米韓首脳会談〜韓国が米との関係を維持することは難しい

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月12日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ホワイトハウスで米韓首脳会談が行われたニュースについて解説した。

握手するトランプ米大統領(右)と韓国の文在寅大統領(アメリカ・ワシントン)=2019年4月11日 写真提供:時事通信

米韓首脳会談がスタート

アメリカを訪問中の韓国の文在寅大統領は、日本時間で4月12日未明からトランプ大統領とホワイトハウスで会談している。両氏が顔を合わせるのは北朝鮮の非核化を巡る2月末の米朝首脳会談が物別れに終わって以降初めて。トランプ大統領は会談のなかで、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との対話の窓は常に開いていると強調している。

飯田)3度目の米朝首脳会談の可能性についてトランプ氏はあり得ると言っている一方で、文在寅大統領は南北首脳会談を進める計画をトランプ大統領に説明したということです。

宮家)第二回米朝首脳会談が物別れに終わって、韓国からすればモメンタム(=運動量、はずみ)がまさに消えて行こうとしているわけですから、ここは必死にアメリカとの関係を維持しながら、いままでのラインに戻したい。直接対話をやってトップダウンで決めて行きましょう、南北はちゃんとやりますと、自分の書いたシナリオに戻そうとしているのだと思います。よく読んでみると、北の代弁みたいなこともやっているようです。
北朝鮮はこの間の決裂のショックから立ち直ろうとしているのか、人事を変えてみたり、秋波を送ってみたり、あまり強硬なことは言わないで慎重に動いています。もう1回首脳会談をやってみたいと思っているのでしょう。そうでないとアメリカの経済制裁がこのまま続いて、行き詰まってしまいますから。

「ロイター」「プラス」 米朝首脳会談 ドナルド・トランプ米大統領、金正恩朝鮮労働党委員長、米朝首脳会談、拡大会合、第2回米朝首脳会談、アメリカ、北朝鮮=2019(平成31)年2月28日、ベトナム・ハノイ(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

文在寅大統領の負ったダメージは大きい〜簡単に元のトラックには戻れない

宮家)前にもこの比喩は申し上げたけれど、前回はサラミをスライスしすぎて、あまりにも薄くて誰も食えなかったという話ですから、今度もしやるとしたら、3度目の首脳会談では相当分厚いサラミを切らなくてはいけない。「それをできるのか」ということだと思います。
状況として韓国は何とか首の皮一枚でつながっている。とにかくこれまでのやり方をトランプさんには説得できたと。しかし北朝鮮との関係はおかしいのではないかと思っている人は、トランプさん以外にもアメリカ政府のなかに腐るほどいるわけです。文在寅さんも頑張ったかもしれないけれど、彼の思惑通り米朝交渉を元のトラックに戻せたかどうかと言えば、まだまだ未知数ではないでしょうか。ダメージは相当大きいと思います。

飯田)サラミを切る、すなわち北朝鮮がアメリカに対して譲歩する、非核化についてですよね。

23日、ハノイでの第2回米朝首脳会談のため平壌駅を出発する際、朝鮮人民軍名誉儀仗(ぎじょう)隊を閲兵する金正恩朝鮮労働党委員長(中央)=2019年2月24日 写真提供:時事通信核を捨てられない北朝鮮の事情

宮家)非核化について、相当分厚く切らないといけません。では、本気で止めるつもりなのか。それはないと思います。もしくは見せられるものは全部見せて、恭順の意を表することならあるかもしれませんが、そこまでやるでしょうか。

飯田)やるということは、体制が揺らぐところまでつながることもあるかも。

宮家)そんな簡単に独裁国家が揺らぐとは、私は思っていません。3代目のボンボンからすると、おじいちゃんが作った国を父ちゃんが維持しての3代目だから、潰すわけにはいかないのです。事業継承と同じですから。核という切り札を持っていないと弱いということも嫌というほど分かっているから、そんな非核化カードを簡単に切ることができるとは、私は思いません。

飯田)北京から入って来た共同通信によれば、「北朝鮮の朝鮮中央通信によると11日の最高人民会議は常任委員長に崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党副委員長を選出した」ということです。20年以上にわたって国家元首の役割を務めて来た金永南(キム・ヨンナム)前常任委員長は一線を退き、首相も交代したということです。

宮家)金永南さんはもうお年です。次の崔竜海さんは実力者でしょう、この方が国家元首という肩書になって表に出るようになる。実際に側近として引き続き役割を果たすということは体制固めになって、そちらの方がいいと思ったのでしょう。あれだけの会談決裂をやってしまうと、目先を変えなければいけないから、普通の政治家なら人事に手を付けるでしょう。その意味では順当な動きではないかと思います。

飯田)あとはこの人たちが、どういうことを外に対して出して来るか。

宮家)でも大した変わりはないですよね。3代続いた伝統的やり方は変えないのではないでしょうか。これが劇的に変わるような状況はまだ見えていないと思います。

飯田)衛星の写真を見ると軍事パレードをやるのではないか、15日あたりにミサイルをぶっ放して燃焼実験をやるのではないかとも言われています。

宮家)彼らはおそらくわざと見せて、アメリカに対してメッセージを送っているのだと思います。

飯田)見えていることは分かっているから。

宮家)そして3回目がないとやるぞと。するとアメリカとしては「やれるものならやってみろ。ますます自分の首を絞めるぞ」ということになる。我慢比べはまだ続きます。

 

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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