ロシアを「北朝鮮化」してアメリカに挑もうとする中国の狙い

自由民主党・参議院議員の青山繁晴が4月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ情勢について解説した。

政協全国委、新年茶話会を開催(北京=新華社記者/鞠鵬)= 2020(令和2)年12月31日 新華社/共同通信イメージズ

ロシア軍がウクライナ東部ドンバスへ総攻撃開始か

ウクライナのゼレンスキー大統領は日本時間4月19日未明、国民向けの演説で「ロシア軍が東部ドンバス地方の戦いを開始したと言える」と述べ、ドネツク、ルハンスク2州の全域制圧に向けて攻勢を拡大したという見方を示した。アメリカ国防総省も、ロシア軍が東部に部隊を集中させていると指摘しており、戦闘はいっそう激しさを増す見通しだ。

飯田)20日朝の朝刊1面は、ロシア軍の東部への攻勢をトップにしている新聞が多くありました。第2段階という表現もウクライナ側から聞こえてきますが。

ウクライナ情勢を日本に置き換えると 〜東部は沖縄と鹿児島

青山)「ウクライナ東部」とよく聞くのですが、日本にとって最大の脅威は依然としてロシアではなく、同じ隣国でも中国です。だから、近未来の日本の状況にあえて置き換えると、「ウクライナ東部」は沖縄県、鹿児島県にあたるのです。

飯田)日本に置き換えると。

青山)親中派武装勢力と中国軍が入ってきて、沖縄人民共和国、鹿児島人民共和国になってしまうようなイメージです。私がもしそのとき国会にいたとしたら、必ず現地へ行って戦います。その場合、私は「ネオ軍国主義者」だとレッテルを貼られるでしょうね。

アメリカが動かないことを見ている中国

青山)ウクライナで起きているのは、そういう状況なのです。日本はその意味でも、次の事態に備えなければいけないし、中国は今回たくさんの情報を集めて、アメリカがいかに動かないか、いかに腰が引けているかということも確認しているのです。アジアの安全保障にとっては悪しき事態です。

長い時間をかけてウクライナ侵攻を計画してきたプーチン大統領

青山)それと同時に、「プーチン大統領は最近おかしくなったのではないか」と言う評論家や学者の方がいらっしゃるけれども、そんなことはありません。体調が悪いところはあるかも知れませんが。改めてわかったのは、プーチン大統領は「長期戦略型」だということです。

飯田)長期戦略型。

青山)プーチン大統領が1991年のソ連崩壊からずっと夢見てきた、ソ連帝国の復活に向けて、クリミア半島を偽装した住民投票で我がものにした。あれから、実は8年も待ったのですよ。この事態まで。

飯田)あれは2014年でしたからね。

アメリカが動かないことを見越していた

青山)アメリカ軍が動かないと。オバマ政権から戦わざるアメリカになって13年経つのですが、それはトランプ政権になっても、バイデン政権になっても変わらない。民主党、共和党関係なく、そうなのだということを判断して、今回のウクライナ侵攻に入った。

モスクワ近郊ノボオガリョボで、オンラインの安全保障会議に臨むロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ近郊ノボオガリョボ) AFP=時事 写真提供:時事通信

ウクライナ東部を獲り、ウクライナ全土を獲る

青山)入ったのだけれど、首都すら陥落できないくらいにロシア軍が弱っていることがわかった。徴兵制をたった1年としたことが間違いだったと、本人はわかっているので、とりあえず自主的に退き、首都はミサイルで脅しておく。そして日本で言えば沖縄、鹿児島を獲って、確保する。それから、いま最悪の事態になっている都市ですよね。

飯田)マリウポリという都市ですか。

青山)報道では「要衝」と言われていますが、ただの港町です。アゾフ海と黒海が入り組んだ、いわば豊かなビジネスもある港です。そこを獲って全部つなげ、事実上ロシア化して、何年か様子を見る。そしてアメリカ軍が今後も出てこないことを見切った上で、ウクライナを全部押さえる。

飯田)ウクライナ全土を。

ロシアの北朝鮮化 〜ユーラシア大陸の上を一帯一路の代わりに押さえる

青山)中央アジアには「〇〇スタン」とついている国が多いですよね。「〇〇人の国」という意味ですが、あそこも元ソ連だったという認識ですから、全部奪っていく。その意図が感じられるから、カザフスタンは今回の侵攻にもやや批判的なのです。

飯田)カザフスタンは。

青山)長期戦で動いているのだと考えなければいけない。そして、それが中国の支援によって行われるのです。ロシアの北朝鮮化なのです。逆に言うと、中国は北半球の下半分の一帯一路がうまく行っていない。中国に金を借りて首根っこを掴まれるのだと、いろいろな国が気付いてしまった。

