スーダンでクーデター 中東でくり返されるリセット現象

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月12日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アフリカのスーダンでクーデターが起こり、バシル大統領が拘束されたニュースについて解説した。

スーダン軍の装甲車の上に乗ったデモ隊(スーダン・ハルツーム)=2019年4月11日 写真提供:時事通信

スーダンでクーデター〜30年におよぶバシル政権の終わり

スーダンは北にエジプト、紅海を挟んで東にサウジアラビアと接している北東アフリカにあり、アルジェリア、コンゴに次ぎアフリカ大陸で3位の面積を有する大きな国。30年前からバシル大統領が君臨しているが、そのスーダンでクーデターが起こった。大規模な反政府デモが続くアフリカ・スーダンで軍を率いるイブンオウフ国防相は11日、バシル大統領を解任、拘束したと発表した。1989年以来およそ30年に及ぶ長期政権を維持していたバシル氏(75)は大規模デモに直面した末、クーデターで失脚した。国防大臣は軍主導の軍事評議会が2年間の移行政権を運営すると宣言し、その後、選挙を実施すると明らかにした。

飯田)まず大規模デモ。デモ隊に関しては軍事クーデターを批判しているニュースも出ており、「スーダン情勢 混迷も」という見出しも立っています。この国に関して、日本人にとってはなじみが薄いかもしれません。

宮家)いまは南スーダンが独立しましたが、その前のスーダンはものすごく大きな国で、ブルーナイルとホワイトナイル、ナイル川が合流した景色も素晴らしい、良いところです。お金持ちの国になってもおかしくないのだけれど、貧困が進んでしまった国です。

オマル・アル=バシール – Wikipediaより

中東でくり返されるリセット現象

宮家)現在スーダンで起こっていることは、中東でよくあるリセット現象、初期化現象です。要するに国内に混乱があって軍がクーデターを起こし、強権独裁が始まる。そうすると経済がうまく行かなくなって貧困が酷くなる。苦しくなるから食糧を安くしなければならず、補助金を出す。すると財政がおかしくなって、ますます経済がおかしくなる。そうすると食料品を値上げせざるを得ず、それに対して人々が怒って暴動が起きる。そしてまたクーデターが起きる。これをスーダンでは20〜30年ごとに繰り返しているわけです。バシルさんの前はヌメイリさんという人が大統領をやっていて、1970年代の初頭、このときもクーデターで政権が交代しています。
スーダンのような大きな国の場合、多くの部族がいて、南部にはクリスチャンもいたわけですから、それをまとめあげるには強権しかないのです。ところが強権をやると副作用が出て、堂々巡りが進んで初期化、また同じ地点に戻るリセットの現象が起こります。
でも、今回のクーデターで民主化するわけではない。庶民にとってみれば何十年も前からまた軍が出て来たと思っているだけで、社会が良くなるとは思っていないのです。だからもっと違う方法がいいのですけれど、やはり政治的に力を持つのは軍だけだから、結局こういう形の悲劇が繰り返されてしまうのです。

飯田)経済的な困窮が国を左右する。だから自立した経済をと思いますが、なかなかアフリカの国家はうまくいかない。

第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)の街頭垂れ幕(アフリカ開発会議 – Wikipediaより)

豊かになれない国の典型〜前に進めないスーダンの事情

宮家)内陸には石油資源があるのですが、あの国には北東部を除きほとんど海がない。川しかないのです。だから、ものを輸出するといっても限られてしまう。残念ですが、潜在的な能力はありながら、なかなか豊かになれない国の典型です。

飯田)海沿いのケニアに出るような海路を作ることは、日本も含めて色々やっていたのですよね。

宮家)でも、他の国を通って行くわけだから。しかも南部にはいろいろな部族がいて、混乱を伴っていたりすれば、計画も簡単にはいかないですよ。

飯田)今年(2019年)は、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が8月に横浜で行われます。このとき、日本の役割は注目されますね。

宮家)スーダンのことは「またやっちゃった」という感じだから、支援するしかないのです。私が知っている限り40年間ずっとこの調子ですから、これに代わる見通しを立てるのは難しい。残念ですが。

 

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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