トランプ大統領が中国への追加関税を表明〜懸念される世界経済への影響

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月2日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。中国に対するトランプ大統領の追加関税発言について解説した。

中国製品3000億ドル分に10%〜トランプ大統領がツイッターで追加関税を表明

アメリカのトランプ大統領は1日、中国からの輸入品3000億ドル、日本円にしておよそ32兆円相当に10%の関税を上乗せすると発表した。トランプ氏はツイッターへの投稿で、「中国はアメリカの農産品を大量に購入することに同意したが、約束を破った」などと非難している。

飯田)9月1日に発動ということで、これを受けてニューヨークのダウ平均株価も280ドル85セント安の26583ドル42セントとなっています。為替も円高に振れていて、1ドルあたり現在107円34銭付近で取引されています。

宮家)いつも言っていることですが、これは米中の貿易戦争ではなく、覇権争いなのです。その1つの形として、貿易戦争が出て来ているわけですから、両国の溝は極めて深いのですよね。次に、中国としては自分たちの統治の仕方そのものにいちゃもんをつけられているとわかっているから、こんなことで譲歩はできない。農産物を買うと言ったって、アメリカが余計なことを言わないならともかく、やめないなら当然買いませんよ。

20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)に出席するため来日した、中国の習近平国家主席(中央)=2019年6月27日午後、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

米大統領選まで様子を見る中国

宮家)トランプさんには「嘘をついた」と言われているけれど、中国はおそらく米国の足元を見ているのだと思います。トランプさんが1年後の選挙でいなくなるのだったら譲歩する必要はない、民主党の候補は必ず中国の方を向くだろうから。トランプさんがあれだけ厳しいのであれば、民主党は反対軸で来るに決まっています。それならば、とりあえずは大統領選挙の様子を見ればよい、と考えていると思います。

トランプさんは「何を言っているのだ、俺は勝つぞ。再選したらこんなものではないぞ」と言っていますが、そうは行かないでしょうね。G20のときに一時休戦ということで、みんながホッとした。あまりガチンコにやるとマーケットに影響が出ますから、G20の際には少なくともよいメッセージを送りたかったのでしょう。それはそれなりに送れたのですが、実態は何も変わっていないと思います。

飯田)今週は、上海で貿易交渉について閣僚級の協議をやっていましたが、2日間で5〜6時間だとか。

宮家)長いのですよね、あの人たちはずっと喋るから。経済の人は良く知らないけれど、中国の政治家たちは資料なしでどんどん喋る。優秀な人たちなのでしょう。

飯田)党の路線というものは、すべて頭に叩き込んでいると。でも逆に言うと、そこから外れることは譲歩できないということですか。

宮家)そういうことです。

飯田)交渉にならないですね。

レイバー・デーのパレード(1882年、ニューヨーク市ユニオン広場)(レイバー・デー (アメリカ合衆国)-Wikipediaより)

レイバー・デーを境に再燃か

宮家)9月1日は微妙な時期で、アメリカでは夏休み終盤ですよね。レイバー・デーという休日があって、それが9月の初旬なのです。そこまではみんな休みだから、帰って来てからその結果を見ようということでしょう。中国の方は、これから北戴河会議という重要な非公式会合があって、中国も休みに入ります。

飯田)長老たちと集まって行う会議みたいなものですよね。

宮家)ここで今後の方針を議論するとは思いますが、いまの状態で中国は弱気にはなれないでしょう。夏休みのあとはまた米中は「血みどろ」でやるのでしょうね。こんなことをやっていたら、世界経済に悪影響がでることは間違いないのですが。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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