行動制限措置を行うかどうかは国ではなく「世論が決める」こと 新型コロナ「第7波」

ジャーナリストの佐々木俊尚が7月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。新型コロナウイルス第7波の対策について解説した。

新型コロナ雑感 今日の新型コロナの新規感染者数が1万人を超えた大阪府。大阪市内にあるミナミの繁華街はにぎわっていた=2022年7月13日午後、大阪市中央区 写真提供:産経新聞社

コロナ第7波、状況応じ行動制限も

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後藤厚労大臣)病床がひっ迫するというような事態が見込まれるようになってくれば、行動制限を含む実効性の高い強力な感染拡大防止措置を講ずることとなるということについては申し上げておきたいと思います。

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後藤厚生労働大臣は7月19日の記者会見で、新型コロナウイルス第7波への対策について、「病床ひっ迫などの事態が見込まれれば、行動制限を含む強力な措置を講じることとなる」と述べた。

第7波の到来で病院は混雑 〜「夜11時まで診察した」という医者も

飯田)コロナ第7波は、オミクロン株の派生型BA.5が主流だと言われています。私も家族が発熱したので、昨日(19日)病院に行ってきたのですが、かなり混んでいました。予約時間を30分以上過ぎて、ようやく順番が回ってきたような状況でした。「やはり感染者が増えているのだな」と感じます。

佐々木)私もツイッターで、30〜40人くらいの医療クラスタの先生たちをフォローして読んでいるのですが、ここ1週間くらいは悲鳴のような感じです。発熱外来が感染爆発により山ほど並んでいて、「夜11時まで診察した」というお医者さんもいらっしゃいました。大変な状況のようですね。

ワクチン接種をしていない子どもの患者が多い 〜症状も軽くない

佐々木)ツイッターを見ていると、子どもが多いという印象があります。高齢者や基礎疾患のある方は、ワクチン接種率も90%くらいになっていて、ワクチン3回目のブースター接種をした人たちは、PCR検査で陽性になっていても症状は出ていない感じです。

飯田)3回目のワクチン接種をした人は。

佐々木)一方、ワクチンを打っている子どもは少ないので、本当に苦しそうです。「ゼイゼイ」と言って息もできないのだけれど、それでも症状としては中等症であると。重症というのは相当なところまでいかないと入院できない状況なのです。かと言って病院に行っても、いまは発熱外来で予約さえできない。電話しても断られるので、どうしたらいいかわからず、病院からも患者さんからも悲鳴が上がっている状況です。

これ以上病床使用率がひっ迫する場合は行動制限措置を行う可能性も

飯田)メールなどでもいろいろご意見をいただいています。京都市在住の“フウ”さんから。「15日に高校3年生の息子が発熱し、コロナ陽性判定が出ました。夫婦2人が濃厚接触者で、自宅に篭っています。運よく療養ホテルに空きが出て、18日から入れるということで、未成年でしたが入ってもらいました。受験勉強道具、ゲーム、滞在中のお菓子などを詰め込んだ大きな鞄を持った息子が、自宅前に配送された感染者専用のタクシーに乗り込んでいく様を見て、悲しい気持ちでいっぱいです。そんななか、今朝から妻が発熱し、近所のクリニックで抗原検査を行っている最中、待合室でメールを書いています。行政の方々には非常に助けられました。あとは妻の陰性を祈るばかりです」といただきました。こういった身近な例が増えているようですね。

佐々木)最近までの流れで言うと、第6波が収まって、ゴールデンウィークくらいから一気に全面解禁の気持ちになり、電車や新幹線などもほとんど満席状態でした。観光地もどこも人でいっぱいという。この夏になってからもそういう状態が続いていたので、「もう終わりなのかな」とみんなが何となく心のなかで思っていたのではないでしょうか。

