ウクライナ情勢で物品価格が上がるなら「消費減税」を検討するべき 高橋洋一が提言

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月23日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ウクライナ情勢の影響による物品価格の変動について解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

ウクライナ情勢の影響によって日本経済はどうなるのか

ロシアによるウクライナ侵攻で世界の食料価格の上昇が起こっており、日本でもガソリン価格が高騰し、国民の家計を脅かしている。ここでは、これからの日本経済はどうなるのか、そしてどのような対応をするべきか、数量政策学者の高橋洋一氏に訊く。

飯田)高橋さんは『現代ビジネス』に、『ウクライナ情勢で物品価格が上がるなら、ただちに消費減税を検討すべきこれだけの理由』という記事を寄稿されています。

高橋)典型的なのがエネルギーです。ガソリン価格が上がっているということで、政府はいまのところ何も言っていませんが、トリガー条項の凍結解除について、自公と国民民主で政治的には検討しています。ガソリン税を一部減税するという措置ですが、それに対応するものとして、他に小麦粉なども価格が上がるため、消費税の軽減税率の枠組みを使って減税すればいいではないかという、単純に出て来る政策です。

「コアコア指数」を見れば全体の動向がわかる 〜総務省は3つの指数を公表している

飯田)まず、物価と価格についての話です。「物価が上がるからインフレになるのだ。だから引き締めなくてはならない。アメリカはそうやっているではないか」と言われますが。

高橋)物価はさほど上がりません。物価には、「総合指数」と「生鮮食品を除く総合指数」と「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」があります。最後の「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」は「コアコア指数」というもので、これをよく見ると、全体の動向がわかるのです。

飯田)コアコア指数を見ると。

「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」はマイナス1.0%

高橋)2月の段階で「総合指数」が前年同月比プラス0.9%、「生鮮食品を除く総合指数」が前年同月比プラス0.6%です。ただ、「コアコア指数」はマイナス1.0%です。

飯田)マイナス1.0%なのですよね。みんな総合指数ばかりを見て、ここが乖離している。

高橋)「総合指数」と「生鮮食品を除く総合指数」で見ているのです。それしか報道しないから。そのため、私が総務省の総務大臣補佐官のときに、3つを報道するようにしたのです。

飯田)そうだったのですか。

高橋)コアの話が報道されないので、大臣発表のときから「3つを報道するように」とお願いしました。これは海外での「コア指数」というもので、基調が出すものは統計として計算できるのだけれど、発表はしていなかったのです。それで発表し始めたのですが、マスコミは「コアコア」の話はしてくれないですね。

OPECのロゴと石油ポンプの模型=2020年4月(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

報道されるのは「生鮮食品を除く総合指数」だけ

飯田)「コアコア指数」は、去年(2021年)の4月からずっとマイナス圏で張り付いているような感じです。

高橋)そういう事実がみんなわからないのです。「報道は必ず3つの指数を報道するように」と、発表文はすべてそうしているのですけれどね。でも報道されるのは「生鮮食品を除く総合指数」だけです。だから少しずれてしまう。

飯田)なるほど。

高橋)いまはマイナス1.0%ですが、先の話をすると、携帯電話の料金を下げたから、去年の4月からさらに下がっているのです。携帯の話は前年同月との比較なので、4月から効果がなくなってしまうのです。そうすると、少しはプラスになります。しかし、行ってもせいぜいプラス0.5%くらいですから、それほど強くないのですよ。

飯田)携帯電話の通信料の寄与度がマイナス1.48%だから、0.5%くらいは水面より上昇するけれど、もともと2%が目標でしたから。

高橋)目標なのですが、そこには届かないですね。携帯と関連があって、情報関連というのは大きなウエイトで下がっているのですが、プラスになっても、ほんの少しのプラスくらいです。基調としてはあまり強くないと思われます。総需要と総供給の差があって、総供給の方が日本はまだ大きいのです。総需要の方がたぶん40兆円くらい下なので、なかなか上がりません。

海外では総供給よりも総需要の方が勝っているので、コアコア指数は上がる 〜日本の場合は総需要の方が総供給より下なのでインフレになりにくい

高橋)海外では総供給よりも総需要の方が勝っているので、コアコア指数は上がります。コアコア指数を見れば違いがよくわかるのですが、そこを報道せずに「海外が」と言って、すぐ「引き締め」という話が出るのです。そうすると対応を間違えてしまう。

飯田)海外の場合は、もともと個人消費などの需要が旺盛であることに加えて、コロナからの回復傾向も出て来ている。

高橋)コロナからの回復と、大きな経済対策を打っている国もあるので、総需要の方が上になるから、物価が上がりやすくてインフレになりやすい状態なのです。日本の場合は総需要が総供給よりかなり下なので、なかなかインフレにはなりにくい。ただし個別の価格は上がります。そういう報道があると、「この品目」「この品目」とすべて上がるように思うかも知れませんが、実はそのようにはなっていない。

飯田)報道では。

高橋)エネルギーで基礎経費は上がるのですが、価格転嫁しにくいところが多くなるという、そんな感じです。転嫁しにくい業態が多い。飲食などは転嫁しにくいでしょう。

飯田)いきなり価格を上げられませんよね。

高橋)でも、エネルギーと言って共通経費のようなもののコストプッシュはあるという、そんな状況なのです。

飯田)その辺りを和らげるために、いままで税で取っていた部分を戻す。

高橋)それがいちばん簡単です。軽減税率を使った仕組みだと、ターゲットを選べるではないですか。例えばいま食料品関連だと、8%を0%まで下げられるでしょう。

飯田)システムは既にあるから、その設定を変えるだけで対応できる。

高橋)実務的にはね。あとは法律が必要ですが、それはガソリン価格と一緒ですよね。だからそのとき一緒に用意すればいいのです。ガソリン価格にだけ法律を用意するのはまずい。こういうロジックがあるから、ガソリン税の減税について財務省は抵抗していたのですよ。

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