「人流」より「密度」を減らすべき 〜世の中の“動き”を止めないためのコロナ対策

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月28日放送)に川崎市健康安全研究所・所長で内閣官房参与の岡部信彦氏が出演。新型コロナ感染者の濃厚接触者の待機期間の7日間への短縮について解説した。

新規感染者数を伝えるニュースを流す電光掲示板の下、東京・渋谷のスクランブル交差点を行き交うマスク姿の人たち=2022年1月20日午後 写真提供:産経新聞社

オミクロン株は発病が早いので観察期間は短くていい

新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者の待機期間について、厚生労働省が現行の10日間から7日間に短縮する方向で検討し、28日午後に政府が決定、都道府県に通知した。。オミクロン株の感染急拡大によって濃厚接触者が急増し、社会活動の低下が深刻化しつつある状況を踏まえた。

飯田)オミクロン株の特性などを含め、川崎市健康安全研究所・所長で内閣官房参与の岡部信彦さんに伺います。濃厚接触者の方々の待機期間の、7日間への短縮、この件をどうお考えになりますか?

岡部)濃厚接触者の方に関して、以前は14日間の待機というルールがあったのですが、オミクロン株の場合は潜伏期間が短くなっています。5日間くらいだと考えられていたものが4日間になり、いまは3日間くらいだろうと言われています。ウイルスが変異して、間隔が短くなっている。早く発病するということは、観察期間が短くてもいいということです。

観察期間を考えると7日間になる 〜「社会機能の維持」とのバランスの問題

岡部)どこまで厳密にやるかが重要です。つまり、100%大丈夫という考えでやるのか、95%くらい防げるならばいいのか。しかし、80%では困るだろうと。そのようなところで考えると、7日間であれば、まだ数%くらいの人が感染するかも知れない。

飯田)7日間では。

岡部)100人の濃厚接触者がいたとして、全員が発病するわけではありません。そのうち20%、20人くらいの人に症状が出るのだとすると、さらにそのなかの5%を見込むのか、あるいは無視するかというような計算になるのです。

飯田)5%を見込むのか、無視するのか。

岡部)社会機能は維持しなくてはなりません。100人のうち、100人全員が長い間自宅にいるということでは、皆さん働いているわけですので困ってしまう。バランスの問題だと思います。

30日から新型コロナウイルス感染症の専門病院となる東京城東病院の病室。左奥は新たに設置された陰圧装置=2021年9月29日、東京都江東区 写真提供:時事通信

重症者の割合は低くなっている 〜少しの人の発病は仕方ないとするのか

岡部)重症者がたくさん出るような場合は、やはり慎重にならなくてはいけないけれど、重症者の割合は低くなっています。そこを踏まえて総合的に考えます。

飯田)社会としてどれだけ許容できるのか、ということですね。

岡部)そうですね。だから皆さんが、「1匹の虫も見逃さない」という意識であれば、厳密にやらなければなりません。しかし、「少しは仕方ないだろう」という考え方で、「少しの人」が発病した場合にきちんと治療する、診る、あるいはご本人も気をつけていただくということであれば、動き出すだろうという考えです。

3回目のワクチン接種を受ければ、その分、感染者が少なくなる

飯田)ワクチンの3回目接種についても、いろいろなことが言われています。3回目接種の有効性は大きいと考えていいですか?

岡部)「ワクチンの2回接種で免疫があるのかないのか」という「右か左か」ではなく、免疫が徐々に下がって来るのは事実なのです。3回目の接種は言わば復習で、いままで維持していた免疫が下がって来たときに、刺激を与えるのです。

飯田)刺激を与える。

岡部)だから2回接種した方でも、入院する確率は低い、あるいは重症になる確率が低いと言われていますが、2回接種から時間が経って免疫が下がれば、発病する可能性があるのです。

飯田)そうですね。

岡部)発病すれば、家のなかで子どもにうつしてしまったり、会社に行って同僚にうつすという可能性が出て来ます。3回目接種を皆さんが受けていただくと、その分だけ感染する人が少なくなるのです。

