有事の際に「エネルギー問題」が起こる構造の日本 〜いま本気で議論すべき「エネルギーの安全保障」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月24日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。エネルギーの安全保障について解説した。

都内で地震 停電で信号機が消えた交差点では警察官が交通整理を行っていた=2022年3月17日午前、東京都文京区 写真提供:産経新聞社

「電力需給」とは「エネルギーの安全保障」

3月16日の地震の影響で発電所の復旧が進まないなか、22日は気温が下がり、政府は東京電力管内の1都8県で電力供給の余力、いわゆる「予備率」が安定供給に最低限必要とされる3%を下回る可能性があるとして、初の「電力需給ひっ迫警報」を出した。23日も朝方は引き続き出されていたが、午前11時に安定供給できるめどが立ったとして、警報解除となった。

飯田)「電力需給ひっ迫警報」が出されたのは、地震の影響で火力発電所の運転停止が続いていることが理由として言われていますが。

鈴木)「電力需給」とは何かと言うと、「エネルギーの安全保障」ということなのです。「電力がひっ迫するからみんなで工夫しましょう」と言われ、私の知人たちは高齢者ですけれども、ある知人は暖房を切って毛布で過ごしています。あるいは、ソーラーパネルを取り付けて蓄電の設備を設けている人もいます。

飯田)自前で何とかしている。

食もエネルギーも安全保障という考え方で議論すべき

鈴木)それぞれ涙ぐましい節電努力をみんながしたと思います。安全保障というのは、もちろん軍備の話や紛争の話ではありますが、食とエネルギーも安全保障という考え方で議論するべきだと思います。

飯田)食とエネルギーも。

鈴木)安全保障というのは、有事があって特定のものが使えなくなってしまったときに、「どのようにして自分たちで守って行くのか」ということです。食であれば海外のものに頼りすぎていると、今回のように小麦が入って来ないなどという大変な事態になるわけです。

飯田)食であれば。

鈴木)国内で自給率を上げるにはどうすればいいのか。お金がかかるとすれば、税金を使ってもいいのではないか。食の安全保障について、常に議論して行かなければいけないけれども、日本は食料自給率を下げる方に行ってしまったでしょう。

飯田)そうですね。

鈴木)もう1つはエネルギーです。いろいろなところでパイプが詰まったり、入って来なくなったりする。例えば油が入って来ないなど、いろいろな問題があります。そういうときに国内で、一体どんなエネルギーを自分たちでつくれるのか。

日本はエネルギーの安全保障を本気で議論して来なかった 〜だから有事の際にエネルギー問題が起こる

鈴木)そのなかの1つに原発という考え方があります。私は基本的には3.11以降、「原発稼働には慎重であるべき」だという考えですが、原発を含めて議論しなくてはいけない。エネルギーの安全保障のなかでは、日本独自のエネルギーとして石炭があります。しかし、国内炭を掘るのは大変だからということで全部潰してしまい、安い海外炭に頼っている。だから有事で船が止まってしまうと、海外の石炭が入って来ないということになります。

飯田)いまはオーストラリアから入れていますからね。

鈴木)世界各国では石炭を使わないのだけれども、石炭は掘り続けなければダメになってしまうので、税金をかけてでも掘り続けているのです。それは「何かあったときのために」ということです。

飯田)有事など。

鈴木)そういうことも含めて、日本はエネルギーの安全保障を本気で議論して来たのか。原発に関しても、「もちろん廃止の方向で自然エネルギーと共存して行くけれども、当面は併用しながら」というように、どこかで「まあまあ」という着地点になってしまっている。

飯田)折り合いをつけてしまっている。

鈴木)そういうことをやっているから、有事のときにエネルギー問題になるのです。今回の電力需給というケースをどう乗り切ったかということではなく、根本的にエネルギーの安全保障について、一代の政権をかけてでも議論するべきだと思います。これは将来のためです。そうしなければ、延々と繰り返します。

飯田)そうですよね。

鈴木)今回のことを議論のきっかけにして欲しいと思います。

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