「日本はまだまだマシですよ」と言うための財務省用語『国民負担率』

ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。「国民負担率」について解説した。

ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」

国民負担率

財務省は2月17日、国民所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合を示す、2021年度の「国民負担率」について、48%になるとの見通しを示した。2020年度の実績より0.1ポイントの増加で、過去最大となる見込みだ。

新行)国民負担率は、個人や企業の所得などを合わせた国民所得に占める税金や社会保険料の負担の割合のことで、公的負担の重さを国際的に比較する指標の1つになっています。2021年度は前年度よりも0.1%上昇し、48%になる見通しです。改めてこの数字の意味を教えていただけますでしょうか?

須田)企業も社会保険料に関しては半分負担していますから、個人あるいは企業の負担率がどれくらいになっているのかということです。個人と企業の所得を合わせた国民所得に占める税金と社会保険料の負担割合ということなのですが、これは財務省用語です。

「国際比較をしたときに日本はまだまだマシです」と言うための財務省用語

須田)「大した負担になっていませんよ」、「国際比較をしたときに日本はまだまだマシですよ」と言うために、この国民負担率が出ているのです。社会保険料は毎年上がっているのですが、会社勤めの方は給料から天引きされているため、実感がないのです。

新行)私は給与明細をじっくり見てしまうのですよね。

須田)じっくり見た方がいいのです。毎年、いかに多額の社会保険料を負担しているか。これからもまだ上がります。日本の社会保険制度は非常に厳しい状況になっているから、上がって行く。

新行)これからも。

須田)逆に、雇用保険は若干下がっているので、ここの負担率は減っているのだけれども、絶対額で見ると、とんでもない金額を払っているのです。これは来年以降も上がって行くのだけれど、そうすると「こんなに払っているのはおかしいではないか、どうして自動的に上がって行くのだ」という批判が出て来る。それを回避するために、「いやいや皆さん、国民負担率で見ていただくと、国際標準からすればまだ日本はマシなのです」と言うために、財務省が発表しているのです。そう理解していただければいいと思います。

所得が上がらないなかで国民負担率が上がると、手取り金額が減少する

新行)「まだまだマシ」と聞くと、「増税」のような言葉が頭をよぎるのですが。

須田)社会保険料はまだ上がって行くのだけれど、それに対して不満が出ないように、例えばフランスの国民負担率は67.1%、ドイツは54.9%、アメリカは若干低くて32.4%となっている。これらと比較した場合、「日本は先進国のなかでは負担率が相対的に低くなっていますよ」ということなのです。しかし、いま所得が上がっていない状況のなかで、国民負担率が上がるとなると、相対的に手取り金額が減ってしまうのです。

新行)そういうメールもいただきました。「ますます手取りの収入が減っていることを実感しています」と、“はるぞう”さんからご意見が届いています。

須田)給与明細をしっかり見て、いかに自分が負担しているのか。その怒りをぶつけるべきところにぶつける必要があると思います。

潜在的な国民負担率

新行)手元の資料には、「国の財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は2.1ポイント減少し、60.7%となる見込み」という記載があるのですが、この「潜在的な国民負担率」とは何でしょうか?

須田)財政赤字と言ったらいいのでしょうか。この言葉を使うと批判を受けてしまうのですが、いずれにせよ赤字は赤字なのだから、将来的には増税で賄うのが基本なのです。

新行)増税で。

須田)では、これをどこで負担するのかと。経済成長すればいいだけなのだけれども、それを見込まずに、赤字が増えた分も将来的な増税で織り込むと、これだけの負担率になってしまうということなのです。これも財務省的なやり方で、「潜在的な国民負担率は60%まで上がっているのだから、これ以上の借金は無理ですよ」というツールとして使うのです。

新行)国民負担率というものを見たときに、冷静に紐解いて行く必要性があるということですよね。

須田)数字だけではなく、その背景にある、それが意図するものを見極めて欲しいと思います。

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