飯田)それだけ感染者が少なくなると。

岡部)ご本人にとっても、重症化する確率が3回目接種で大幅に低くなるのです。2回が無駄だというわけではありません。2回接種を受けた上で3回目の接種をすることがとても有効なのです。接種を受けていない方には、できれば2回の接種を受けていただきたいし、2回接種を受けている方は、もう1回(3回目接種で)復習をしていただきたい。復習をもう1回やってあげると、免疫も上がって来るということです。

酸素・医療提供ステーションで新型コロナウイルスの抗体カクテル療法を実演する看護師(左)=2021年9月17日、東京都調布市 写真提供:時事通信

人流は減らさず、人の密度を減らす

飯田)オミクロン株は、感染力は高いけれど、一方で重症化率は低いと言われています。対策としては、人数を制限すればいいのか、人流を制限すればいいのか。どこに重点を置くべきだと考えられますか?

岡部)人数を減らすことがいいのか、あるいは人の流れを減らすことがいいのかという「どちらか」ではなく、どちらの方がより効果的なのかということになるのです。

飯田)どちらに、より効果があるか。

岡部)本当は「人数も減らして人流も減らす」ということが、感染症対策としてはいいのかも知れませんが、みんなが家のなかに閉じこもってしまうと、世の中は止まってしまいます。

飯田)止まってしまいますね。

岡部)バランスの問題です。人が動くと感染の機会が増えるのですが、オミクロン株の場合でも、ただ動くだけではなく、人が長い時間停滞して、一緒に大きな声で話したりすると、感染する確率が高くなります。そうなると、人の密度を減らした方がよくて、動きの方は仕方ないのではないかと。これも受け入れ体制をどの程度準備していただけるかによると思います。

子どもよりも高齢者の方がリスクは高い

飯田)子どもの接種について、保護者の方は子どもの将来も含めて悩むことが多いだろうと思いますが、その辺りはどう考えたらよいですか?

岡部)若者の感染者が少なくなって来ている分、子どもの感染が多くなっている傾向があります。その一方では、高齢者とワクチン未接種者の感染も拡がっています。

飯田)一方では、高齢者とワクチン未接種者が。

岡部)子どもと高齢者では、どちらの方がリスクが高いかと言うと、やはり高齢者の方がより悪くなりやすい。子どもでも、基礎疾患を持っている子どもには、接種できる準備をしなくてはいけませんが。

3回目接種はファイザー製でもモデルナ製でも免疫は上がる 〜打てる方を打つべき

飯田)ご高齢の方の接種に関して、ファイザー製の予約が埋まっていて、モデルナ製は余っているという話が出ていますが、違いはあるのでしょうか?

岡部)2回目にファイザーを打った方がモデルナを打つ、あるいはモデルナを打った方が3回目にファイザーを打つということでも、免疫はかなり上がりますので、打てる方を打てばいいと思います。

ピークアウト後も感染対策はこれまでと変わらない

飯田)第6波のピークアウトはいつなのでしょうか? 予測するのはなかなか難しいかと思いますが。

岡部)第5波のときのように「シュッ」と上がって、「サッ」とそのまま下がるパターンや、1度上がったものが、だらだらと徐々に右肩下がりになるというパターンなど、いろいろあります。

飯田)そうですね。

岡部)諸外国の例を見ると、1〜2ヵ月でピークアウトしているところもあります。沖縄も大変な状況ではあるのですが、ピークは過ぎて来た感じはあります。ただ、だらだらと下がっているということは、ありがたいことだけれど、患者さんが0になるわけではないので、やはり医療側も注意しなくてはいけません。行政も関わらなくてはいけないし、皆さんも感染しないように対策することはまだまだ必要だと思います。

飯田)引き続き、基本的な感染対策をきちんと行うということですか?

岡部)オミクロン株であろうがデルタ株であろうが、他の病気であろうが、それは変わりません。

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