飯田)そんな雰囲気でした。

佐々木)マスクも「屋外では外していい」という厚労省のガイドラインも出ていて、徐々に外す人が増えてきているところで、今回の第7波です。ショックが大きいですよね。

飯田)大きいですね。

佐々木)後藤厚労大臣も「いますぐ行動制限をしますよ」という話ではなく、現状、特に重症患者に関しては、まだ病床使用率はそこまで高くない。今後もし、これ以上ひっ迫する状態になれば、いよいよ行動制限が行われる。緊急事態宣言なのか、まん延防止措置になるのかはわかりませんけれども、「やらざるを得なくなる可能性がありますよ」と釘を刺しているのです。

新型コロナが「インフルエンザ並み」になったのか、「そうではない」のかは医療専門家のなかでも意見が分かれる

飯田)病床等々の部分で、基本的に症状の軽い人に関しては「自宅療養」という感染症法の5類相当まで落とすのか、いまのように原則、入院のままでいくのか……。これは議論があったところですが、そのままになっていますよね。

佐々木)わからないのですよね、ここが。「インフルエンザ並みになった」という意見が医療クラスタの人のなかからも出ている一方で、「いやいや、そういうレベルではない」という意見もある。医療の専門家のなかでも意見が分かれている感じがします。

飯田)意見が分かれている。

佐々木)1つ気になるのは、「ロング・コビット」と呼ばれる後遺症です。人によっては1年以上、症状が続いているという話もあります。これがいったいどのくらい、いままでのインフルエンザと違うものなのかということが解明されていない部分があります。後遺症も含めて、まだわからないことが多いという話ではないでしょうか。

4回目のワクチン接種対象者に医療従事者と介護施設職員が含まれていなかった

飯田)先ほどのメールの方も、高校3年生の息子さんと書かれていましたけれども、子どもの感染が多い。ワクチンがそこまで行き届いていないという話も出ています。

佐々木)そうなのですよね。岸田政権になってから、ワクチン対応がうまくいっていないと思います。例えば4回目の接種がスタートしていますが、対象は60歳以上の人と基礎疾患のある人ですよね。

飯田)いまのところそうですね。

佐々木)なぜか医療従事者や介護施設の方々が含まれていなかった。お医者さんからは「なぜ医療従事者が4回目に入っていないのか」という意見が多い。沖縄では、医療従事者がワクチンを打っていないから爆発してしまったという問題が起きているのです。

これまでの「お願い」と「自粛」だけで、OECD加盟国のなかで「死亡率が最低」の日本

飯田)新型コロナについて、ツイッターでも意見をいただいています。 “それってお高いんでしょう”さんから、「世界は緩和に向かっているのに日本だけ締め付けるのか」という指摘をいただきました。世界の流れと日本というところも含めてですかね。

佐々木)そう言いながら、日本は結果的にOECD加盟国のなかで「死亡率が最低」という偉業を成し遂げているわけです。都市封鎖をしたわけでもなく、強力な措置を行ったわけでもない。「お願い」と「自粛」だけでコロナ感染を抑えてこられたというのは、世界に誇るべき話だと思います。

飯田)お願いと自粛だけで。

佐々木)ただ、それをどこまでやるのか。いまのように状況が解禁されてしまうと、一気に第7波で感染者が「ワッ」と増えてしまいます。病床使用率はまだそれほどひっ迫している状況ではありませんが、発熱外来は長蛇の列になってしまって、熱が出ているのに診察さえ受けられないという人がたくさん出てきてしまっています。

行動制限措置をするかしないかは国ではなく、世論が決めること

佐々木)これを甘んじて受け入れるのか、それとも、ここで「もう1回抑え込まなくては」となるのかは、世論が決めることだと思うのです。実際、そう言いながら、ここ数日「再び感染爆発している」という情報が広まったので、人出が減っているという話もあります。

飯田)第7波で。

佐々木)電車の混雑率もやや緩和されているような感じもあります。この辺りに関して、日本人の動きは早いです。一部には「マスクをするのもけしからん」と怒っている人たちがいる一方で、「感染は怖いよね」と言っている人たちもいる。全体的に、世論がいまのコロナを「どう受け止めているのか」ということが読みにくいですよね。どう判断するかは、我々がみんなで決めるしかないのではないでしょうか。国にどう言われるかということではなく。

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