アメリカ、ファーウェイの締め付けを強化〜一方で明快にならない日本の対中スタンス

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月20日放送)にジャーナリストの有本香が出演。アメリカ商務省が中国通信機器最大手・ファーウェイへの締め付けを強めたニュースについて解説した。

ファーウェイのショップ=2018年12月9日、中国・深?(共同) 写真提供:共同通信社

アメリカが中国・ファーウェイの締め付けを強化

アメリカ商務省は19日、安全保障上の懸念を理由にアメリカ企業による輸出を禁止する取引先のリストに、中国の通信機器最大手・ファーウェイの関連会社46社を新たに追加したと発表した。米中貿易摩擦が激しさを増すなか、アメリカ政府がファーウェイに対する締め付けを強めた格好となる。

飯田)6月のG20に合わせて、米中の首脳会談がありました。ファーウェイの締め付けが一部緩和という話が出て、これで少し緩むのかと思われましたが、その路線とは違うところに行っている。

有本)米中貿易戦争と言われるものですよね。なぜか分かりませんが日本側のメディアは、どちらかと言うと緩むことを希望しているような伝え方なのですけれど、まったくそういう流れではないですよね。やはり第4段階というか、かなり幅広い製品のところに踏み込むということを、はっきり宣言しています。

飯田)関税に関して。

20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)に出席するため来日した、中国の習近平国家主席(中央)=2019年6月27日午後、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

ファーウェイについては安全保障上の理由

有本)関税に関しては、本当にやるところまでやるのだなと思います。でも段階的に関税を引き上げて行くこととは別に、ファーウェイに関しては安全保障上の理由だということです。これは貿易問題とは少し筋が違って、懸念どころか排除せざるを得ない相手ということですよね。

飯田)そもそも安全保障上の懸念という理由だと、WTO違反でも何でもない上に、実際にいろいろと報告が上がっている。

有本)通商の問題とは次元が違うのですよね。例えば日韓の問題にも共通していて、確かに日韓関係でいろいろなことがあった流れのなかでみるから、韓国に対して日本が報復的対処をしたように見られる。けれど、大量破壊兵器になるような材料の物質に大量の発注が来て、送り出したけれど、どこに行ったか分からないなんて怖くないですか? 先ほどの問題とも共通して、韓国にとっても脅威だと思うのですよ。

飯田)将来的にはね。

有本)だから貿易という手段を使って、安全保障上の脅威が増して行くという状況は避けなければいけない。

飯田)そのための枠組み、ルールはいろいろと作られていますものね。

香港国際空港の出発ロビーを占拠した逃亡犯条例の改正反対派(中国・香港)=2019年8月13日 写真提供:時事通信

アメリカが香港の問題についてどう牽制を加えるか

有本)それと、米中関係でもう1つの大きな問題は、香港での動きですよね。これに対してアメリカが最終的にどう動くのか。トランプ大統領はTwitterでいろいろなメッセージを発していて、自分に対して香港の件でクレームを入れる人がいっぱいいる、何とかしてくれという話だと思うのですけれど。先週末の動きとしては割合、特に大きな問題にならずに……。

飯田)170万人のデモがありました。大通りを埋め尽くして、ゴールまでたどり着いた後に帰るという。

有本)香港中が人の波で、本当に現実に起きていることかというような映像ですものね。ときには緊張が高まったり、怪我を負っている人もいる状況のなかでは、アメリカがこの問題にどうやって牽制を加えるかというところも重要ですよね。

飯田)香港との境にある深?で、人民武警が訓練などをしていて、その模様を報道陣が撮影するのも黙認しており、プレッシャーをかけている。

有本)見せているわけですね。

飯田)来週には全人代の常務委員会があって、ひょっとすると何らかの決定が下されるかもしれない。香港基本法の18条では、常務委員会が動乱なり何なりという決定を下せば、中国共産党の法律が香港でも適用になります。

有本)8月には北戴河会議という、長老も加えて今後の方針を事実上ここで決定しているようなものがあり、おそらくいまは少し控えておこうと。でもこれから中国なりの法律を使って、決まり上こうなのだから抑えなければいけないということを、正当化して行く流れができると思います。

飯田)ボルトン補佐官などが、「アメリカ人は天安門を忘れていない」と。台湾も、蔡英文総統が亡命に対しては個別に対応するのだと言っています。

有本)受け入れると言っていますよね。

新疆ウイグル自治区(ウイグル-Wikipediaより)

人権や自由の問題について、話題にならない日本

飯田)日本だけがお盆休みのまま……。

有本)だんまりですからね。それと今年(2019年)の夏も、靖国神社に閣僚の参拝はなかった。いまの閣僚の顔ぶれをみると、安倍総理以外はあまり参拝に興味のある人がいないからだと思うけれど、その報道は外して、中国側に配慮したのだと言っていますよね。2020年には習近平国家主席をゲストとして迎える流れがあり、日中関係を正常化して行きたいからだと。でも、私はどうなのかなと思います。靖国の問題はもっぱら日本の国内問題だけれど、香港の動きや、G20で安倍総理は習近平国家主席に直接言ったと伝えられているけれど、例えば新疆ウイグル自治区の問題です。こういうことに対して、日本は政治的に何もしていないと国際社会から思われているのですよ。国会でもまったく話題にされていない。こんなことでは、世界をリードする国の1つとは目されませんよね。

飯田)アメリカは9月から議会が再開されますが、香港に関して逃亡犯条例に関わった人を制裁するとか、そのような議案が出ている。

有本)具体的な動きを見せていますよね。それから台湾について言うと、蔡英文総統はそういった正義感が強い政治家だから、あまり変に受け取りたくはないけれど、香港の問題に対して積極的に取り組むことが、2020年の総統選に向けても優位に働くのですよね。そういう点では台湾情勢にも大きく影響を与える事柄になっていて、日本としては台湾との連携も今後もっと強めて行かないといけないなかで、香港の問題についてどんなスタンスでいるのか。これは政権、政府だけではなく、日本の国会や議会の問題です。むしろ議会などが、思いきり声明を出せばいいと思うのですけれども。

飯田)人権を守る議決は出せるはずですよね。

有本)人権や自由などに関して、日本の政界から全然声が発せられないのは極めて残念ですね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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