飯田)中国の一帯一路が。

青山)そこに今回のロシアの動きがある。ロシアは中国なしでは生きられないから、ルーブルが持ち直しているのも、私は間違いなく人民元が支えているからだと思います。人民元とルーブルを交換する、つまり人民元を売って、ルーブルを買ってあげているから、ルーブルが復活しているのであって、プーチンさんが言っている理由とは全然違うわけです。

飯田)ルーブルが持ち直しているのも。

青山)ロシアはヨーロッパ寄りですから、ユーラシア大陸の上の方で、中国は一帯一路の代わりに勢力を伸ばす。ヨーロッパの頭の上から押さえるという戦略ですよね。そこで余裕をつくり、日米同盟に食い込んでくるというのが次の段階であり、すぐ明日の話ですよ。

米軍が動かないのでNATOも動けない

飯田)ルーブルの買い支えで思い出したのは、IMFの通貨バスケットの引出権に人民元も入っていました。その辺りを使って買い支えることは、システム的にも可能になっている。デジタル人民元もそこに絡んできますか?

青山)絡んできますし、中露にとっては全部予定された行動です。もう1回言いますが、プーチン大統領は明らかに長期戦略で動いていて、2014年にクリミア半島を併合してから、本人は8年かけて準備しているつもりです。それに対して、ウクライナはずっと危機信号を発してきたわけです。それからマレーシア航空機が親ロシア派武装勢力、ロシア軍の指導によって、ミサイルを撃ち込まれて撃墜された。

飯田)そうですね。

青山)その辺りも含めて、米英は特殊部隊をウクライナに送り込んで備えていたけれども、オバマ大統領の登場以降、戦わざるアメリカ軍になっているため、米軍が動かない。もともとは米軍の支配下にあるNATOも動けない。

プーチン大統領が警戒しているのはアメリカよりもイギリス

青山)イギリスだけは違う動きをしていて、プーチン大統領がいちばん警戒しているのも、本当はアメリカよりもイギリスだと思います。

飯田)アメリカではなく。

青山)特に特殊空挺部隊(SAS)を持っているので、イギリスからウクライナ東部が遠くても、SASは舞い降ります。「鷹は舞い降りる」と言っているイギリスの友だちがいるのです。

キーウ(キエフ)中心部を並んで歩くゼレンスキー大統領(右)とジョンソン英首相(ウクライナ・キーウ) AFP=時事 写真提供:時事通信

ゼレンスキー大統領の強気の裏にあるイギリスが代表するヨーロッパの支え

青山)第二次世界大戦のときのいろいろな教訓から、イギリスが支えたと。ナチスを倒したのは米軍だけれども、イギリスの支えがあったからだと。イギリスはEUを離脱したのだけれど、経済面でも苦しんでいるのです。それを立て直すためにも、ここでイギリス独自の力を見せようということです。Special Air Service(SAS)は陸軍の空挺部隊で、1941年に創立された世界初の特殊部隊です。その動きがずっと続いているので、ゼレンスキー大統領の強気の裏にも、アメリカではなく、イギリスが代表するヨーロッパの支えがあることは間違いありません。

米軍より1年早くウクライナに入ったイギリスの特殊空挺部隊

飯田)一部の報道では、ゼレンスキー大統領の警護にもSASが投入されているという話が出ています。

青山)あえて言いますが、SASがウクライナに入ったのは2014年ですから、クリミア併合の直後です。米軍のデルタフォースとネイビーシールズ、それからCIAも入っていますが、それは2015年でイギリスの方が早い。

飯田)アメリカよりも。

青山)それから、イギリスの水面下外交です。フィンランド、スウェーデンが急に態度を変えてNATOに入りそうになると、ロシアは焦って、国境近くまで軍隊を入れましたよね。

飯田)そうですね。核もちらつかせています。

青山)これはイギリス外交の力だと思っています。

飯田)なるほど。その辺りも動かしている。

「各国の様子を見て」という日本の姿勢はもう通用しない

青山)アメリカの一極支配が崩れてしまって、新しい秩序を求めて動いていることは、中国の挙動も含めて間違いありません。そこに日本は取り残されてしまってはいけないのです。「国際連携」と総理がおっしゃるのは正しいけれども、「様子を見てついていく」という姿勢はもう通用しません。アジアで民主主義のリーダーは日本しかいないのです。だから日本が先頭に立っていかなければいけない。

飯田)国連の枠組みも崩れてきている。

青山)国連は言わばオワコン、終わったコンテンツです。いまのグテーレス事務総長の非力ぶりを見ていてもそうですが、ウ・タント事務総長がいたときから、個人の問題もなくはないけれど、時代の変化なのです。

飯田)時代の変化。

青山)当面はすぐに新しい国際機構をつくるのではなく、限られた国の同盟関係が必要です。「AUKUS(オーカス)」という枠組みがありますが、そこにJをつけて「JAUKUS(ジョーカス)」にすべきだと私は主張しています。

飯田)先日、産経新聞がイギリスからAUKUS参加についてオファーがあるということを、1面トップで書いていましたね。

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