経済安全保障推進法が成立 〜できた枠組みを使い「何をするのか」

慶應義塾大学総合政策学部准教授の鶴岡路人が5月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。経済安全保障推進法について解説した。

2022年4月26日、記者の質問に答える岸田総理〜出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202204/26kaiken.html)

経済安全保障推進法が成立

岸田政権が重視する経済安全保障推進法が5月11日、参議院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立した。

できた枠組みを使ってどのようなことを行うのか

飯田)この議論、そしてこの法律をどうご覧になりますか?

鶴岡)極めて重要な法律だと思います。今回はとりあえず、枠組みができたということなのです。基幹インフラの事前審査や、先端技術の官民協力というところが目玉になるわけですけれども、今後、これを使って実際にどのようなことを行うのかが大事です。やはり分野を決めて、どう使っていくかをしっかり考えないと、枠組みができただけでは意味がありません。

「中長期的にどう考えていくか」がメイン

飯田)半導体なども最近は入りにくくなり、ものがつくれないのではないかと言われるようになりました。喫緊の課題に押されて何とか成立したという感じですか?

鶴岡)経済安全保障推進法に関して、岸田政権は最初から力を入れていたわけですけれども、注意しなければならないのは、ウクライナ情勢もあり、現在いろいろな供給網などが影響を受けています。このような緊急事態に対処するという話と、中長期的にサプライチェーンを強化していくという話は、重なるところもありますが、若干違うと思うのです。

飯田)中長期的な話とは。

鶴岡)今回の経済安保推進法は、基本的に平時において「中長期的にどう考えていくか」という方がメインなのだと思います。

中国を念頭に置いて経済安保推進法をどう進めるか 〜具体的にどこを優先するのか

飯田)いま、ウクライナの話がありますけれども、もともとは中国を念頭に置きながら、またアメリカがかなり締め付けを強くしているなかで、日本が何もしないわけにはいかないという議論でしたよね。

鶴岡)最近、中国の議論がすっかり後回しになっている感じがありますが、やはり中長期的には、中国が最大の問題なわけです。ですから、これをどのように進めていくかによって、何かをやらなければいけない必要性に関しては、基本的に合意があるのだと思うのです。

飯田)やらなければいけないことに関しては。

鶴岡)ただ、具体的にどこを優先するのか。すべてのことを一緒にはできないので、優先順位の話なわけです。そうすると、いろいろな利害の違いや調整という課題は、どうしても今後メインになってくると思います。

基本的には守りの法律

飯田)今回は新しく生み出すというところで、まずは優先付けのなかでも、やりやすいものをつくろうというところはあったのですか?

鶴岡)そうですね。基本的な建付けとしては、守りの法律なのだと思います。供給網に関しても守るし、重要インフラに関しても外からの妨害や影響をどう封じるかという観点です。

飯田)守りの法律。

鶴岡)唯一攻めに使えるかなと思うのは、先端技術の官民協力のところです。仮にそれを供給網の強化と組み合わせたら、日本が何か新たな分野で先手を打ち、しかもその供給網を確立していくというような攻め方ができるのでしょうけれども、基本的に現段階では守りが主体です。

これから制度設計を考えていく「セキュリティクリアランス」

飯田)もう1つ守りの部分で、人材に関する部分、よく「セキュリティクリアランス」などと言いますけれども、人が外に情報を漏らさないかどうかを事前に審査する仕組みです。「ここがこれから先の課題なのだ」と各紙が指摘していますけれども、いかがですか?

鶴岡)確かに課題なのですけれども、どのように進めていくかということを考えると、「これから制度設計を考えていく」という段階です。

飯田)制度設計を考えていく。

鶴岡)今回はセキュリティクリアランスに関する部分が見送られたというような理解がありますけれども、おそらく最初からそこまで踏み込むつもりはなかったのではないでしょうか。

飯田)見送ったということではなく。

鶴岡)今後は必要性に応じて、その話を詰めていくということだと思います。

飯田)審査しようにも情報がなければできないわけですからね。

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