米中閣僚級貿易協議再開〜米中それぞれの“妥協案”が必要な理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月29日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。28日に閣僚級貿易協議が再開した米中関係について解説した。

閣僚級協議 再開 米中 ライトハイザー 米通商代表 ムニューシン 米財務長官 中国 劉鶴副首相

米中、貿易協議を再開 ライトハイザー米通商代表、ムニューシン米財務長官(ロイター=共同)、中国の劉鶴副首相=2019年3月28日 写真提供:共同通信社

アメリカと中国が閣僚級の貿易協議を再開

アメリカと中国の両政府は28日、北京で閣僚級の貿易協議を再開した。両国の直接交渉は2月下旬以来およそ1ヵ月ぶりで、2日間の協議のあと4月3日からワシントンに舞台を移して交渉を継続する予定。貿易戦争の収束に向けた妥協点を見出して、トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談につなげられるかが焦点となる。

飯田)中国側は劉鶴副首相、アメリカ側はライトハイザー通商代表部代表とムニューシン財務長官らが参加している。一応側近と言われる人達が参加していることになっています。

宮家)妥協ですよね。今回の妥協はいつも言う通り、「一時的、限定的、表面的」にならざるを得ない。それでも何らかの合意はすると思います。なぜかと言うと、まず中国の方からすればアメリカと大喧嘩してもロクなことが無い。下手したら中国経済がおかしくなってしまいます。そうなるとある程度妥協はせざるを得ない。
アメリカの方もガチンコでやっているのだけれど、返り血を浴びてしまいますからね。米中の経済が両方ともこけてしまったら、マーケットに対して間違ったシグナルを送ることになってしまう。アメリカも共倒れは避けたい。トランプさんの頭の中ではもう2020年の大統領選挙が始まっているわけだから、これまで「中国をやっつけろ」と言ってきた人たちに、「トランプはアメリカの労働者の為に、こんなことをやってやったぞ」と言えるような成果が欲しい。そのためにも何らかの妥協が必要になるのです。
これから何が起きるかと言うと、非常に限定的なものができる。ということは、それで終わらないということです。アメリカから、少なくともトランプさんからすれば2020年の選挙までの間は大統領選挙のために利用させてもらう。中国の場合も、どうせトランプさんはいなくなるかもしれない、そうであれば、「現時点で全部譲歩する必要はない」ということになるのでしょうね。狐と狸の化かし合いですよ。双方とも真面目に相手を騙そうとしている。

飯田)よくサラミをどう切るか、みたいな話をするではないですか。どこまで妥協するかということで。その薄さ、厚さみたいなところは両方とも限りなく薄く切って来るということですか?

閣僚級協議 再開 米中 ライトハイザー 米通商代表 ムニューシン 米財務長官 中国 劉鶴副首相

ワシントンで始まった米中の閣僚級貿易協議(アメリカ・ワシントン)=2019年2月21日 写真提供:時事通信

閣僚級で固めて、習近平氏がトランプ大統領と会うときはサインだけ

宮家)だけど北朝鮮みたいに薄く切り過ぎて失敗する人もいるからね。中国はそんなにバカではないと思います。なぜかと言うと、中国にとって首脳会談は外交上の大イベントです。今回はアメリカ大統領との間で合意をして、サインをして帰って来なくてはいけない。これがハノイでの米朝会談みたいに突然米側に退場されたら、習近平さんの面子丸つぶれではないですか。ですから必死で中国側の事務方は、閣僚級でとにかく全部固めてしまおうと思う。全部固めて、大統領と習近平さんが会うときはサインしかしない。あとは何も言わせない。これがベストです。

飯田)セレモニー的に。

宮家)それが中国の外交の最も美しい姿だから、彼らにとって外交とは会うだけで成功なのです。失敗しそうになったら会わなければいい。そういう発想の人たちからすると、閣僚級で徹底的に文言を詰めている。文言を詰めるということは、サプライズがいやだから、中国側の利益を徹底的に守る。そうすると一定の妥協しかできない。従ってアメリカは喜ばない。だから中途半端な妥協に終わるだろうということです。

飯田)こうやってアメリカと中国が揉めて、妥結へ、みたいな話が出て来ると、返す刀で今度は日本が攻め込まれるぞ、というような話もありますが。

宮家)日本は同盟国ですから、中国と同じにはならないでしょう。しかも日本は米国と70年代、80年代に散々やったじゃないですか。そのときもライトハイザーさんはいましたからね。日本は十分開放していますから。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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