「2%をどう達成するか」という議論は本末転倒 防衛費「NATO基準」GDP比2%に

元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が9月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府が「5年間でGDP比2%の増額を目指す」とする防衛費の増額について解説した。

※イメージ

NATO基準 ~5年間でGDP比2%の防衛費増額を目指す

政府は防衛費の増額について、NATO基準を参考にした算定方式を導入する検討に入った。海上保安庁などの安全保障に関連する予算を防衛関係費として一体的に位置付ける。政府は新基準に切り替え、5年間でGDP比2%の防衛費増額を目指すとしている。

飯田)9月10日付の読売新聞が、複数の政府関係者の話として1面で伝えたということです。愛知県知多郡の38歳男性、“コトユウパパ”さんからメールもいただいています。「いままで入っていなかった海保の予算や恩給も費用に組み込まれると、2021年度予算でGDP比1.24%に上昇するそうですね。本当に国を守る気があるのかと思います。あるときは必要な経費を積み上げておいて、あるときは対象の経費を変更するとは、どういうことなのでしょうか」といただきました。2%という数字ばかりが言われていますが。

松井)今回のウクライナ戦争で、「国家間の全面的な戦争は起きないのではないか」と言われていた安全保障観が、変更を余儀なくされたと思います。2%がどうかは別として、中国の圧倒的な軍事予算の大きさと比較して、あまりにも装備面、あるいは隊の運用面などで気の毒な部分があるのは事実だと思います。

防衛費を増額する必要はあるが、「2%をどう達成するか」という議論は本末転倒

松井)しかし、私は2%という基準にするなら、EUの財政基準のようなことも議論しなければフェアではないと思います。2%という数字が一人歩きするのはよくありません。ただ、特にサイバーや宇宙などの新しい分野において、他国の侵攻が現実の課題になっているなかで、防衛費のあり方を見直すことは必要ではないでしょうか。海峡問題もあり、何が起こるかわからない。しかも、米下院議長の訪台を契機に、明らかに中国は現状変更をしてきているわけです。

飯田)そうですね。

松井)そういう状況のなかで、お花畑のようなことを言っていられないのは、まったくその通りだと思います。しかし、「2%をどう達成するか」というような議論になってしまうと、本末転倒ではないかという気もします。

違和感のある「財政当局の支配から脱することが新しい保守だ」という考え

飯田)折しも今年(2022年)は3文書と呼ばれる「国家安全保障戦略」、「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」が改定される年です。年末までに行うということですが、「どう守るか」というところからスタートしなければいけません。

松井)岸田さんの正念場だと思います。岸田さんは伝統的な財政論者、財政健全化論者です。先鋭的なタイプではありませんが、宏池会の伝統もありますし、財務省との関係も安倍さんとは明らかに違う関係にあります。そのなかで、いまおっしゃったような、特に安全保障関係者のなかには、この間の何十年に溜まった鬱屈したものがあります。ずっと国防費が抑えられ続けていることに対して、「2%」という目標を掲げて戦うのだと。これは安倍さんもそうだったと思うのですが、「財政当局の支配から脱することが新しい保守だ」というような考え方があり、私はそれに対して違和感があります。

石川県の馳知事が「日本維新の会」顧問に ~その日、森喜朗元総理の訪問を受ける

松井)そういう人たちを内部に抱えながら、政局的に言うと、例のオリパラ問題で森元総理が聴取を受けたという話があります。元総理は、聴取されたという話がリークされた当日か翌日に地元に帰られて、知事と会っているのです。その会った馳知事が維新の顧問になる。まさに元総理と会っているときに、その話をされているではないですか。

飯田)自民党議員だった人ですよね。

松井)維新が応援したのは事実でしょう。だから、友党なのだけれど、それにしてもきな臭いものを感じます。

飯田)党内が一枚岩というわけではなく。

松井)清和会を中心として、国防でしっかり「2%目標」というようなものを持ちつつ、財務省の支配から脱するという議論があり、揺さぶりが掛かってくると思います。

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?