北朝鮮で金正恩氏と対立する長老グループの存在

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月13日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。現在の北朝鮮情勢について解説した。


9日の北朝鮮の飛翔体を弾道ミサイルと断定

日米両政府は先週末、北朝鮮が2019年5月9日に発射した飛翔体を弾道ミサイルと断定した。アメリカのトランプ政権は制裁解除には応じない構えを崩さず、膠着状態にある非核化交渉の再開は更に遠のきつつある。

飯田)トランプ大統領も「誰も喜ばない。事態を深刻に注視している」と、これに関しては不快感も示したようで、北朝鮮の意図などいろいろ言われていますが、これについてはどうご覧になりますか?

須田)北朝鮮の意図というよりも、こういった北朝鮮のミサイル発射実験を受けて、トランプ大統領のツイッターを見ても金正恩氏に対する批判は控えるという状況になっています。例えば最初に北朝鮮が飛翔体を飛ばしたときにも、トランプ大統領は「金正恩氏は私との約束を破るつもりは無いだろう。ディール(合意)は起きる」というようなツイッターを出して、このようなトーンが続いています。
ただし、その一方で北朝鮮という国や体制に対する批判は非常に厳しいものがあるのですが、金正恩委員長に関しては批判を控えるという、不可思議な状況に置かれているわけです。
なぜそうなっているのかと言うと、1つは大統領選挙を強く意識するなかで、「北朝鮮の核ミサイルの凍結」を外交上の成果としたいというトランプさんの意図があるから、もとの状況に戻りたくないというつもりもあるのでしょう。ただ、これが一般的な報道なのですが、僕はそうは見ていません。

飯田)ほうほう。

4日、朝鮮東海の海上で行われた前線・東部戦線防護部隊の火力攻撃訓練を指導する金正恩朝鮮労働党委員長=2019年5月4日 写真提供:時事通信

金正恩委員長は北朝鮮の全権を掌握していない?

須田)そういう思惑もあるのでしょうが、もう1つ背景にあるのは、この番組でも何度か申し上げて来たように、はたして本当に金正恩氏は北朝鮮の全権を掌握しているのだろうかということ。先だって3月に私がワシントンに行ったときも、アメリカ当局も同じような問題認識を持っていました。どういうことかと言うと、金正恩氏が国のトップであることは間違いないのだけれども、それ以外の長老グループ、これは対米強硬派なのですが、こことの軋轢や綱引きがあるというのが現在のアメリカ、あるいはトランプ大統領の基本的な認識なのですよ。ですから、北朝鮮の体制だとか国を批判するのは、金正恩氏の背後に潜んでいる長老グループを批判しているというニュアンスであって、金正恩氏としては核ミサイルを何とか廃棄して、経済を立て直したい。そのためには、経済制裁を解除し尚且つ経済支援、経済援助を得たいと考えていると見ている。綱引きが今後どうなって行くのかが1つのポイントだと思います。

飯田)そうすると、一連のトランプ・ツイートも、ある意味で金正恩氏個人への援護射撃だという向きもあるのですね。

須田)間違いなくそういった意図が込められていると思います。

飯田)その綱引きは今後どうなって行きますか?

須田)必ずしも金正恩氏が優勢というわけではありません。その辺りについて、中国や、先だって訪問したロシアがどういった支援体制を敷くのかが1つのポイントになるのかなと思います。
ロシアにしても中国にしても、北朝鮮がこれ以上核ミサイルで暴走するのは良しとしていませんからね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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