米大統領選 トランプ氏再選を否定できない「政治的内戦状態のアメリカ」

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AIざっくり要約

  • 2024年米大統領選候補者のトランプ前大統領の再選可能性を過小評価せず、政治的内戦状態のアメリカの現状を伝えた。
  • トランプ支持者は現状に怒り、システムの抜本的な変更を求める一方、左派も不平等に怒る。
  • 怒りの対象と程度で支持者を取り込む候補が有利となり、トランプ再選の可能性は半分以上あると評した。

実験的な機能のため、正確性を欠く可能性があります。記事本文と併せてご確認ください。

日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が11月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2024年の米大統領選について解説した。

トランプ前米大統領が支持者集会で演説=2022年4月23日 写真提供:産経新聞社

トランプ前米大統領が支持者集会で演説=2022年4月23日 写真提供:産経新聞社

米共和党のスコット上院議員、大統領選の候補者指名争いから撤退

米共和党のティム・スコット上院議員は11月12日、FOXニュースのインタビューで、2024年の大統領選挙の候補者指名争いから撤退すると表明した。トランプ前大統領がトップを走る共和党の候補者レースでスコット氏の支持率は低迷。共和党の有力候補ではペンス前副大統領に続く2人目の離脱者となる。

飯田)大統領選挙まであと1年を切りました。情勢はどうなのでしょうか?

秋田)私は10月中旬、ジョージア州に行きました。

飯田)南部ですね。

秋田)アトランタとアセンズを取材してきました。最大の目的は、「なぜ人々はトランプさんを支持するのだろうか」ということと、大統領選の見通しです。特に南部は保守層が多い大票田です。結論から言うと、やはり「トランプさんが大統領になる可能性を決して過小評価してはいけない」ということです。

現状に怒っているトランプサポーターたち

秋田)トランプサポーターの人たちは、積極的に支持しているというレベルではなく、現状に怒り狂っているのです。

飯田)かなり怒って、頭に血が上っている状態なのですね。

秋田)民主党に怒っているというよりは、アメリカの現状に怒っている。自分たちは一生懸命働いているのに、多少、給料は上がっているけれど、もっと大金持ちになる人もいる。あるいは、自分がこんなに苦労してグリーンカードを取ったのに、多くの不法移民が許されている現状に対して、特に白人の人たちが怒り狂っています。「仕組みを変えなければいけない」と考え、投票によって変えようとしてきたけれど、全然変わらない。もはや仕組みをシェイクしてくれる人が必要だと……。

飯田)仕組みそのものをシェイクするのですか?

秋田)ワシントンが仕切っている仕組みの対象は、連邦政府といろいろな国家機構です。これをシェイクしないと変わらないのではないかという考え方です。

飯田)シェイクというのは、解体するということですか?

秋田)壊すまではいきませんが、揺さぶって「新しいものに変えなければいけない」くらいの勢いです。

トランプ前米大統領が支持者集会で演説=2022年4月23日 写真提供:産経新聞社

トランプ前米大統領が支持者集会で演説=2022年4月23日 写真提供:産経新聞社

不満の受け皿となり得るトランプ氏の強さ

秋田)プラスして、トランプサポーターの存在があります。また、民主党左派の人たちも彼らと同じ気持ちがあるでしょう。エリザベス・ウォーレンさんなどは大統領選で「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)を解体する」と言っていました。

飯田)GAFAの解体。

秋田)左派の人たちも貧富の格差に怒っています。共和党の7~8割と、民主党・左派系およびトランプサポーターを合わせると、有権者の4分の3近くになると思います。半分以上になるわけです。民主党左派はトランプさん側にはいきませんが、トランプさんは意外と強いのではないでしょうか。好き嫌いは別にして、観察した末の結論です。

飯田)不満の大部分の受け皿になり得る。一方でバイデン氏は、この4年間で不満の解消はできなかったのですね。

「客観的な経済データを受け入れない傾向」が顕著になり、「大統領選予測モデル」が成り立たない

秋田)今回、アトランタの名門大学であるエモリー大学の、アラン・アブラモヴィッツ教授に会いました。彼は世界的に有名な「大統領選予測モデル」を考案し、1988年からだったと思いますが、2012年まですべての大統領選の総得票数を当ててきました。

飯田)88年というと、ジョージ・H・W・ブッシュ氏が当選したときですね。

秋田)ただ、2016年は外してしまいました。この年はトランプ氏が「総得票数で勝つ」と予測したのです。結果、トランプ氏は勝ったのですが、総得票数ではヒラリーさんが勝ってしまった。

飯田)確かにそうでしたね。

秋田)しかし、トランプ氏が勝つという部分では当たっていました。モデルを修正し、2022年はバイデン氏の勝利を的中させています。その彼に会いに行ったのですが、彼は「もはやモデルは成り立たなくなった」と言うのです。なぜかと言うと、共和党の支持者は世論調査で「経済状態がよくない」と答えている。ところが、いまは客観的に見ても失業率は低いですし、そんなに悪い経済状態ではありません。

飯田)物価の上昇は少し高いかも知れないけれど。

秋田)これまでは「経済指標と支持率」という数値データをもとに、モデルを考案して的中させてきたのですが、「客観的な経済データを受け入れない傾向」が顕著になっていると言っていました。共和党と民主党で経済の情勢を聞いても、全然違う結果が出てしまう。「党派バイアス」と言っていましたが、モデルが成り立たない。私から見ると政治内戦状態です。

飯田)昔、ビル・クリントンさんが「問題は経済なんだ、大バカ者」と言った時代は、経済見通しのようなものに関して共通概念がありました。だから「経済だ」と言って共感を得たけれど、いまはそうではなくなっているのですね。

怒りと怒りのぶつかり合いで政治的な内戦状態のアメリカ ~怒りの強い方が有利

秋田)「分析が難しい」と言っていました。何を意味するかと言うと、やはり「怒り」です。

飯田)怒りの情熱がどこに向かっていくかによって、結果が完全に変わってくるわけですね。

秋田)そうです。左派は左派で、人種差別や警官の態度、または貧富の格差などに怒っています。一方、トランプサポーターの人たちは白人中流階級が多い。

飯田)「頑張っても俺たちは上に行けないではないか」と。

秋田)プラスして、「不法移民が入って来るのは不公平だろう」と言っているわけです。怒りと怒りのぶつかり合いなので、もはや「政治的な内戦状態」と言っていいと思います。そうなると、バイデンさんとトランプさんの戦いになったとき、怒りが強い方が有利なのではないかと思います。

飯田)「どちらが俺たちの怒りに答えてくれるのだ」ということになると、確かにそうですね。

秋田)トランプさんの再選に関しても、半分くらい可能性があると思って備えるべきです。

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