北方領土問題〜現実的には「0と2島の間」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月23日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。日露首脳会談を終え、今後の北方領土問題の行方について解説した。

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首脳会談を終え、共同記者発表で握手するロシアのプーチン大統領(右)と安倍晋三首相(ロシア・モスクワ)=2019年1月22日 写真提供:時事通信

日露首脳会談が終了、平和条約締結への意欲を確認

安倍総理)日本国民とロシア国民が互いの信頼関係、友人としての関係を更に増進し、そして、相互に受け入れ可能な解決策を見出すための共同作業を、私とプーチン大統領のリーダーシップの下で力強く進めていく。その決意をプーチン大統領と確認しました。

安倍総理は昨日、モスクワのクレムリンでロシアのプーチン大統領と会談を行った。終了後の共同記者発表では、北方領土問題を含む平和条約締結交渉について「日露両国で受け入れ可能な解決策を見出すために共同作業を進めることを確認した」としている。

飯田)通算で25回目となりました、今回の総理とプーチン大統領の会談ですけれども、この交渉ですが、60〜70年動かなかったものを動かそうとしている。

高橋)ようやくスタートラインに立ったというところです。いままで立っていなかったのです。60数年間何もしていなかったのだから、それをひっくりかえすのは時間がかかると思いますけれどね。

飯田)裁判に例えれば、公判前整理をずっと続けていたようなものですか?

高橋)整理もしていなかったのかもしれない。ただ単に、日本が言いたいことを言っていたのかもしれない。

飯田)お互いに言いたいことを。

高橋)向こうは話を聞かないレベルだったのですよ。何もしなければ現状維持のままですから。日本が何を言っても、交渉していないから構わない。ある意味で日本としては、交渉していないから言いたいことが言えた。率直に言うと4島は経緯からして、なかなか難しいですよ。サンフランシスコ講和条約で千島は放棄してしまった。択捉・国後は千島に含まれているというのが普通の解釈です。

飯田)当時の政府解釈もそうだった。

高橋)それはかなり難しいですよね。日ソ共同宣言が2島です。だから4島とは、ほとんどなかったことを言っていたのかもしれない。

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択捉島 – Wikipediaより

日ソ共同宣言で「2島」としたのは国連加盟時にソ連に拒否されないため

飯田)4島の論拠としては、サンフランシスコ講和条約に当時ソ連は署名をしていなかったから、そこは両国間では無いものだというのが日本の言い分ですよね。

高橋)1956年に共同宣言した後に、実はその年末に日本は国連へ加盟しています。国連加盟の際にソ連に拒否権を行使されると困るから、日ソ共同宣言があるのですよ。そのときに国連加盟は前提になっている話ですよね。日ソ共同宣言で「2島」という話が出ているということは、国連の話を出されて、「日本が国連に入るときにソ連は助けましたよね」と言われると日本は辛いのですよね。国連に入るのが前提だったので、そこで本当の交渉があって、「2島」という話になっているわけです。

飯田)実質、サンフランシスコ講和条約をベースにするぞと。

高橋)アメリカも4島と言っているのは、それがアメリカにとっても好都合で、4島と言わせておけば日本とソ連との交渉はほとんど無く、日本とソ連がくっつくことはない。交渉しないと思っていたかもしれませんね。

飯田)そこを引きはがすために、アメリカとしては4島と言え、と。

高橋)そういうことかもしれません。いずれにしても4島は難しいのだけれど、2島と言い出したということは、ようやく交渉のスタートラインに立ったのかなと思います。でも、「0」というのがロシアの主張です。2にしても、0と2の間にどこか落ち着くところ、両国民が納得する話は「2」ではないです。

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ロ、在日米軍で回答要求  モスクワで記者会見するロシアのプーチン大統領(タス=共同)=2018年12月20日 写真提供:共同通信社

日露両国民が納得する答えは「0と2の間」

飯田)2が完全に日本の領土になるということはない。

高橋)ロシアが納得しないでしょうね。「両国民が納得する」と言っているのだから、それは、「0と2の間」ということしか言いようがないです。

飯田)そこをどう構築して行くかということになって来る。

高橋)4と言っている人からしたら、とんでもない話になるのでしょうけれどね。本当の交渉になるとこんなものです。領土は戦争でないと取れない。戦争でなく取るということは、非常に時間がかかって大変なのですよ。うまく行っても「2マイナスいくつ」というレベルだと私は思います。
今後を見据えて、これまでの60数年の間にもソ連崩壊みたいなことはあったのですよ。

飯田)チャンスはあった。

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ロシアのプーチン大統領(右)との会談で握手する安倍晋三首相(シンガポール)=2018年11月14日 写真提供:時事通信

これから先にチャンスがあるか

高橋)5〜60年経つと1回くらいチャンスの可能性があるのですよ。これから先の5〜60年を見据えてチャンスのときに何かができる体制を取れば、日本としてはいまの0よりは良くなったと言えるのですよ。

飯田)そうすると、これは落着させずにある程度のところで、平和条約はもちろん締結する形になるとは思いますが、さらに交渉を続けるという一文を載せるかどうか。

高橋)交渉を続けている限りはチャンスがあるということになるでしょう。今回はどうなるかという風に皆報道するじゃないですか。そうではなくて、これから先チャンスがあるかどうかというところがポイントになると思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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