福島第一原発の廃炉作業の「いま」 〜東日本大震災・福島第一原発事故から11年

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月9日放送)に国立研究開発法人日本原子力研究開発機構・福島研究開発部門企画調整室長の宮本泰明が出演。東日本大震災による事故から11年を迎える福島第一原発の廃炉作業の現状について解説した。

東電福島第1原発2号機の試験的デブリ取り出しに使うロボットアーム=2022年1月31日午後、福島県楢葉町 写真提供:産経新聞社

いまは第2期 〜燃料デブリ取り出し開始まで

飯田)東日本大震災による事故から間もなく11年が経ちます。福島第一原発の廃炉作業はどうなっているのでしょうか。廃炉作業について切り分けますと、まずは燃料の取り出し。また、溶け落ちた核燃料と周りの格納容器や、その下のコンクリートなどが溶け、混ざり合って冷やされた燃料デブリを取り出す作業。さらには原子炉施設全体の解体。そして、発生する汚染水への対策と、4つに分けられています。いま焦点となっているのは、燃料デブリがどうなっているのか、そしてそれをどう取り出すのかということです。その辺りについて、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構・福島研究開発部門企画調整室長の宮本泰明さんに、リモートでお話を伺いました。

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飯田)廃炉作業全体の流れとしては、30年〜40年かかると言われていますが、いまどのくらい進んでいると考えられますか?

宮本)崩壊熱をなくす作業では、水を入れたりして温度を下げているのですが、これを第1期と言っています。そして冷温停止が終わり、燃料デブリの取り出しが開始されるまでの期間が第2期ということになっていまして、現在はそこに入っています。

飯田)現在は第2期に入っている。

宮本)その後は第3期として、廃炉が進んで行くという組み立てです。これまで調査用ロボットがたくさん入り、徐々にわかっては来ているのですが、「デブリがどこでどうなっている」とすべて答えられる人は、世界中を探しても誰もいません。あくまでもロボットが取って来たデータの推測から考えているところです。

年内に燃料デブリを取り出し、JAEA大洗施設で分析する計画

飯田)ロボットの技術も、この10年でだいぶ変わりましたか?

宮本)かなり進歩していると思います。原子炉格納容器の内部へアクセスする入り口が非常に狭いのです。狭いところを抜けて行かなければならず、実際に活動するときには、それなりの大きさや能力がいるので、ロボットアームを入れてデブリの取り出しを行います。そのロボットアームは国際廃炉研究開発機構(IRID)が研究を進めていて、三菱重工とイギリスのVeolia Nuclear Solutions(VNS)という会社が共同開発したものになります。

飯田)共同で開発したもの。

宮本)全長約22メートルの折りたたみ式アームなのです。まだ結果がすべて出揃っているわけではないのですが、年内の取り出しに向けて着々と進んでいる状況です。

飯田)着々と進んでいる。

宮本)実は取り出しただけではダメで、「燃料デブリはどういう状態になっているのか」という分析・評価をしなければいけません。いまはまだ福島の方に分析施設がないものですから、茨城にあるJAEAの大洗の施設に輸送して、そこで分析するという計画になっています。

デブリがどのような性状なのかを分析する

飯田)燃料デブリは、もともとの核燃料が高温で溶け出し、周りの格納容器やコンクリートも含めて混ざっている状態です。それがどういう具合で混ざり合っているのかなどを分析する。

宮本)まずは性状ですね。金属でいるのか、あるいはセラミック状になっている場合もあるかも知れません。それによって硬さがだいぶ変わるのです。

飯田)なるほど。

宮本)スリーマイルアイランド事故のときも、デブリの取り出しはやっているのですが、そのときに非常に苦労したのは、硬いセラミック層と柔らかい金属層が交互に出ていたのです。そうすると、それぞれ削る刃物が変わるらしいのです。

飯田)攻め方がだいぶ変わって来るのですね。

宮本)そうなると思います。おそらく、福島第一原子力発電所の燃料デブリも、スリーマイルアイランドでできたデブリに似たような、金属やセラミックでできている状況であることが推測されています。なるべく早いタイミングでそれを分析、評価し、現場の作業にフィードバックすることが必要です。

廃炉については、世代交代しながら引き継ぎをして進めて行く

飯田)一時期、原子力の研究そのものに対して、若い人たちがなかなか入って来なくなったという報道もありましたが、最近はいかがですか?

宮本)一時期に比べれば落ち着きましたが、福島部門に応募して来られる学生さんと話をすると、廃炉を何とか実行するための1つの役割を果たしたいのだと言います。そんな志を持った学生が多くなっています。事故からちょうど11年経とうとしていますが、30年〜40年と言われていますので、スパンが長いのです。

飯田)そうですね。

宮本)1人の技術者、研究者が一生かけてもまだ足りないくらいの仕事になります。廃炉については、世代交代しながら引き継ぎをして進めて行かなければなりません。

飯田)確実に前に行っていると思っていいですよね。

宮本)私も事故直後から、ずっと福島の方に携わって来ているのですが、ものすごい進歩です。1ヵ月などの短いスパンで見ると「もたもたしやがって」と怒る人もいますが、全体を通して見ると、ものすごく進歩しています。

福島総合環境情報サイト「FaCE!S」で環境放射能のデータベースを公開

飯田)最後に、聞いている皆さんに何かメッセージ等々ありましたら、お願いします。

宮本)今年(2022年)の6月には、福島第一原子力発電所の隣接地に大熊分析・研究センターの第1棟が竣工され、中・低線量の廃棄物試料の分析を進めて行きます。この施設では、ALPS処理水の海洋放出の前段として、第3者分析を担うことにもなっています。そういったことをしっかりとやって行きたいと思っています。JAEAでは、環境放射能のデータベースをつくっていまして、これを公開しています。

飯田)環境放射能のデータベースを。

宮本)福島総合環境情報サイト(FaCE!S)という名前のウェブサイトを公開しています。一般の方から専門の研究者の方まで対応できるような、多層構造のデータベースになっています。

飯田)ある意味、データはフルオープンの形で出していらっしゃるということですね。

宮本)そうですね。データについては基本的にフルオープンです。

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