『GDPコロナ前の水準に回復』は「数字のトリック」 森永卓郎が解説

経済アナリストの森永卓郎が8月24日(水)、ニッポン放送『垣花正 あなたとハッピー!』に出演。「GDPコロナ前の水準に回復」というニュースについて、その背景、からくりを解説した。

内閣府庁舎

2022年4月〜6月期の国内総生産(GDP)が、新型コロナウイルス流行前の水準に回復したことが話題となっている。新型コロナウイルスによる景気の落ち込みを、2年かけて取り戻した形になっているのは本当なのか。

そもそも、GDPとはどういったものなのか。森永は「国内で生まれた付加価値、粗利のこと。この粗利を全部足し上げたのがGDP。GDPには、実質と名目がある。ある一定の年、価格を固定して数量ベースの計算をするのが実質。名目というのは時価」と解説。

今回コロナ前まで回復したとされているのは、実質GDP。それも、2019年10〜12月期を基準にして、1兆円ほど上回ったというのがニュースになった。しかし森永は「2019年10〜12月期というのは、日本ではコロナ感染者はいなかったが、欧米ではコロナが拡大し、『消費を抑えよう』というマインドが強かった時期。つまり、比較対象であるコロナ前というのが、世界的に見てコロナの影響がゼロだった時期ではないということ」と当時の状況を振り返った。

名目GDPはどうか。森永は「依然としてコロナ前から全く回復していない」と分析。ではなぜ実質GDPが上回ったのか。森永によると「2019年10〜12月期と比べると、GDPデフレーター、GDPの物価が1.1%も下がっている。どういうことかというと、物価上昇率で実質化するときに実質GDPが水増しされてしまう。『時価では戻ってないんだけど、物価が下がったから実質はもっと高いでしょ?』というのが今回の結果」と指摘。実際、値上げが続き、物価が下がるニュースはほとんど目にしない。森永は「石油、天然ガス、石炭、穀物、食用油、材木など、輸入の金額が上がり、その影響で物価が上がっている。GDPというのは国内要因。そこでみると、物価は下がっている。どういうことかというと、インフレになると需給がひっ迫して、人手不足などの影響から賃金が上がる。だが、いまは賃金は全く上がっていない。今の日本国内は、デフレ」と解説した。

では、いまの経済状況を改善するためにはどうすればいいのか。森永は「財政出動しかない。公共投資、減税、そして金融緩和をしなければいけないが、今の政府は真逆の政策なので、いつまでたっても良くならない」と言及した。

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