なぜロシア政府は「ロシア国債のデフォルト」を回避できたのか

ジャーナリストの須田慎一郎が5月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ロシアがロシア国債のデフォルトを回避できた理由について解説した。

2022年4月25日、モスクワでの会議に出席するロシアのプーチン大統領(タス=共同) 写真提供:共同通信社

元利の支払いができたロシア国債

ロシア財務省は4月29日、5月4日に猶予期限を迎えるドル建て国債の支払いをドルで行ったと発表した。

飯田)アメリカの二次的制裁は、ロシアと取引した銀行などに対して「ドルを使わせなくする」などという対応になるのか、この辺りはアメリカのなかでも意見が割れているということですか?

須田)そのアメリカにも先週、興味深い動きがありました。ロシア国債のデフォルトが事実上回避されたのです。4月4日に償還期限を迎えていたお金を、シティバンクのロンドン支店に振り込むことができ、結果的にロシア国債の元利の支払いができたという一報が流れました。

飯田)なるほど。

須田)もともと4月4日時点では、決済を請け負っているJPモルガン・チェースが、アメリカ政府との協議のなかで資金移動にはタッチできない、ドル決済にはタッチできないということでした。ロシアは自国通貨であるルーブルで代替する考えを示しましたが、発行時に定められた義務に違反すると受け止められ、デフォルトに陥る可能性が高まっていて、5月4日の猶予期限までにどうなるのかという状況でした。

国際金融マーケットの混乱を避け、アメリカが制裁を一時的に緩めたか

須田)そんななかでロシアがシティバンクのロンドン支店に振り込むことができたのは、「アメリカの制裁が一時的に緩んだのではないか」という観測が出ているのです。ロシアがデフォルトに陥ると、かつてのロシア危機のような状況になり、西側諸国を含め、それ以外の国々にも大きな影響が及ぶ可能性があります。あるいは国際金融マーケットが不測の事態を迎える危険性もあるので、そういったリスクは排除しようということです。

飯田)そのようなリスクを排除するために。

須田)ロシアに塩を送るのではなく、大きな変動を回避しようとしたのではないかということです。そういう観測が国際マーケットに出回っているのです。

飯田)国際的な金融システムのリスクと、ロシアに対する制裁を天秤にかけて、どちらのリスクが高いのかというようなことを当座は考えたのですね。

須田)シティバンクに取材したのですが、ノーコメントでした。

飯田)ノーコメントということは、否定も肯定もしていないのですね。

須田)していないのです。

飯田)国際政治的なマターであるから、金融機関として何か言葉を発することはできない。逆にいろいろなことを考えてしまいますね。

経済的に脆弱な国ほど多くの返り血を浴びる 〜ロシアへの経済制裁

飯田)そう考えると、制裁をこれだけ強く行えば、返り血の部分はいろいろなところに出てくるわけですね。

須田)いま、岸田総理が東南アジアを回っていますけれども、経済的に脆弱な国々が多くの返り血を浴びるわけです。そのようなところに対しても目配りをしていかないと、ロシアに関する一致したアクションは取れないということなのだろうと思います。

ロシアから天然ガスが入らない影響で不足するヘリウムガス

飯田)この番組では、ロシアのウクライナ侵略について、「あなたの暮らしへの影響は?」というテーマでアンケートを受け付けていましたが、いろいろなコメントが届いています。「仕事でヘリウムガスの制限が出るようになって、大事な測定が滞るようになりました」というお答えがありました。メーカー系の方なのでしょうか。「世界を脅かす新型コロナと戦争のいずれも、隣国とその隣の出来事で、距離に関係なく我がこととして考えたい」ということです。素材が入ってこないという部分も、いろいろと影響が出ていますね。

須田)水素はいろいろなところに使われるし、エネルギーとしても使われていますが、これは天然ガスから生成されるのです。そんなところにも影響が出てきています。

飯田)なるほど。一部は太陽光発電で電気分解して、ということも言われていますけれども、それは効率が悪いし、副産物的に出てくる水素ガスを使っているところは多いわけですよね。

須田)天然ガスから生成する方が効率的だし、コスト的にも安いのです。それを積極的にサハリンや北極海でやろうとしていたという流れがあります。

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