日産の純利益57%減〜原因はゴーン氏による“負の遺産”

日産自動車の純利益57%減 カルロス・ゴーン氏"負の遺産"でトヨタ自動車に遅れを取る

記事まとめ

  • 日産自動車が2019年3月期の連結決算を発表し、純利益は57.3%減の3191億円だった
  • カルロス・ゴーン氏の逮捕は減益に関係ないがゴーン氏の遺産ではある、と佐々木俊尚氏
  • トヨタはEVと自動運転へ向けソフトバンクと組みUberに投資し、日産は遅れているという

日産の純利益57%減〜原因はゴーン氏による“負の遺産”

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月15日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。5月14日に発表された日産自動車の減益について解説した。

【日産、ルノー、三菱自が共同記者会見】記念撮影に臨む(左から)ルノーのボロレCEO、スナール会長、日産の西川広人社長、三菱自動車の益子修会長=2019年3月12日午後、横浜市西区 写真提供:産経新聞社

日産自動車、海外市場の不振で57.3%の減益

日産自動車・西川社長)北米と欧州においては相変わらず厳しい。米国は販売の正常化に取り組んでいる最中でなかなか安定ができていないということでございます。ヨーロッパは環境規制対応の影響、供給の問題があり去年と今年は厳しいということですね。

5月14日に行われた西川社長の会見の模様の一部である。日産自動車が14日、2019年3月期の連結決算を発表した。売上高は前の期と比べ3.2%減の11兆5742億円、純利益は57.3%減の3191億円となり減収減益となった。アメリカなど世界的な販売の低迷が要因としている。

飯田)本業の儲けを示す営業利益は44.6%減って3182憶円ということです。“新参者たくり”さんがツイッターで感想を送ってくれました。「散々な結果でしたよね。10期ぶりにルノーに抜かれたのは手痛いですかね」といただいております。

【ゴーン被告保釈】弁護士事務所を出るカルロス・ゴーン被告=2019年3月6日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

日産が減益した原因〜ゴーン氏の負の遺産

佐々木)なぜ減益しているのか。ゴーン氏逮捕は減益に関係ないですね。アメリカの市場ではゴーン氏逮捕を誰も話題にしていないわけですから。でもゴーン氏の遺産ではあります。リーマンショックが10年くらい前にあって自動車の売り上げが落ちて、そこから戻さなければならない。日産はトヨタと比べて海外市場はそれほど強くなかった。そこで販売奨励金という、いわゆる値下げです。ゴーン氏は値下げをして売りまくって市場を拡大しようという方法を取ったのですが、それをやるとお金がかかります。お金がかかるので引き締めようと、販売奨励金をやめると値上がりしてしまうので、一気に減速する…。この方法がはたして正しかったのかどうか。いまの自動車産業の状況はひたすら市場を拡大すればいいわけではない。なぜかと言うといまの内燃機関の、人が運転する自動車は将来がないので、電気自動車(EV)と自動運転にシフトしなければいけない。そのためにお金を貯めて体力をつけて、開発に投資してEV自動運転にシフトしなければいけないですよね。そうすると市場を拡大してお金を使いまくるのは逆ですよ。現状の市場を拡大する必要は無い。お金を貯めることが必要なのです。

2011年8月18日、アメリカ合衆国 カリフォルニア州モントレー郡にて(豊田章男 – Wikipediaより)

EVと自動運転へ向けて手を打ち始めるトヨタとの差

佐々木)トヨタは遂に、日本企業で初めて30兆円の売り上げを越えた景気のいい状況なのに、豊田社長は会見ではあまり景気の良くない話ばかりしていました。いま売り上げが上がっていても、次に大勝負が待ち構えているので、引き締めて行かないといけないという危機感の表れですよ。だからトヨタはソフトバンクと組んだりUberに投資したり、いろいろなことに手を打ち始めているわけです。日産はそこに遅れていて、未だに市場拡大を内燃機関の車でやっている。


ゴーン氏がやったのはコストカットだけ

佐々木)これは本をただせば「ゴーン氏は一体何をやろうとしたのか」という話です。ゴーン氏が就任したころの日産は、日本企業全体がバブルの余韻を引きずっていて、とても適当でしたよ。経費も使い放題で野放図だったものを引き締めて、余計なコストを使わないようにカットするところまでは必要だったと思います。でも余計なコストをカットした後に、「では次に何をするか」ということをゴーン氏は何も考えていなかったのではないでしょうか。結局、市場拡大のために販売奨励金を出すくらいしか方法がなかったことが最大の問題です。これは日本の失われた平成の30年とまったく同じ構図ですよ。日本企業はコストカットしなくてはダメだと言って、非正規雇用を増やして終身雇用制も終わらせてやって来たのだけれど、そうやって正規雇用を減らして非正規雇用だらけになって、経費も何も使えないといういまの状況になったら、「もう何もないではないか、この先」となってしまった。まさに日産は日本の象徴みたいな状況になっているのですね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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