それでも長期化は間違いない「ロシアとウクライナの戦い」 侵攻後初の米露外相会談へ

外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が7月29日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。電話で行われる予定の米露外相会談について解説した。

【ウクライナ侵攻】イルピンの墓地で行われた犠牲者の葬儀。埋葬される棺=2022年4月28日、ウクライナ・イルピン 写真提供:産経新聞社

米露外相、ロシアによるウクライナ侵攻後初の会談へ

ブリンケン米国務長官は7月27日、ロシアのラブロフ外相と数日中に電話会談すると明らかにした。ロシアによる2月のウクライナ侵攻開始後、米露外相の対話は初めてとなる。

新行)米露外相会談についてですが、いかがでしょうか?

中国のロシアへの支援を牽制するアメリカ 〜ロシアに対して慎重な中国

宮家)まず米中関係について言うと、今回の米中首脳会談における議題の一つは、ホワイトハウスの発表文には書いていないのだけれども、ウクライナ戦争を戦うロシアに対して中国がどれくらい支援するのか。これがアメリカにとって、今回の首脳会談でいちばん大きな関心事の1つだったと思います。

新行)首脳会談のなかでの。

宮家)どういう言い方をしたか知らないし、書いていないから何とも言えないけれども、「間違ってもロシアに軍事的な援助をしたらダメだよ」と、「そんなことをしたら取り返しのつかないことになるよ」と言っているに違いないのです。

新行)牽制している。

宮家)中国側も北京オリンピック直前には、「ロシアと中国の友情に限界はない」と言っていたのだけれども、ロシアがウクライナ侵攻を始めてしまい、しかも、これほど戦争が長続きするとは思わなかったということもあり、困っていると思います。

新行)ロシアとウクライナの。

宮家)だから中国は最近、ロシアに対して非常に慎重です。リップサービスはするのだけれども、実質的な支援に関しては、かなり制御しているような気がします。そのような状況で、アメリカは「ロシアに敵対せよ」とは言わないけれども、中国にはある程度自制するように求めているのではないでしょうか。

長期化は間違いないロシアとウクライナの戦い

宮家)続いて、ロシアとウクライナの戦争についてですが、いろいろな説があります。今は新しい情報戦が始まっているのでしょう。要するに、この戦争は長期化するのです。ロシアが「9月11日にも勝利宣言」などと言われているけれども、客観的に見て、ロシア軍はドンバス地域、ウクライナ東部については占領を相当、確固たるものにしているのだろうと思います。

新行)ドンバス地域については。

宮家)そうなると、今は南方のオデッサ等々、黒海に近い部分をウクライナがどこまで守れるかに関心が移ります。しかしながらウクライナには、最新鋭の兵器がNATO側から次々と入ってきます。ロシア軍もかなり疲弊しているかも知れない。いや、頑張っているという情報もある。いろいろな見通しや情報がイギリスやアメリカやロシアから流れてきていてます。正直に言うと、停戦までにはもう少し時間がかかるのかなという気がします。いずれにしても、長期化はまず間違いないわけです。そのような状況でロシアとアメリカが外相会談をする。外相会談をするということは、首脳会談は未だしないということです。

米露で定期的な意見交換を続けることは大切

宮家)ブリンケンさんが出てくるのはいいのだけれども、相手はラブロフさんですから、何を言っても「のれんに腕押し」だと思います。そうなると大きな進展は望めないのだけれども、米中もそうですが、米露も大国同士ですから、定期的に意見交換だけはしておいて、相手が間違った行動に出ないように牽制する。こちらも間違ったメッセージを送らないようにする。信頼醸成とは言いませんけれども、少なくとも誤解が生じないようにするべきですし、それを回避するための対話はすべきだろうと思います。

米女子バスケ選手がロシアで拘束

宮家)別件ではあるけれども、アメリカの女子バスケットボール選手が、違法薬物所持でロシア当局に拘束されています。アメリカは人質を交換する形で、捕まえているロシア人の「死の商人」と言われる犯罪者を解放しようと交渉している。それを公に言ってしまったから、果たしてうまくいくかどうかはわからないけれども、それくらい混迷が続いているということではないでしょうか。

新行)いわゆる人質交換という。

宮家)発表すればみんなの期待値が上がるだけで、水面下の交渉ができなくなってしまう。あまりうまいやり方ではないと思いますが、アメリカは発表してしまいました。いずれにせよ、まだまだこの戦争は続くだろうと思います。

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