「F-35A」が4ヵ月ぶりに飛行再開〜日米での戦闘準備に対する意識の差

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月2日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。日本とアメリカの戦闘準備の違いについて解説した。

航空自衛隊三沢基地に着陸した空自のF35A最新鋭ステルス戦闘機=2018年1月26日午前、青森県三沢市 写真提供:産経新聞社

航空自衛隊がF-35Aの訓練飛行を再開

航空自衛隊は、2019年4月9日に発生した青森県沖での墜落事故を受け、見合わせていた最新鋭ステルス戦闘機「F-35A」の訓練飛行を1日に再開した。基本訓練から段階的に始める方針で、夜間訓練は当面実施しない。「F-35A」は高いステルス性による残存性や、多様で高性能のセンサーによる情報収集能力と、その情報を一元的に処理する能力を有し、「第5世代機」と言われる格段に進化した戦闘機。更に、収集・処理した情報を、「F-15」などのいまある機体と共有することができるため、航空自衛隊の戦闘機部隊の能力を飛躍的に高めることが期待されている。

飯田)航空自衛隊に、鳴り物入りで配備されたという部分もありました。

宮家)もちろん最新鋭かつ必要なものですから、丁寧に扱うことは大事だと思います。ただ、よく考えると事故が起きたのは4月9日ですから、何と4ヵ月間経っています。

飯田)3ヵ月と言いながら、4ヵ月近いですね。

日米で違う飛行再開時期の考え方

宮家)僕が昔、日米地位協定を担当したときに、最大の頭痛の種は、在日米軍機に事故が起きることでした。空を飛ぶものだから、何らかの原因があれば墜落するのですが、そのときに問題になるのが、いつ飛行を再開するかです。米軍はすぐに再開するのですよ。機体に問題がなければ、早く飛ばします。しかし、それは地元の住民の気持ちを逆撫ですることですから、「やめてくれ」と僕らはいつも在日米軍に言っていました。

常に戦闘準備をしているアメリカ

宮家)だけどそこではっきりわかったのは、アメリカは常に戦闘準備をしているのだということです。それに対して日本は、戦闘準備がないわけではないけれど、非常に慎重に動きます。その結果、4ヵ月かかりました。昔僕たちはアメリカに対し「飛ばすな、危険だろう、どうしてくれるのだ」と言っていたんですが、よく考えるとあまり一貫していない。日本人に対する危険もわかるけれど、もし本当に機体に欠陥があって、飛んではいけないのに飛んでいるのだったら、最初に犠牲になるのはアメリカ人でしょう。

飯田)アメリカの兵士たちですね。

宮家)アメリカの兵士たちを見殺しにするようなことを、彼らがするわけはないのです。ですから、それなりの理由があって飛行再開を早めているのです。こういう話を聞く度に、日米では対応が随分違うのだな、と思います。

アメリカ空軍のF-35A(F-35 (戦闘機)-Wikipediaより)

訓練していなければ、リスクに晒される

飯田)戦闘準備というところで言うと、止まっている期間が長いということは、その分だけアメリカも日本も地政学的にリスクに晒されるということですよね。それで失われる人命の方が恐ろしいだろう、という理屈なわけですね。

宮家)日本の「F-35A」はまだ最前線にいるわけではなく、徐々に増やして行くものなので、それなりの時間的余裕はあったのかもしれません。これからは、最初基本訓練から段階的に始めて、夜間訓練は当面やらないそうですが・・・。パイロットが平衡感覚を失ったかもしれないということなので、そこは慎重ですよね。新しい機体については、どんなベテランのパイロットも新しい自動車と同じようなことだから、最初はなかなか慣れないことがあるかもしれません。慎重なことはよいですが、それでも4ヵ月は少し長過ぎる気がします。

飯田)その分だけ腕が鈍ってしまうこともあるかもしれません。

宮家)若干計画が遅れるかもしれませんが、原因究明してしっかりとした体制になればいいのだけれど、少し気になりました。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

関連記事(外部サイト)