トランプ大統領“ロシア疑惑”〜公表された報告書から読めること

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月19日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アメリカ司法省が公表したロシア疑惑の報告書について解説した。

ロバート・モラー – Wikipediaより

アメリカ司法省がロシア疑惑の報告書を公表

アメリカのトランプ政権をめぐるロシア疑惑で、アメリカの司法省は18日、モラー特別検察官による捜査報告書を、機密や第三者の名誉にかかわる部分を除き、議会に提出、公表した。バー司法長官は会見でトランプ大統領によるロシア疑惑捜査への司法妨害の疑いに関して証拠不十分と結論付けたと改めて説明し、モラー氏の法律的見解に賛同できない点があったことを明らかにしている。

飯田)トランプさんはツイッターでゲームオーバーだと、共謀も司法妨害も無かったと投稿していますが、これは400ページにわたるものですよね。

宮家)ゲームオーバーどころかこれから始まるのですよ。内容はもちろん読めなかったのですけれど、最新の報道を見ると、要するにモラーさんがいろいろ情報を集めた結果、「無罪だとは言えない」ということです。

飯田)無罪だとは言えない。

ジェームズ・コミー – Wikipediaより

「無罪だとは言えない」けれど「証拠を見つけられなかった」〜議会で議論してほしい

宮家)無罪だとは言えないのだけれども、司法妨害をやったかどうか、などについては「証拠を見つけられなかった」と言っています。要するにグレーです。そして司法長官の方はその報告書発表の前に「白に近い」と言っており、CNN辺りは逆に「黒に近い」と言っている。モラーさんが報告書の中で言ったことで面白いのは、この問題は法律の世界ではなくて、議会でやってくれということ。最終的には議会で司法妨害の問題を議論するべきだとすら言っています。もう一つ面白いことに、クリントン陣営のEメールをどうするかという議論がありましたよね。トランプさんはどんどん探して暴露しろと言ったらしい。まだ読んでいないから分からないですけれど。どうもトランプさんがいくつか命令したらしいのだけれども、部下が「それはいくら何でも」という感じだったのではないですかね。命令を聞かなかったのですね。

飯田)当時のコミーFBI長官の首を飛ばす件に関しても。

宮家)やり過ぎだよねということだったのでしょう。

飯田)法律顧問に対しては何としても捜査をやめさせろ、或いは、どうせならFBI長官をクビにしてしまえ、というようなことを言ったらしい。

宮家)それを本当にやってしまったら司法妨害に限りなく近づくのだけれど、幸いまともな部下が当時はいたから、いまもいるのだとは思いますが、首の皮一枚つながっている。しかし、どう見ても何もしていないわけではないですよね。トランプさんも相当追い詰められるのではないですか。ただこれで、法律的にどうのこうのという議論では無いのだけれども、議会の、特に下院の民主党は勢いがつくでしょうね。400ページもありますし、それはもう突っ込みどころ満載だから。1つ1つギリギリ追及すると思うので、トランプさんの親族にも累が及ぶ可能性すらあります。彼らがどんどん証人喚問されて、宣誓証言させられるようなことになれば、ある程度インパクトはあると思いますね。

ニューヨークの連邦地裁を出る、トランプ米大統領の長年の個人弁護士だったマイケル・コーエン氏(中央)(アメリカ・ニューヨーク)=2018年11月29日 写真提供:時事通信

「現職の大統領を訴追しない」という司法省の慣習

飯田)報道されているところで言うと、トランプさんはそういった命令をして、部下の人たちは分かりましたと言いながら何もしなかった。

宮家)面従腹背。

飯田)そうすると結果的には実害が無かったとなれば、これは法律的に白なのか黒なのか…。

宮家)命令を出したのだったら、その時点でアウトのような気がしますけれどね。そこはなかなか証拠を固められなかったのではないですか。本人だって否定しているわけだし、トランプさんへのインタビューも直接できなかったのですよね。

飯田)書面でのものでしたね。

宮家)こうなるとなかなか難しい。そして実際に現職の大統領を訴追しないということは法律や憲法に書いてあるわけではないけれども、司法省の1つの慣習ですよね。それを破ってまでモラーさんは起訴できたのかなと、司法省の人間だから。

飯田)はい。そこで議会に議題を預ける形にしたということですね。

宮家)それしかできなかったのだと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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