米中間選挙で民主党が負けても「アメリカの政策」はそれほど変わらない

慶應義塾大学総合政策学部准教授の鶴岡路人が9月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。8月の消費者物価指数が8.3%上昇したアメリカ経済について解説した。

2022年5月24日、バイデン米大統領との写真撮影~出典:首相官邸HP(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/24quad.html)

8月の米消費者物価指数が8.3%上昇

飯田)8月のアメリカの消費者物価指数が8.3%上昇したということです。市場予想を上回り、ダウ平均株価は一時1000ドル以上も下落して取引を終えました。

鶴岡)上昇幅自体は減速しているということですが、中間選挙を控えたバイデン政権にとって、物価高は大きな頭痛の種だと思います。

G7で合意したロシア産石油への上限価格 ~アメリカが主導した背景にある中間選挙

飯田)バイデン氏もインフレ低減法案に署名して対策を打っているということですが、なかなか効いてこないというところですか?

鶴岡)そのなかでも効いてきているのがガソリンです。アメリカ人にとっては、日々、車に入れるガソリンの価格が重要です。先日、先進7ヵ国(G7)でロシア産石油の上限価格(プライスキャップ)を決めました。

飯田)そうですね。

鶴岡)G7で合意しましたが、議論を引っ張っていたのはアメリカでした。中間選挙を前に、国際的な石油価格を少しでも安定させたかった。アメリカ自体はロシアから石油を買っていないので、直接的な影響はないはずなのですが、国際価格を安定させるために上限価格をつくり、アメリカが主導したのです。その背景には中間選挙があったのだろうと思います。

国際価格を安定させるために上限価格を設定 ~中国やインドにとっても価格が下がることは悪いことではない

飯田)アメリカの国内事情もありますが、上限が決まって価格が安定することは、ヨーロッパにとっても悪いことではないですよね?

鶴岡)世界中にとっていいことのはずです。G7の上限価格には、中国やインドは入らないのではないかという話がありますが、価格が下がること自体は中国やインドにとってもいいことです。G7の枠組みに入るか入らないかは別として、既にこういうものがあるということは参照として使えます。値切るための大きなツールになるということです。

米中間選挙 ~下院はほぼ民主党が負けるとの予測

飯田)アメリカの中間選挙の見通しとして、現時点では難しいところもあると思いますが、やはりバイデンさんに逆風が吹き続けることになりますか?

鶴岡)そうですね。専門家に言わせると、下院は民主党がほぼ確実に負けるだろうと言われています。ただ、上院はまだわからないということです。共和党の動きとしては、バイデン政権がやっていることをとにかく批判する。ウクライナのこともそうです。

中間選挙で民主党が負ければ政権運営は難しくなるが、アメリカの政策は変わらない

鶴岡)しかし、政策としてバイデンさんと本質的に違うようなことを、どこまで主張しているかと言うと、政策によってはかなり微妙です。ウクライナ支援の話にしても、共和党もロシアに甘い顔をしたい人たちばかりではもちろんないわけです。民主党が負ければ政権運営が厳しくなるのは事実ですが、かといってアメリカの政策が大きく変わるかと言うと、まだわからないところです。

飯田)むしろ外交を見ると、特に東アジア政策については「トランプ元大統領と打ち出し方は違うけれど、結果的には一緒」と言われることもありますか?

鶴岡)トランプさんの外交も、オバマ外交と共通点があったという指摘もあります。全体的に少し内向きになっていくなかで、トランプさんは「アメリカ・ファースト」と言い、強い言葉を使って自国中心の発想を広めました。それに対してバイデンさんは、もう少し上品に「アメリカ・ファースト」を進めているということだと思います。

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