新たな日銀の審議委員に「リフレ派」を

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月14日放送)に元内閣官房参与で前駐スイス大使の本田悦朗が出演。日銀の審議委員の人事について解説した。

金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の黒田東彦総裁(くろだ・はるひこ)=2021年12月17日午後、東京・日本橋本石町の日銀本店 写真提供:産経新聞社

黒田日銀総裁 〜消費者物価が大きく上昇する可能性は極めて低い

日本銀行の黒田総裁が2月8日、毎日新聞のインタビューに応じた。世界的にインフレ懸念が強まっているが、黒田総裁は「日本の場合、消費者物価が大きく上昇する可能性は極めて低い」と指摘。「2022年度、2023年度に2%になると考えている政策委員はいない」と述べた。

飯田)毎日新聞に単独インタビューが掲載されました。足下の経済、そして審議委員の人事もありますが、まずは足下の経済について伺います。アメリカの物価上昇率に煽られるように、「日本でもインフレが始まっているのだ」という論調もありますが。

本田)日本のインフレは、2%の物価安定目標に行こうという勢いは、まったく消えてしまったわけではないものの、非常に弱いです。エネルギーと生鮮食品を除いたコアコアの指数だと、ほぼゼロ。エネルギーを入れると0.5%くらいです。

飯田)そうですね。

本田)ただし、直近の足元を見ると、携帯電話料金の値下げ効果があるのです。携帯電話料金の値下げが去年(2021年)の春ごろから起こりましたので、ちょうど1年経ったら、その効果が落ちるのです。対前年と比較しますから。去年の春ごろ既に上がっていれば、いま上がってもゼロになります。だから、3月で終わりなのです。

飯田)値下げ効果は。

本田)携帯電話の値下げ効果が落ちたあとは、一時的に上がります。もしかしたら、1%くらいまで上がるかも知れません。でも、これはあくまでも特殊効果が剥げ落ちたという状況で、本当にディマンドプルです。需要が元気よく起きて来て、「さあ、ものを買おうか」と消費者が動き始めた結果かと言えば、そうではありません。

日本のペントアップ需要は弱いのではないか

本田)ただ、一部にはありますし、期待しています。日本も、アメリカほどではないにしても、ペントアップ需要は出て来るでしょう。オミクロン株の動向によりますけれど、急速に収まって行けば、需要が出て来ることは期待したいのですが、それがどこまで続くか。

飯田)需要が。

本田)普通なら、携帯電話料金の特殊要因が4月ごろに落ちて、1回「グッ」と上がるのですが、上がったところの1%というレベルを維持するためには、ディマンドプルを続けないといけないのだけれど、それほど強くないのではないかと思います。そうすると、ジワジワと落ちて行く可能性があるということで、黒田総裁も「2023年度に2%になると考えている人はほとんどいない」と言っているように、まだまだ日本のペントアップ需要は弱いのではないかと考えておられるのでしょうね。残念ながら私も同感です。

消費税増税と緊縮財政

本田)いろいろと理由はあります。アベノミクスを始めて10年経ちますが、消費税増税を2回やってしまった。それから私も少し見落としたところがあって、非常に残念なのですが、毎年財政が緊縮に向かっていたというところです。消費税の問題にかまけたというと言い訳になってしまいますが、集中しすぎて毎年毎年の予算編成で絞って来ていた。だから、プライマリーバランスはよくなって来た。それ自体はいいことなのですが、おかげでマクロ経済が絞りすぎてしまったというところが、言わば時期尚早だったのです。

飯田)絞って来たために。

本田)もっと経済が安定してから絞ればよかったのですが、毎年絞っていたというところが、いまジワジワと効いて来ているような気がします。他の国と比べて、物価上昇率、あるいは経済回復率が遅いというのは、そういうところが原因なのではないでしょうか。

マクロ政策を成功させて2%の物価安定目標を早く回復させなければならない

本田)岸田政権が新しい資本主義とおっしゃっていますけれども、まったく新しい資本主義がどこかに存在して、それを見つけて来ることはあり得ないのです。基本的にはアベノミクスが積み残した点、特に「第3の矢である成長戦略」を充実して行くというところで、政策の継続性を保って行くのではないかと思います。

飯田)第3の矢の成長戦略を充実させる。

本田)そのためにはマクロ政策を成功させないといけません。ミクロまでなかなか移れないのです。そのためには、本来の2%の物価安定目標を早く回復させなければなりません。世界中が2%を目指しているのです。

新たな日銀の審議委員にリフレ派の人を入れるべき

本田)アメリカは7.5%まで行ってしまいましたけれども、ヨーロッパは3%〜4%です。元気よく回復しているのです。そのなかで、日本だけが0%〜0.5%です。そういう数字で停滞しているので、早く、少なくとも2%までは戻そうと考えている人を「リフレ派」と呼ぶのですが、日銀の審議委員のなかにそういう人が減って来たのです。

飯田)リフレ派の審議委員の方が。

本田)いま、4人いらっしゃいます。今度、7月にそのうちの1人である片岡さんが任期を迎えます。もう1人、鈴木さんという金融界代表の方も退任されます。2人の席が空くなかで、1人は少なくともリフレ派の人を入れて欲しいと思いますが、岸田さんが何をお考えになっているのか、私にはわかりません。

飯田)そこは国会の議決が必要だということです。予算があがったあとは、これがポイントになりますか?

本田)4月以降に国会に出ると思います。

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