都議会各会派の幹事長に聞く 過去最大の東京都予算 その中身は? (前編)

人口1400万人近くを抱える巨大都市東京。その年間予算は諸外国の国家予算にも匹敵する。2022年度の一般会計予算案の規模は7兆8000億円と過去最大。いったい何にどう使われるのか? ポッドキャスト番組「ニッポン放送・報道記者レポート2022」(ニッポン放送 Podcast Station ほか)の3月10日配信回(担当:宮崎裕子記者)では、都議会主要5会派の幹事長に新年度予算案についての評価を訊いた。

東京都庁舎

―――過去最大規模の新年度予算、コロナ危機にあっても都税収入は好調

宮崎)都の新年度予算案は一般会計予算が過去最大となる7兆8010億円となり、特別会計の5兆8000億円、公営企業会計の1兆8000億円と合わせると15兆4000億円。スウェーデンやインドネシアの国家予算14兆円を超えています。さらに驚くことに、未曽有のコロナ危機にあっても、都税収入は前年度に比べ約5900億円も増加し、5兆6308億円となる見込みです。特に法人二税が大きく増えていて、背景にはテレワークの普及などでIT関連企業が好調だったことや、製造業の業績回復などがあります。東京都は「お金持ち」と言われるわけです。いったい、何にどう使われるのか?

都は予算案に盛り込まれた事業の主な施策を「7つの柱」に分類しています。

1 「世界一安全・安心な都市」……コロナ対策や地震水害など災害対策などに7636億円
2 「自然と調和した持続可能な都市」……太陽光発電の普及など環境関連施策に1501億円
3 「世界から選ばれる金融・経済・文化都市」……外国企業誘致やベンチャー支援、臨海部開発などに8523億円
4 「人が輝く、誰もがいきいきと活躍できる共生社会の実現」……高齢者や障害者支援などに2761億円
5 「子どもの笑顔があふれる都市」……子育て支援や教育関連事業に5487億円
6 「スマート東京の実現」「シン・トセイの推進」……それぞれの施策に780億円と422億円
7 「多摩・島しょの振興」……多摩地域と島しょ部の振興施策などに2382億円

特に前年度比から大幅増となったのが「ゼロエミッション東京の実現」関連予算。小池知事が元環境大臣ということもあって温室効果ガス削減に向けた施策に力をいれ、前年度比3倍となる971億円が計上され、太陽光住宅の普及拡大事業が新設されました。「小池知事の本気度が見える」などといった声も聞かれます。

新年度予算案は都議会でまさにいま審議中ですが、各会派は予算案をどう評価しているのか? 主要5会派の幹事長にインタビューをしました。評価する点、評価しない点をそれぞれ話してもらいました。インタビュー取材を行った順番でご紹介します。

まずは共産党の和泉なおみ幹事長です。共産党は、都立・公社病院を独立行政法人化する都の方針に反対しています。

共産党・和泉なおみ幹事長

―――共産党、都立病院の独法化ありきに反対。子ども政策促進は評価

和泉氏)予算全体が独法化のための予算です。(都立・公社病院の予算が)6月までしか計上していないんです。7月には独法化することを前提で予算を組んでいます。都立病院だけでも6800人以上の職員が働いていて、その方たちが公務員としての身分を失うんです。コロナ禍でそれをやれというのはあまりにも酷です。民間の病院ではなかなか採算が取りにくい医療を都立病院が守ってきたんです。また、2022年度の予算案は過去最大規模です。法人二税が大きく伸びて、それで増えた税収を、また大型開発でゼネコンに戻していくのかと。東京都の臨海開発の「eSG構想」を見ると、「空飛ぶクルマ」が書いてあるんです。コロナで都民の暮らし、中小事業者の営業が瀬戸際に立たされているときに、都民は「空飛ぶクルマ」に夢を描けるだろうか? と思うんです。税収が増えたのなら、その税収は命を守ることに大胆に使うことが求められていると思うんですけど。そうではなくて、国際競争力を高めるんだ、世界から選ばれる都市になるんだ、稼ぐ東京になるんだと、こういうところに重点的に予算を振り向けている予算案になっているなと。

宮崎)「eSG構想」とは、有明、お台場、中央防波堤埋立地といった東京の臨海部(ベイエリア)に「50年、100年先を見据えたサスティナブルな次世代型都市モデルを構築する」というものです。一方、「評価する点」は……。

和泉氏)18歳までの医療費助成です。準備予算が計上されました。同時に、昨年(2021年)4月に都議会全会派が共同提案した「子ども基本条例」に基づいて、子どもの意見表明とか、権利擁護を促進する事業が盛り込まれたのは非常に重要だと思っています。ヤングケアラー支援や、多摩地域と練馬への児童相談所の設置に向けて動き出す予算がついているところも非常に大きいです。スクールカウンセラー制度が拡充することや、同性パートナーシップが導入に向けて動き出すことになった。また、環境局の予算が2倍になり、気候危機対策が3倍に増額されています。水素エネルギーにちょっと偏り過ぎているところはあるんですけど、既存住宅への太陽光設備の設置支援など、非常に大きいなと思っています。

宮崎)次は立憲民主党の西沢けいた幹事長です。予算案について評価できない点は……。

立憲民主党・西沢けいた幹事長

―――立憲民主党、学校給食無償化のための予算無しは残念。環境予算の増額は評価

西沢氏)立憲民主党が都議選で大きく訴えてきたのは「学校給食の無償化」でした。これを何とか実現したいなと戦ってきたので、それが予算案に入っていなかったのは評価できないところです。私は中野区ですけど、中野区も無償化していません。多摩地域などで無償化をしようよといっても、自治体で給食費を負担するとなると財政的に厳しいという声もありますので、学校給食を無償化するとなると、広域自治体である東京都が音頭をとる必要があります。予算案になかったのは残念でした。

宮崎)IR(カジノを含む統合型リゾート)の調査費計上についても、評価できないと主張されていますよね?

西沢氏)我々はカジノについては反対しているので、IR調査費が計上されたこと自体、IRを進めようとする都の姿勢なので、おかしいです。さらにもっと言うと、IRの所管が「港湾局」になっているんです。東京都の臨海地域を担当する部署なんです。東京都はカジノをやるともやらないとも言っていません。だから調査費をずっと計上し続けている「あいまい戦略」を取っているわけです。なんで港湾局が担当しているのか? 大阪や横浜は知事部局やIR推進室といった担当部署をつくって検討や推進をしているけれど、東京都はやるともやらないとも言っていないのに、港湾局が担当している。結局、IRを臨海地域でやること、お台場=カジノで進んでいるからじゃないかと。調査費自体が、特に港湾局で計上されていることが、特にけしからんと思います。

宮崎)都はIRについて「メリット、デメリットの両面を考える」として、IR調査費を9年連続で計上しています。一方、評価する点については……。

西沢氏)子ども政策ですね。児童相談所の多摩地域への設置に向けた新たな予算がついたり、ヤングケアラー対策の予算が計上されていることですね。子ども対策へ大きく予算がついているのは、政策を進めようとする東京都の意気込みを感じます。また、環境面、脱炭素対策など、小池知事は環境政策には明るいと言われていましたが、今回の予算を見ると、本気度が見えるかなと思っています。

令和4年度東京都予算案

宮崎)いかがだったでしょうか? 都の新年度予算に関する各党の主張、その一部をご紹介しました。次回(3月17日)は、都民ファーストの会の増子ひろき幹事長、公明党の東村くにひろ幹事長、自民党の小宮あんり幹事長へのインタビューの模様をお送りします。

(ニッポン放送 宮崎裕子)

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