ロシア管理下の原子力施設のリスク 〜ウクライナ全体がチェルノブイリになる可能性も

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月9日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ロシアの軍事侵攻が続くウクライナ情勢について解説した。

モスクワ近郊ノボオガリョボで、オンラインの安全保障会議に臨むロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ近郊ノボオガリョボ) AFP=時事 写真提供:時事通信

ウクライナ北東部スムイで住民の避難開始

ロシアのウクライナへの軍事侵攻が続くなか、3月8日、ロシア軍が発表したルートのうち、北東部のスムイからウクライナ中部ポルタワへ移る市民の避難が始まった。しかしウクライナ側は、別ルートではロシア軍が砲撃を開始し、停戦が破られたと批判。どこまで市民の避難につながるかは不透明である。

飯田)赤十字などが発表しているところによると、避難ルートに地雷が仕掛けられていたという情報もあります。

高橋)人道回廊というのはよく使われる手なのです。言ってみれば、非武装地帯をつくるという。

飯田)一時的に。

高橋)非武装地帯ですから、もちろんそこでは停戦ということになります。ロシアが介入していたシリアでもつくったけれど、よく破られたということだから、ロシアはよく破るのでしょうね。約束を守らないというか。ルートを見ると、北の方の「ロシアに行け」というような道もありますが、これはないでしょうね。誰が考えてもないようなルートです。

飯田)ロシア、ベラルーシなどに行くプランがあって、なかで交戦するか、出たところで捕縛されてしまうというリスクが生じます。

高橋)捕まるでしょうね。

過去、何度も「人道回廊」の約束を破っているロシア

飯田)そういう意味では、「人道」という名前が付いていますが、語感のイメージとは違うものだと思った方がいいですか?

高橋)ボスニア・ヘルツェゴビナのときから、過去に何度もやられています。当事者によって、守る国と守らない国があるわけです。過去の例をよく見てやった方がいいですね。

飯田)きちんと守られているかを国連や赤十字、あるいは欧州安全保障協力機構(OSCE)などが監視し、担保するのであれば成立するけれども、そういう介入はロシアが完全に断りました。

高橋)ウクライナはNATO加盟国ではないので、いろいろな国が介入しにくくなっているのですよね。それが辛いところではあります。

「東部2州の独立承認」というところからロシアのウクライナ侵攻へ

飯田)2週間前に高橋さんが番組に出ていただいたときから、急転直下という感じです。

高橋)そのときはきな臭い話がありましたが。

飯田)東部2州の独立承認のような話があって、これはヨーロッパに喧嘩を売っているのではないかと。

高橋)東部2州のミンスク合意がベースになって、話し合いがうまく行くのではないかと、そういう予想もあったくらいですからね。平和的な解決もあり得るかなと思っていたのですけれど、まったく違う、ロシアによる軍事侵攻という事態になってしまいました。

飯田)あの当時はブリンケン国務長官とラブロフ外相との会談が予定されていましたが、それもキャンセルになってしまいました。

高橋)ミンスク合意は、東部2州が自治権を持つというものだったので、かなりロシア側に有利な内容なのです。そのため、あの履行でプーチン大統領が収めるのではないかという予想がありました。でも、まったく違うロシアの侵攻という状況になってしまった。「どうなっているのだ」と学者も言っています。

ロシアが原発を攻撃 〜原発の管理は誰がしているのか

飯田)極め付けは週末にありましたけれども、原発に対して攻撃があった。

高橋)原発とダムと堤防に攻撃をしないということは、ジュネーブ条約に明記されています。重大な被害があるということで、これは戦争犯罪ですよ。それを原発でやってしまったわけです。おまけに占領してしまったでしょう。

飯田)そうですね。占領したという話です。

高橋)いまのところ、エネルギーの供給を止めるという言い方なのでしょう。でも、原発の管理はどうなってしまうのでしょうか。原発というのは、きちんと管理していないと暴走してしまって事故が起こるのです。

飯田)きちんと冷やせなくなってしまう。

原発の管理をしなければウクライナ全体がチェルノブイリになってしまう

高橋)原子炉を狙わなくても、電源施設を狙えば原発は機能しなくなるのです。

飯田)全電源喪失ということになって、炉心が溶けてしまう。

高橋)東日本大震災のときにあったではないですか。あのとき、原子炉はしっかりしていたのですが、冷やさないとアウトになってしまうという状況でした。管理は誰がやっているのか。管理しなければ、大変なことになります。

飯田)国際原子力機関(IAEA)がまさにそれを心配しています。放射性物質が外に出てしまうことになると。

高橋)ウクライナ全体がチェルノブイリになってしまうという危険性も、考えなければいけなくなってしまう。

飯田)物理的に人が住めなくなるということが。

高橋)人が住めなくなってしまったら、どうするのですか。ウクライナはものすごく肥沃な土地なのです。

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