギュッと握って来た。「制裁するのなら天然ガスはやらない」というようなことを言い出して、ますます天然ガスの価格が上昇しました。

飯田)天然ガスの価格が。

佐々木)一方で、オミクロン株が出て来る前ですが、新型コロナ感染が落ちついて、原油価格が「ドカン」と下落した。しかし、またオミクロン株が増えて来たため価格が上昇した。いろいろな要素が絡み合って、エネルギーが不安定になっているという状況があります。

この混乱はコロナ禍が終わっても続く

佐々木)コロナ禍が終わったとしても、不安定な再生可能エネルギーに欧州がシフトしていることや、ロシアの地政学的な問題を考えると、当面、この混乱は終わらないのではないでしょうか。

飯田)混乱は続く。

佐々木)そのため、物価上昇によって賃金が上がることへの期待を、枠組みとして維持できるのかどうかは不安だと思います。

飯田)その部分で財政を出すとなったときに、今度は物価との見合いになって来てしまうと。

佐々木)例えばこのままエネルギーが上昇して2%に行ってしまったら、どうするのだという話ですよね。

関連記事(外部サイト)