泉佐野市のふるさと納税360億円は企業努力か?〜法改正に至るその背景

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月27日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ふるさと納税を巡る対立について解説した。

りんくうプレミアム・アウトレットとりんくうゲートタワービル(泉佐野市 – Wikipediaより)

ふるさと納税を巡る対立〜菅官房長官が泉佐野市を牽制

菅官房長官)過剰な返礼品を用いる自治体はふるさと納税の対象外とすべく税制改正の法案審議が行われており、来年度から実施されることになる。

ふるさと納税による大阪府泉佐野市への寄付額が前年度の3倍、360億円になる見通しとなったことについてのコメント。菅官房長官が泉佐野市を牽制した形である。

飯田)アマゾンのギフト券を贈るキャンペーンを3月末までやったら爆発的に増えたという辺り、返礼品が過剰すぎるのではないかという声が出ているとのことです。

高橋)そもそも、ふるさと納税は菅さんが発案して私が法案を作ったのですが、菅さん自身は政府の立場、総務省の立場を読み上げていましたね。立場として法案を出していますから、それは否定できないのでああいう形なのでしょう。本当の主旨は、私が作ったときにどういうことを考えたかですが、こういった返礼品をどのように規制するかと言うと、実は総務省ではない。返礼品は寄付を受けた自治体が、財政支出をどのようにコントロールするかということなのですよ。

飯田)確かに、自治体が判断して決める。

高橋)これは財政支出ですから、市の予算、市議会、あと市民が判断するという話ですよね。

飯田)ある意味で税金の使い道なのか。

高橋)税金と寄付金は両方とも歳入ですから。その使い方は歳出になるわけです。これは市民、市議会が判断する話です。私はそう思っていたから、このような規制を総務省の法律などでは作らなかった。

飯田)総務省からしたら嫌ですね。

高橋)税収がなくなって、その分だけ勝手に市民と言うか、寄付者の人が自分で支出先を決めるのです。官僚のコントロールの効かない金が増えて嫌ですよね。

飯田)予算を差配するだとか、それは権力の源泉ですよね。

関西国際空港 – Wikipediaより

泉佐野市はすべて理解していてのこと〜最後の閉店セール

高橋)だから、ふるさと納税は官僚はみんな反対ですよ。税収が来なくなって、国民が決めてしまうから。私はそれでいいでしょう、と思ってやっただけです。だからこの使い道も、本当は市民が決めればいいで終わってしまう。今回の泉佐野市の話で言うと、金額が大きいようだけれど、もともと運営サイドを頼んで、そこに手数料を払わなくてはいけない。でも泉佐野市は自分でやっているから、その分だけ手数料がかからないのであのようなことができるのです。ある意味で営業努力なのです。
でもおそらく泉佐野市も全部知っていて、今度法律も通りますよ。この規制ができるのは間違いない。それを見越して、法律には従いますと言ってやっているわけです。実は泉佐野市の作戦勝ちでね、これでアピールしたでしょう。そしてたくさんお金が来たでしょう。泉佐野市の財政規模は、実は年間750億円です。

飯田)年間750億円のところで、360億円。

高橋)これは泉佐野市の勝ちですよ。泉佐野市としては最後の閉店セールで、一発行って終わりという感じですから。

飯田)3月末だと今年度中ですものね。

高橋)泉佐野市の作戦勝ち。どんどん炎上すれば良いという感じでやっていましたよ。

飯田)総務省はいろいろ文句を付けて来るけれど、もう後の祭りなわけですね。

高橋)閉店セールですからね、「けっこうです。それで法律には従います」で泉佐野市の勝ち。泉佐野市は10年ぐらい前に財政再建団体に落ちてしまって、必死にやって来た。これもその一環なのです。きっと市長はよくやったと言われますね。

飯田)ここは関西国際空港があるところですよね。

高橋)再開発したので財政が悪くなってしまったのですが、何年か前に再建団体から脱しているし、いまは思わぬボーナスが来たという感じで、泉佐野市の財政は楽になったのではないかと思いますね。ある意味、ふるさと納税の本来の役割が果たせたのではないでしょうか。

飯田)返礼品一般の話として、返礼品が多くなりすぎているのではないかという批判が多く出ていますよね。

高橋)それは裏側で心良く思わない人がいろいろ言っているだけですよ。だってこれは住民税の2%くらいしか動いていないのです。はっきり言って制度の根幹に関わる話ではないですよ。

飯田)いろいろな批判があって金持ちの方が得をするじゃないか、みたいなことを言う人もいますが。

高橋)返礼品で財政支出したら全部同じですね。財政支出をしたときに適正かどうかは総務省が規制するのではなくて、自治体が、市民が、市民目線でチェックすればいいという話で終わってしまいます。

飯田)今回の税政改正の法案の1つが通るのでしょうが、これはある意味で制度の後退になるのですか?

総務省が設置される中央合同庁舎第2号館(総務省 – Wikipediaより)

自治体がチェックすべきものを地元に関係ない総務省がチェックすることに

高橋)本来は自治体、市議会がチェックすべきものを、総務省という地元に関係ない人がチェックするのは変な話ですよ。制度としておかしいです。そのおかしい制度が法律で通るわけですけれどね。自治体の支出のあり方について、どうして国がチェックするのか。財政再建団体なら分かりますが、そうではないですから。一般の支出も総務省がチェックするのかという話になってしまいますよね。

飯田)そうすると戦前の内務省みたいに、何でもかんでも全部国がやることになってしまう。

高橋)それでは地方自治がないではないですか。だから規制は地方自治がやるべきです。必要がなかったらそれで良いのですよ。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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