姿勢を示すのみで台湾有事への具体的な議論がない日米

ジャーナリストの佐々木俊尚が8月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。古屋議連会長の台湾訪問について解説した。

台湾の双十節(建国記念日)祝賀式典で演説する蔡英文総統=2021年10月10日、台北(中央通信社=共同) 写真提供:共同通信社

古屋議連会長が台湾訪問、蔡総統と会談へ

超党派の議員連盟「日華議員懇談会」の会長、自民党の古屋圭司衆議院議員が、8月22日〜24日の日程で台湾を訪問する方向で調整に入った。蔡英文総統や防衛当局と会談し、結束を確認する予定。

飯田)ペロシ米下院議長の訪問から、風雲急を告げるという感じになっていますね。

佐々木)古屋さんの訪問にしろ、ペロシさんの訪問にしろ、メリット・デメリットがあると思います。メリットは「我々はきちんと台湾を守りますよ」というアメリカや日本の意思を公に見せることです。実際、台湾の人はペロシさんの訪問にとても喜んだというニュースがありました。

飯田)ペロシ下院議長の訪問に。

佐々木)一方で、今回の議連の訪問にはあまり反応していませんが、中国側も対抗して、ペロシさんの訪問とその後の代表団の訪問に対し、軍事演習を行いました。あの軍事演習を見ると、「台湾と日本は近いのだな」と実感します。先島諸島からすぐですからね。あの空域・海域で軍事演習をされると、日本はまったくの無縁ではいられないということが改めてわかります。

台湾有事の場合、台湾在留邦人をどのように退避させるか

飯田)日本の排他的経済水域にもミサイルが5発撃ち込まれました。

佐々木)そうなのですよね。それが当たり前になってしまっている。「新常態」と言っていますが、日常的に台湾の領空を中国機が侵犯したり、日本の排他的経済水域にやってくることが当たり前になってしまうと、ジワジワと戦争の危機が高まることになります。

飯田)戦争の危機が。

佐々木)どう対応するのかを真面目に考えなければいけません。しかし、いまのところは「台湾を守りますよ」という意思を示しているだけであって、そこから先はどうするのかという具体的な議論はあまり進んでいない状況です。

飯田)そうですね。

佐々木)台湾には在留邦人が2万人以上います。もし台湾有事があったときに、2万人以上の在留邦人をどうやって避難させるのかなど、対策を立案しなければいけないのですが、できていません。

日本もアメリカも姿勢は示すが、台湾有事が起きた場合の具体的な対策はない

佐々木)いまのところ、日本にしろアメリカにしろ、姿勢を示すに留まっています。実際に有事が起きたら、日本は何をするのか。現状では、日本の自衛隊が防衛出動して参戦する可能性はあまりありません。台湾の世論調査を見ると、「米軍はいまひとつ頼りにならないので、自衛隊に助けにきて欲しい」という人が6割ぐらいいるという数字があったりします。期待感はすごいです。

飯田)日本の自衛隊に期待している。

佐々木)現状の日本の憲法と安全保障体制から言うと、それは現実的ではありません。米軍が出動し、それに対する空中給油や海上補給などの後方支援にまわるのが妥当なところだと思います。しかし、どのような役回りで行うのかなど、そこまで議論ができていないと思います。

日台米の3ヵ国で情報が緊密に流れるような体制になっていない

飯田)このお盆にシンクタンクがシミュレーションをして、そこには国会議員の方々も参加されたそうです。「いまどんなことが起きていて、それに対して我々に何ができるのか」という事態認定で時間が掛かったという話が出てきました。

佐々木)結局そういうことですよね。日台米の3ヵ国で情報が緊密に流れるような体制になっていないということです。

飯田)『シン・ゴジラ』の映画のように、書類をひっくり返して「この事態にここが認定できます」ということをやるつもりなのかと。

佐々木)いきなり首相官邸にコピー機を持っていくのかということですよね。そんな時代ではないと思いますが。

飯田)そこは考えなければいけないですよね。あってしかるべきということになります。

佐々木)公に触ってしまうと中国を刺激するので、どれだけ水面下で進められるのかという話になります。自衛隊も防衛省も考えてはいるのでしょうが、できれば密かに進めて欲しいと思います。

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