NZ銃乱射事件〜日本も他人事ではない移民社会の問題

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月19日放送)のジャーナリストの有本香が出演。ニュージーランドの銃乱射事件について解説した。

ニュージーランド 銃乱射事件 アルノールモスク オーストラリア国籍 銃規制 アーダーン首相 クライストチャーチ

ニュージーランドのアーダーン首相(ニュージーランド・クライストチャーチ)=2019年3月16日 写真提供:時事通信

銃乱射事件を受けて、ニュージーランド政府が銃規制の厳格化へ

ニュージーランド政府は18日、クライストチャーチで起きた銃乱射テロ事件後初めての閣議を開き、銃規制法を強化する方針を決めた。

飯田)また、オランダ中部ユトレヒトにある路面電車のなかで、日本時間の昨夜(18日)午後6時45分頃、男が乗客に発砲をし、3人が死亡、5人が負傷と言うことです。捜査当局はトルコ生まれの37歳の男を逮捕しました。オランダのルッテ首相は、我が国は攻撃に揺さぶられていると述べ、深い懸念を示したということです。一部報道によるとオランダ中部のユトレヒトの事件に関しては、親族の争いを巡るものだというような指摘もありました。

有本)そのようですね。このニュージーランドの銃乱射事件、意外と日本で報道が少ないと思いませんか? 銃の乱射事件は、いままでアメリカが圧倒的に多いです。アメリカはやはり銃社会であるというイメージがあるのですけれど、ニュージーランドは、行った方は実感されると思いますが、自然がきれいで治安がよくて暮らしやすい国というイメージがありますよね。ただ日本に比べれば、銃に関する規制は緩い。もともと開拓の歴史などと関わっているから、それが良いとか悪いとか日本人の感覚で言うのは間違っていると思うのですけれど。

飯田)自分の身は自分で守ると。

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銃乱射事件があったヌール・モスクの近くに手向けられた花束の前で肩を組むフットサルチームの関係者。犠牲者の中にはニュージーランド代表選手だった男性もいたという=2019年3月17日、ニュージーランド・クライストチャーチ(共同) 写真提供:共同通信社

日本でも近い将来起こる可能性のある“移民社会の問題”

有本)そうですね。日本でもう少しこのニュースをきちっと扱ってくれた方が良いと思うのは、移民社会ということです。人が世界中を流動する社会では、当然争いや軋轢が起きて来る。オランダのユトレヒトの件に関しては、トルコ生まれの男が逮捕されて個人的な家族間のトラブルということも言われていますけれど、自分以外の社会に暮らす人々に対して常日頃どういう感情を持つか、ということですよね。これは日本にとって、今後直面する可能性が高い問題を孕んでいると感じます。そしてオーストラリアもニュージーランドも、もともと移民の国であるわけで、ここのところまた移民が増えていたのです。移民と言っても内容が様変わりしていて、近年は中国系、インド系の移民が非常に多いのですが、例えば2017年は過去最高で7万人以上の移民が入って来た。ニュージーランドは人口が500万人足らずです。そのなかで7万人はすごく多いのですよ。因みに人口470〜480万のニュージーランドで、150万丁の銃が流通している。更に言うと、純移動率という言い方をしますが、人口1,000人当たり何人くらいが移動して来るかということで言うと、人口1,000人当たり13人。これはアメリカと比べても、アメリカは人口1,000人当たり3人前後と言われていますから、近年非常に多かったのです。

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アルノールモスク(クライストチャーチ銃乱射事件 – Wikipediaより)

異文化を背負った人間が共に暮らすことから生じる問題にどう向かって行くか

有本)もともといわゆるリベラルな国、共生政策のある国、そして現政権の座にあるのがリベラルな労働党という政党ですけれど。ここの公約も実はかなり様変わりをしていて、ニュージーランド人の労働者の雇用を優先しようだとか、いわゆる高学歴で無い移民の就労ビザを制限しようだとか、リベラル政党でもそういうことを言わざるを得ないような状況があったわけです。今回の銃乱射事件の容疑者自体はその労働ビザで入って来たわけではなくて、オーストラリア人ではあるのですが、やはり違う文化を背負っている人間たちが生きて行くということは、人間が頭で考える理想論とは全然違って、いろいろな感情を持たらす。そしてその感情を政策面で抑え込むという危険性を、日本は他の国の事例からよく見ておくべきではないかと思います。

飯田)抑え込んだところで消えるものでは無い、寧ろ溜まって行く。それで、もともと居た人たちとの軋轢がどこの国でも生じているということです。

有本)どの先進国でも生じていることです。同じように人手不足という問題をかかえ、同じような流れに来ていて、日本はそれを3周遅れくらいで同じ道を走ろうとしているわけです。この問題は、単にこれはヘイトクライムだ、こういうことはいけないのだという、敢えて揶揄をする言い方で言うと学級会の正義のようなことだけを言っていても解決しないですよ。もう少し人間の根源的なこととか、社会の秩序はどのようにして保たれて、いままで歴史的に来たのかという問題に立ち返って考えなくてはいけない。こういう他国での事例を、単なる海の向こうの事件として眺めていてはいけないと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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