なぜ安倍元総理にSPが覆いかぶさらなかったのか なぜ安倍元総理は屈まなかったのか

作家で自由民主党・参議院議員の青山?晴が8月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。安倍元総理の銃撃事件について解説した。

安倍元首相が銃撃された現場付近で、4人の警察官に取り押さえられる山上徹也容疑者 2022年7月8日 写真提供:共同通信社

安倍元総理銃撃事件、谷国家公安委員長が現場を視察

安倍元総理大臣が銃撃され暗殺された事件で、谷国家公安委員長は8月22日、就任後初めて奈良市の大和西大寺駅前の事件現場を視察した。警察庁は事件後、警護・警備についての検証と見直しを進めていて、今週中にも結果が公表される見通し。

飯田)まもなく四十九日を迎えます。

問題は警備・公安分野である警備・警護の方

青山)まず警察は大きく2つに分かれます。申し訳ないですが交通などは横に置いておいて、警備・公安と刑事に分かれるということを少し頭に置いてください。安倍元総理の暗殺事件についても警備・公安分野、つまり事前に不審者を調べておいたり、当日の警護・警衛、要人を守るという部門。それから、起きてしまった事件の捜査を行う、犯罪捜査、刑事部門が違うということを頭に入れていただくと、ありのままに申して、いちばん大きな問題は警備・警護・警衛の方なのです。

飯田)問題は警備・警護の方。

青山)犯罪捜査について、私のところにたくさんご意見をいただくのですが、「警察は何か巨大な陰謀があるのに、それを隠しているのではないか」ということです。私の個人ブログのサーバーがダウンしそうになるくらい問い合わせがあるのですけれども、例えばテントが張ってあったと。

飯田)ビルの屋上に。

青山)山上容疑者ではなく、テントから違う狙撃犯が狙っていたのだという意見が溢れるくらいに寄せられました。お気持ちはわかりますし、テントがあったのも事実なのですが、まず暗殺者はテントを張ったりしません。あれは排煙ダクトの清掃、修繕があったのかは知りませんが、保全のためにやったということがはっきりしていて、警察も調べていました。

飯田)テントに関しては。

青山)それから、銃弾が1つ見つかっていません。これを警察が隠していて、私が動画で初めて述べたという雰囲気があるようですが、動画で私が述べたのは事実ですけれども、これは自由民主党の「治安・テロ対策調査会」という正式な機関の会合で、私は一応、調査会の幹事です。普通に平場で議論があり、警備局長が出られて私が狙撃の様子を詳しく聞いていたときに、警察の方から「実は銃弾が1発見つかっていないのです」と。ご遺体が犯罪捜査の警察に渡った時点で、既になかったそうです。つまり救命措置、失血死ですから大量に出血しているところで、しかも弾が丸いのです。直径10ミリ、形状としては正露丸のようなもので、それが転がっていった可能性があるということなのです。

飯田)1つの銃弾が。

青山)隠していたのではなく、治安・テロ対策調査会ではっきりと言ったわけです。私は自分の発言に対する答えとして、それを動画で発信した。自分の発言に関することだからいいのですけれども、一応は根回しをして出したのです。

飯田)動画に出された。

青山)それをNHKが特ダネのように出したのが8日後です。でも、これは取材力の欠如を物語っていて、調査会は部会と同じくあとでブリーフィングするのです。それは調査会長の自由な内容なのです。部会も同じで、部会長の自由な内容です。

飯田)なるほど。

青山)発表に依存するのではなく、出ていた議員に聞いていかなければいけません。当然ですけれども、私は記者時代にそれをやっていました。やっていた人は私だけではないですよ。おそらくそれが欠落していて、8日間もかかった原因は警察が隠していたわけではなく、取材力の方なのです。

飯田)警察が隠していたのではなく。

青山)犯罪捜査において重大な隠蔽がなされているということは、私は考えていません。事件取材の経験からしてもそうです。犯罪捜査についても、例えば警察も甘いところがあって、「銃弾が見つかっていないのは警察の責任ではないから、公判は大丈夫」ということを非公式に私に言うのです。でも私が弁護士だったら、1発は安倍さんの体内で見つかっているのに、もう1発は見つからないというところに食いついてやりますよ。

飯田)銃弾が1つ見つからないということに。

青山)ご遺体が警察に来たときには既になかったという話ではなくて、もう1度、医療廃棄物や現場にある溝のなかなどをもっと調べなくてはいけないということは言っています。

飯田)そうですよね。

青山)しかし、それと警護・警衛の問題は別です。個人の問題に決してすり替えてはいけませんから、特定のSPなどという話は決してしないけれども、この件は最初から言い訳の姿勢です。

