返り血を浴びる「覚悟」が日本にあるのか  問われるロシアへの「経済制裁」の意味

元航空自衛官で評論家の潮匡人が5月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。G7のオンライン会合について解説した。

2019年6月29日、大阪府大阪市を訪問している安倍総理は、G20大阪サミットを開催。夜には、ロシア連邦のウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン大統領と共に日露交流年閉会式に出席し、続いて会談を行い、その後文書署名式及び文書交換式に立ち会った後、共同記者発表を行った。 〜首相官邸HPアーカイブより https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11547454/www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201906/29g20.html

G7のオンライン会合で岸田首相が露産石油禁輸表明

岸田文雄首相は5月9日未明に開かれた先進7ヵ国(G7)首脳のオンライン会合で、ウクライナに侵攻したロシアに対する追加制裁として、ロシア産の石油を原則禁輸する方針を表明した。

G7の他の国の制裁と比べると遅れている日本

飯田)先進7ヵ国(G7)のオンライン会合が、ウクライナのゼレンスキー大統領を招いて開催されました。ロシア産石油の禁輸という話が出てきています。どうご覧になりますか?

潮)日本としては、これまでよりは一歩進めたということで、方向性は評価すべきだと思います。しかし、G7の日本以外の国の制裁と比べると、やはり日本が遅れていると言わざるを得ないと思います。

飯田)他の国に比べると。

潮)仮にこれを経済戦争というような脈絡で見ると、「戦力の逐次投入は軍事的には悪手だ」ということが昔から言われていますが、我が国のこの問題に対する経済制裁などの対応が、やはり逐次投入という評価に当てはまるのではないかと思います。

飯田)日本の対応が。

潮)特に2014年のウクライナ南部クリミア半島をめぐる紛争、その時代からロシアの侵攻が続いているという見方をすると、その時点で、日本は既に遅れていることになります。その遅れをいま取り戻そうと、スピードアップをしているということだと思います。

何のために制裁を掛けているのか 〜満足せずにさまざまな対応を考えるべき

潮)忘れてはならないのは、経済制裁をしないよりも、した方がいいに決まっていますし、できるだけ効果が高い制裁を加えるべきだということはその通りだと思うのです。しかし残念ながら、今回の問題を見ても、あるいは世界史のこれまでのさまざまな状況を考えても、経済制裁だけで力による武力侵攻を止めるというような効果は、なかなか期待できません。

飯田)経済制裁だけでは。

潮)「制裁をしたからそれでいい」ということにはもちろんならず、「何のために制裁を掛けているのか」という原点に戻り、これで満足せずにさまざまな対応を日本としても考えるべきだと思います。

飯田)逆に経済制裁をすることによって、「そちらがそうくるのであれば」と報復があり、エスカレートするのではないかという指摘まであるくらいですからね。

潮)そのような見方もあると思いますし、制裁を掛ければ日本が返り血を浴びるという側面もあります。プラス、マイナスを計算して、実はマイナスの方が大きかったということになると、「何のために制裁をかけているのだ」という指摘も、もちろん出てくるのだろうと思います。

2022年5月9日、テレビ会議に臨む岸田総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/09g7.html)

戦争であれば返り血を浴びるのは当たり前 〜日本に問われるその覚悟

潮)ただ、だからといって「制裁をしない」という結論に至るというのは、本末転倒で間違っていると思うし、今回、何のために制裁を掛けたのかという原点に戻るべきだと思います。逆に言うと、相手が嫌がらないような制裁であれば、何の効果もないのです。さらに武力制裁、戦争ということを念頭に置くと、何らかの行為をすれば返り血を浴びるのは当たり前のことで、その覚悟があるかないかということが、日本にも問われているのではないかと思います。

飯田)ウクライナとロシアの関係というよりは、「力による現状変更を許すことが、日本にとってどういうことか」ということですね。

潮)特に北朝鮮の問題でも、日本は何度も制裁を加えてきていますが、その効果がどれくらいあったのかと言えば、「ゼロに近い」という評価も成り立つと思います。最終的にその先の手段を含めて、少なくともその覚悟は問われているのだろうと思います。

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