露朝首脳会談〜それぞれのわかりやすい思惑

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月26日放送)に外交評論家でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。4月25日に行われた露朝首脳会談について解説した。

ロシア極東ウラジオストクで握手するプーチン大統領(右)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(ロシア・ウラジオストク)=2019年4月25日 写真提供:時事通信

露朝首脳会談、核問題で連携強化

ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は4月25日、ロシア極東ウラジオストクで初めての会談を行った。2月の米朝首脳会談の決裂をふまえ、核問題や朝鮮半島情勢をめぐる連携強化で一致した。

飯田)北朝鮮の朝鮮中央通信は26日、金正恩朝鮮労働党委員長がロシアのプーチン大統領との首脳会談で朝鮮半島の平和と安全はアメリカの今後の態度によって左右されると述べたと報じたということです。

宮家)北朝鮮は「アメリカさん、こっち向いてよ」ということなのですよね。

飯田)どこがメインか見え隠れするのですね。

宮家)分かりやすい人たちだなと思うのですが。ロシアの思惑と北朝鮮の思惑からすると、お互いに会うべくして会ったということです。では何か成果があったかと言うと、私はそんなにないし、お互いに期待もしていないと思います。ただ会うことには大きな意味がある。まずロシアから見て行けば、クリミア事件以来ずっと西側から経済制裁をやられている。ロシアにとっていちばん重要なのは「この制裁をどうやって解除するか」なのであって、別に金正恩を愛しているわけでも北朝鮮が好きなわけでもない。しかし、アメリカの大統領がこの朝鮮半島問題を引っ掻き回そうとしている。このときにロシアがやらなくてはならないことは2つある。

ロ、在日米軍で回答要求  モスクワで記者会見するロシアのプーチン大統領(タス=共同)=2018年12月20日 写真提供:共同通信社

ロシアがやらなくてはならない2つのこと

宮家)1つは、ロシアは極東の国なのだと示すこと。「私たちは極東にもきちんと領土があるのですよ、俺たちを外す気なのか?」ということです。しかし、ロシアはいままでなかなか出番がなかったわけですよ。ところが、最近は米朝関係がおかしくなって来たから、これは出番だということですよね。
もう1つは、先程申し上げた通り、ロシアは北朝鮮問題を本当に解決しようと思ってやっているというよりは、自分の身に降り掛かった火の粉、即ち経済制裁をどうやって解除させるかに関心があります。アメリカに対して、北朝鮮の問題は「お前の言う通りにはならない、ロシアをなめるな、俺たちはアメリカが望むものをぶっ壊すことができるのだ」と示すことで米国をけん制する、そういうことですよね。

飯田)ぶっ壊されたくなかったら制裁を何とかしろと。

宮家)「言うことを聞け」ということですね。実はプーチンさんはシリア、ヨーロッパでも同じようなことをやっています。
それに対して金正恩さんの方は、アメリカとの関係は厳しくなっているでしょう。頼りにしていた文在寅も頼りにならない。中国も意外と冷たい。まだ日本に行くわけにもいかない。そこにロシアがいるということです。しかし、ロシア経済が良くないから、ロシアが北朝鮮にのめり込むような状況ではないし、そういう意図も無いと思います。どうしようもないのだけれど、アメリカに対して何らかのメッセージを送らないといけないということでは、ロシアも北朝鮮もぴったり利益が一致しているのです。だから何か成果が出なくても、別に1回目だから良いのではないかと思います。これからもちょくちょくやるのでしょう。狐と狸の化かし合いはロシアと北朝鮮の間でも続くと思います。

飯田)正にアメリカへの秋波みたいなものが、朝鮮中央通信の報道に現れていると。

宮家)「お願いだからこっちを向いて、そんなことを言うのだったらロシアとくっつくからね」と、でも、くっつくわけが無いのですがね、本当は。そういう意味ですよ。

金正恩と会談するトランプ(2018年6月12日)(ドナルド・トランプ ? Wikipediaより)

非核化を本気でやるのか〜ボールは北朝鮮にある

飯田)メールもいろいろいただいております。千葉緑区の“ひとし”さんから。「北朝鮮の非核化というものは時間稼ぎなのでしょうか。2年前はトランプさんの軍事制裁可というところから、1年前は友好的話し合い、そして2回目でとん挫。一時期は中国、今度はロシアを後ろ盾にしてアメリカに北朝鮮の非核化の前に経済制裁の解除を求めているのか。何かいじめられっ子が次々強い人に泣きついているような感じがするのですけれども」とあります。

宮家)そうですね。

飯田)これはアメリカの大統領選の結果を待っているのですか、という質問もあります。

宮家)大統領選の結果は関係無いでしょうね。問題は北朝鮮がどれだけ非核化を本気でやるか、そもそも非核化とは何なのか、核兵器を放棄することではないかもしれない。でも、それだと米朝間では交渉が始まりませんよね。北朝鮮が本当に腹を決めるかという部分がいま問われているのであって、ボールは北にあります。次回は北朝鮮がきちんと厚いサラミ・スライスを切らなくてはダメなのですよね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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