飯田)言い訳の姿勢。

青山)これは事件が起きたあとの話ですから。事件を起こさないために警察の役割があります。先ほど言った通り、2つ分野のもう1つです。それについては信じがたいミスがあったことは事実で、治安・テロ対策調査会の警察による説明も、最初の資料では、要するに「急に場所が変更になった」と。当日朝、私はたまたま飛行機で安倍さんと乗り合わせたのですが、私の方から「長野のはずがどうして伊丹行きの飛行機に乗っているのですか?」と聞いたら、安倍さんが「長野より奈良の方が油断大敵なのだ」とおっしゃったのです。

安倍元首相が銃撃された現場付近で取り押さえられる山上徹也容疑者 撮影:2022年7月8日午前11時38分ごろ、奈良市 写真提供:共同通信社

安倍元首相が銃撃された現場付近で取り押さえられる山上徹也容疑者 撮影:2022年7月8日午前11時38分ごろ、奈良市 写真提供:共同通信社

2発目の狙撃のときに安倍さんが少しでも姿勢を低くしていれば当たっていなかった 〜なぜ警護が飛びかからなかったのか

青山)急に変更になったことを、言い訳として見せないようにしているのですけれども、資料の冒頭には書いてあるのです。これは隠れた言い訳ですよね。要人の動きなどは、それこそテロのリスクに応じても変わるのだから、柔軟に変えなくてはいけない。その柔軟性が失われていて、最低限度のこともできなかった。

飯田)柔軟性が失われていて。

青山)1回目の狙撃が天の計らいでたまたま外れました。2回目の狙撃で音がしたときに、タイヤのバーストなどと余計なことは考えず、安倍さんに飛びかかって少しでも姿勢を低くしていたら、結果は違ったかも知れない。当たったのは「上腕部」と言っていますけれども、肩に近い辺りから水平に入って、鎖骨下の動脈を傷つけて失血死なさったわけです。つまり、上の方に当たっているわけですから、かがんでいれば当たっていなかったのです。

【安倍元首相が銃撃される】安倍晋三元首相が銃撃され、東京・銀座の数寄屋橋交差点付近で配布された産経新聞の号外を手にする人たち=2022年7月8日午後、東京都中央区 写真提供:産経新聞社

いざというときの訓練をしていなかった安倍元総理

青山)「もしもの話はない」と言っても、これはあるのです。私が米国の知り合いに聞かれたのは、安倍さん自身がなぜかがまなかったのかと。事前にそういう訓練をしていないのかと聞かれましたが、していません。そこに至るまで抜け穴だらけなのです。

飯田)いざというときに身を守る訓練もしていなかった。

青山)今回、結果を公表することになっていますけれども、そこまで踏み込むのかどうか、私は懸念を持っています。警察側に言っているのですが、警察側の顔に「青山さん、ちょっと辛いです」と書いてあるのです。しかし、組織としての問題をえぐり出さなければいけません。

なぜ警護が安倍さんに飛びかからなかったのか、なぜ安倍さんはかがまなかったのか

飯田)報告書に関して、「こういうものではないか」というような新聞記事もありましたが、奈良県警が警察官、特に「制服の警察官が配備されていなかった」ということが書いてあり、「どうして?」という感じがしました。

青山)公判で明らかになると思いますが、山上容疑者はあのような状況で、制服の警察官がいたら犯行に及ばなかったのか。また、こういうものは事前に犯行を思いとどまらせることも大事ですけれど、もし事件が起きたときにも、ミティゲーション(緩和する)という危機管理の専門用語があります。事件が起きたときに、なるべく被害を減らす。それは津波災害であっても、暗殺事件でも同じで、要人が傷つくのと命を失うのとでは、天と地以上に違うわけです。

飯田)そうですね。

青山)なぜ安倍さんに飛びかからなかったのか。もう1つ、なぜ安倍さんはかがまなかったのか。本当はこの2点がポイントなのです。制服の警察官を配備しなかったとか、後ろ側にいたとか、連絡不十分だったということなどが周りをグルグルと回っていて、肝心な問題を避けているように見えるのです。それをやると警察は終わりですよ。

飯田)警察は。

青山)かがんでいれば安倍さんはいまも健在で、いろいろな議論をなさっていたわけです。あえて言うと、国葬のことについても、安倍さん本人は議論できなくなってしまっているわけです。

飯田)そうですね。

青山)結果の重大さを考えたら、それが要人警護です。元総理と言っても発言力をお持ちでいらしたわけです。本当は、警視庁からのSPが1人でよかったのかどうかも含めて議論しなければいけません。しかし、SPは自分では決められません。まさしく上の問題なのです。

飯田)組織全体の。

青山)組織全体というか、上です。上が直接関わっていたのかということです。関わっていなかったら、関わっていなかったことが問題でしょうという。辞めればいいという問題ではありません。仮に辞めたとしても、生涯をかけて警察改革を外からの努力で行わなくてはいけないということは、人間として当たり前のことではないですか。その姿勢が感じられない。犯罪捜査で警察が隠蔽しているのではないか、という方向に流れない方がいいです。本当の問題から目を逸らされてしまいます。

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