再生可能エネルギーの加速化、原発再稼働の議論をするべき 〜ロシアへのエネルギー依存度を下げるために

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月15日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。「トリガー条項」凍結解除の必要性を述べた公明党・山口代表の発言について解説した。

2021年12月21日、ロシア国防省幹部の会合で話すプーチン大統領(タス=共同) 写真提供:共同通信社

公明党・山口代表が「トリガー条項」凍結解除の必要性を述べる

公明党の山口代表は3月12日、ガソリン税の税率を一時的に引き下げる「トリガー条項」について、「凍結解除が必要だ」と表明した。政府が既に実施した補助金に続く原油高騰対策として、自民・公明・国民民主の3党はトリガー条項の凍結解除について協議している。

飯田)ガソリン価格は、1リットルあたり160円を3ヵ月連続で超えた場合、暫定税率分を取るのをやめるのだと。それで大体25円くらい引き下がるのではないかということが言われていますが、法律を変えないといけないのですよね。

ウクライナ侵攻という有事のいま、ガソリン価格を下げる是正措置は必要

クラフト)そうなのです。いろいろハードルがあるので、政府としては補助金という枠組みで、徐々にやって行きたいということなのです。やり方はいろいろ議論があろうかと思うのですが、私は基本的に、補助金やトリガー条項の凍結解除などの対策は、ウクライナ侵攻前では反対だったのですが、有事のときには必要ではないかと思います。

飯田)有事の際には。

クラフト)今回の件は、西側とロシアによる制裁の我慢比べなのです。ロシアよりも西側が我慢できなくなると、効果が弱まってしまうので、西側への影響を和らげるためにも、トリガー条項の凍結解除ないし補助金というのは必要だと思います。侵攻が続く間に補助金、あるいは是正措置を取るということであれば、大義名分もありますので、よいのではないかと思います。

飯田)足元の原油価格ですが、アメリカのWTIの指標は1バレルあたり102ドル40セント付近、イギリス北海ブレントは105ドル96セント付近と、いずれも高いですね。

クラフト)日本の場合は円との絡みもあって、侵攻前、円貨ベースの原油価格は1万500円程度だったのが、いまは1万2500円です。円安も含めて日本円のインパクトは大きいですから、25円程度の補助金ないし税政策は、仕方がないのかなと思います。

再生可能エネルギーの加速化、原発の再稼働ということも議論するべき

飯田)円ドル相場も118円25銭付近ということですが、この先も円安の基調は変わらないだろうと。

クラフト)そうですね。大きく変わらないので、エネルギー価格の高止まりというのは、ある程度予想しないといけません。ですので、これを機に、嫌がる人もいますけれども、再生可能エネルギーの加速化、あるいは原発の再稼働に関する議論を深めて行くことが急務だと思います。

飯田)いまはLNGを中心に電力をつくっていますが、エネルギー価格は直撃を受けるということになりますものね。

クラフト)価格だけではなく、例えばロシアが「明日からLNGの輸出を止めます」ということになれば、ロシアも痛いのですけれども、一時的に日本が停電になる可能性もあるわけです。

飯田)需要に対して供給できなくなってしまう。

クラフト)そういう対策を一時的にでもどうするのか、議論する必要性がある。価格もそうですし、エネルギーの供給自体をどうするのか。そうすると、どうしても原発という話にならざるを得ないのですけれども、そこも含めてどうするのか。国民全員で考え、国会でも議論して欲しいと思います。

OPECのロゴと石油ポンプの模型=2020年4月(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

計画停電ともなれば、経済への影響も大きい

飯田)東日本大震災の直後も、計画停電は普通にあったわけですものね。

クラフト)それだけではなく、価格に関しても企業の収益をひっ迫し、家計の財布にも直撃します。計画停電ともなれば、経済への影響も大きいです。そうならないよう、早めに一時的でもいいからエネルギー供給をどのように増やして行くか、その議論が重要だと思います。

参議院選挙を前に「原発再稼働」という話はしにくい

飯田)岸田総理は「省エネを徹底しましょう」ということを呼び掛けていますが。

クラフト)まとまったエネルギー供給は、中長期的にどうするかは別として、短期的にはある程度、原発の再稼働が必要だと思います。その辺りをどうするのか、議論が必要ですね。

飯田)そこは政治判断になると思いますが、なかなか難しいですか?

クラフト)7月に参院選があるでしょう。

飯田)なるほど。

クラフト)選挙が近いので、政治側からその話を持ち出すというのは難しい。

飯田)選挙に影響が。

参院選が終わるまで議論は進まない

クラフト)世論が一時的でもいいから、「原発を再稼働させてエネルギー供給を増やせ」と政治を突き上げて行けば、その方向性になるのでしょう。しかし、そうでない限りは、7月の参院選まで議論は進まないでしょうね。

飯田)この冬も火力発電所のトラブルで、他の地域から融通してもらったということが記録に残っているのですよね。あまり報じられていませんが。

クラフト)1つでもトラブルが起きると、電力網全体へ影響が出るので、そこをより強化しなければならない。ロシア情勢が今後どうなるのかわかりませんからね。その意味でも、備えておく必要があります。

目先のエネルギー問題をどうするのか

飯田)脱炭素、脱原発の両方をやろうとしたドイツがどうしようもなくなっています。原発の稼働を伸ばすということまで検討し始めました。

クラフト)再生可能エネルギーは加速させるべきなのです。しかし、それができるのは1年という話ではありません。この1年、2年、目先のエネルギーをどうするのかという、より現実的な政策が求められているのです。

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