モラー氏が初の議会証言〜ロシア疑惑でトランプ大統領が弾劾されることはない

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月26日放送)に外交評論家でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。トランプ政権のロシア疑惑を捜査したモラー元特別検察官が24日、議会で証言したニュースについて解説した。

米下院の情報特別委員会で、トランプ政権のロシア疑惑をめぐり証言するロバートモラー元特別検察官(アメリカ・ワシントン)=2019年7月24日 写真提供:時事通信

トランプ政権のロシア疑惑、モラー氏が初の議会証言

アメリカトランプ政権のロシア疑惑を捜査したモラー元特別検察官が24日、初めて議会で証言し、トランプ大統領が完全に潔白だと判断したわけではないという認識を改めて示した。また現職の大統領は訴追できないという規定があるため、退任した後に訴追される可能性もあり得るという見解を表明した。

飯田)モラーさんは、議会での証言には難色を示していましたよね。

宮家)それはそうですよ、日本の特捜の検事や検察官が、国会で答弁するわけがないですよ。モラーさんも公務員で、そして司法省の司法長官が親分ですから、それはやりにくい。私がもしモラーさんならやりたくない。政治に巻き込まれたくないですし、民主党もギリギリとトランプさんの悪口を言わせるよう仕向けて来ますが、検察官がそんなこと言うわけない。ちゃんと報告書を出しているではないかと、あれに尽きるのだということになる。今回証言をずっと見ていましたが、日本の国会答弁と同じです。ギリギリやられても余計なことは一切言わない。すごいなと思いました。

飯田)冒頭発言から「言えないことがあります」でしたからね。

ホワイトハウスが編集した筆記録の提出を公表するニクソン大統領 1974年4月29日(ウォーターゲート事件-Wikipediaより)

ウォーターゲート事件のような展開はない

宮家)言わなくてはいけない理由もないのです。三権分立ですから、民主党の思惑通りには行かなかった。肩透かしでした。このあと、民主党はこれから大統領弾劾に行くかどうか、腹を決めなくてはいけない。大統領の弾劾というものは、まず下院で弾劾裁判を始めるかどうか決めて、もし決まったとしても上院に行って、上院の3分の2以上でないと有罪にできない。弾劾できないのです。民主党はいま、下院では過半数を持っていますが、上院は共和党です。普通にやったら絶対に勝てないのです。今回のケースで似たようなことが沢山ありますが、なかでも有名なのがウォーターゲート事件。1974年8月にニクソン大統領が辞任しましたが、そのときの決定打は録音テープでした。間の悪いことに、ニクソンさんは全部録音していた。その録音テープが出て来てしまって、違法行為をやった決定的場面が残されていたということで、彼は弾劾になる前に辞任したわけです。でもトランプさんにはビデオも録音テープもないのですよ。

飯田)証拠がないのですよね。

宮家)いまの状態では水掛け論になる可能性が高い。そうすると、共和党の上院の議員たちは寝返らない。ということは民主党がどんなに頑張っても、裁判は始められても、望むような結論は出ない。それが大統領選挙に重なれば、民主党は党利党略か、弾劾裁判を政治的に利用しているのではないかと言われて、下手をすると負けてしまいかねない。しかし、ナンシー・ペロシさんという下院議長が逆効果ですよと言っても、なかなか説得できない。特に新人議員が強硬です。

飯田)党内をまとめることで言うと、共和党以上に民主党がガタガタ。

宮家)百家争鳴というか、20人以上も出て来るわけだから。

飯田)大統領候補がね。

宮家)まだ収れんしていない。そろそろ決めなければいけない時期には来ていると思いますが、この体たらくで大丈夫なのでしょうか。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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