「令和」がスタート その時あなたは…

「報道部畑中デスクの独り言」(第128回)では、ニッポン放送報道部畑中デスクが、令和になった瞬間を取材した模様を紹介する。

4月30日午後6時、皇居前広場は一般立入禁止に

 

新しい元号「令和」が始まりました。

ニッポン放送では平成最後の4月30日から、令和初日の5月1日まで数々の特別番組を放送し、私も取材、中継、番組出演などに関わりました。元号が変わる歴史的な瞬間にこのような形で立ち会えたのは記者としてまさに冥利…ありがたいことと思います。

令和になる瞬間、皆さまはどのように過ごされたでしょうか。私は雨の降りしきる中、取材で皇居周辺にいました。平成最後の夜、午後6時には皇居前広場は立入禁止になり、規制線が敷かれました。しかし、その約5時間後、午後11時過ぎには、規制線の前でにわかに人が増え、その数は300人ほどに膨れ上がったのです。

皇居に集まった人々1

「ここではイベントはありません」

警察官が声を上げますが、人がいなくなる気配はありません。「何が起こるのか」…わからないまま、私はマイクのスイッチだけは入れました。5月1日午前0時、その10秒ほど前、あるところからかすかにカウントダウンの声が聞こえてきました。その声は波が押し寄せるように私のいるあたりまで伝播し、「3、2、1、ゼロ!」。その瞬間、大きな歓声、「バンザイ」がいたる所で沸き上がったのです。皇居周辺という場所でお祝いの気持ちはどこまで許されるのか…集まった人も周囲をさぐりながらの状況だったようです。

「一生に一度あるかないかなので」「同じ気持ちで集まった人と一緒に迎えたかった」「忘れられない日になった」…集まった人々は明るい表情で話してくれました。4月1日に新元号「令和」が決まった時の「号外騒ぎ」、これも異例のことでしたが、今回のカウントダウンも予想外のことでした。「新しい時代を楽しみにしている」「安心して過ごせるような世の中に」「何かが新しくなるのではないか」…集まった人は若者も多く、こうした声は新しい時代の幕開けを感じさせるものでした。また、日本人は「新しいこと」に飢えているのかもしれない…そんな心境にもなりました。

警備犬による不審物のチェック

一方、そこには、国民が無事にこの時を迎えられるよう支える人たちがいました。警視庁では特別警備本部を設置し、皇居周辺を中心に機動隊員ら数千人による厳重な警備態勢が敷かれました。令和になったその瞬間も多くの警察官が、万が一の事態に備えて警備の目を光らせていました。前日には皇居を訪れる多くの観光客に混じり、警備の“下ごしらえ”が行われていました。芝生の不審物を確認する警備犬、マンホールを入念にチェックし、「確認済」のシールを封印するチーム…粛々と職務を全うするその姿は、間違いなく令和を迎える人々と同じベクトルを向いていたと思います。二重橋の先にある皇居の静けさ、その皇居を守る警備の物々しさ、そして沿道のお祝いと感謝のムードは「三位一体」のものと感じました。雨の中、皇居周辺は大きな混乱もなく、カウントダウンのひと時はお開きになりました。

マンホールも警備チームが入念に確認

最後に今回の一連の取材で新しい天皇陛下に関し、印象的だったことを二つお伝えします。まずはお天気。全体的にこの2日間、東京都内はぐずついた天気になりましたが、即位後朝見の儀のころには日差しが降り注ぎ、宮殿付近は心地よい風が吹いていました。思えば、天皇・皇后両陛下のご成婚の時、平成5年6月9日も雨に見舞われましたが、パレードの時間は雨がやんだのです。天皇陛下は「水」の研究の第一人者、番組では「水にご縁がある」と申し上げましたが、肝心要の時には雨さえも…自然の計らいとは言え、何か不思議なものを感じます。

そしてもう1つは4月30日午後5時の「退位礼正殿の儀」、天皇陛下(現・上皇陛下)のお言葉を皇太子としてわきで聞かれていたその姿です、目は一点を見つめ、口は堅く真一文字に結ばれていました。その表情にこれから担われる重責に対する覚悟をひしひしと感じました。上皇陛下がこれまでたどってこられた足跡をいかに引き継ぐか…翌日開かれた即位後朝見の儀、天皇陛下のお言葉にもその覚悟がにじんでいました。

天皇即位儀式 「平成流」継承を表明  宮殿・松の間で行われた「即位後朝見の儀」=1日午前(代表撮影) 提供共同通信

そして…「令和」をどんな時代にしていくのか…何を受け継ぎ、何を改めていくのか…われわれ国民に課されたテーマでもあります。(了)

雨で取材メモは水浸しになった

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