イラン、解放の石油タンカーめぐりアメリカに警告〜中東にエネルギー依存する日本も看過できない

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月20日放送)にジャーナリストの有本香が出演。イラン外務省が解放された石油タンカーを巡り、アメリカに警告したニュースについて解説した。

後の「コクカ・カレイジャス」。左側円が損傷箇所、右円は吸着水雷の不発弾とみられる物体(2019年6月ホルムズ海峡タンカー攻撃事件-Wikipediaより)

イランが解放の石油タンカーを巡り、アメリカに警告

イラン外務省は、イギリス領ジブラルタル自治政府に拿捕され、その後に解放されたイランの石油タンカーについて、アメリカがタンカーの拿捕を試みた場合に重大な結果を招くと警告した。またイランの有力議員は、タンカーが目的地に到達するまではイギリスの危機は続くとも述べている。

飯田)解放を巡って、アメリカはやめてくれと言っていたのですが。

有本)そうですね。いま日本に問いかけられているのは、アメリカは有志連合という言い方をしているけれど、有志連合という言葉のイメージよりも、自分たちの国のタンカーは自分たちで守れという話ではないですか。日本の場合は、ホルムズ海峡という世界最大の難所、ここを通る船がほぼ日本のエネルギーを支えていると言ってもいい。日本の場合、原油関係の9割近くが中東から来ています。その内の、さらに85%ぐらいがここを通るのですよ。だから、これを守らないという考えはないですよね。しかし最近の調査では、6割近い人が有志連合の参加に反対だと言っている。

飯田)世論調査で、ホルムズ海峡に自衛隊を送るなと。

中東に依存する日本の原油事情

有本)確かに、いまの体制のまま自衛隊をホルムズ海峡に送って、不測の事態が起きたときに果たして対応できるのか。あるいは自衛官の方に過度の負担が行くのではないかという懸念もあります。けれど送らないという選択肢は、はっきり言って私はないと思います。いまのトランプ政権は、日本のタンカーもアメリカが守ってあげますよ、という話にはなりませんからね。

飯田)そうですね。周りは守られているタンカーなのに、ある意味で日本に関係するタンカーだけが、丸裸で突っ込んで行かなくてはならない。

有本)それでいいのかという話でしょう。いまタンカーは大型化しているけれど、中東から油を運んで来るものの1隻分が、日本全体で賄われる原油の1日半分くらいです。2日分もつかどうかなのですよ。だから仮に1隻やられてしまうと、結構なダメージなのですよね。

飯田)いきなり他からというのは無理だし、備蓄もさほどない。

有本)備蓄が大体3ヵ月分くらいと言われています。これは長年の懸案で、なぜいつまでも中東依存しているのかということは、ずっと言われて来ました。いまは選択肢も若干増えていますよね、例えばシェールオイルだとか。しかし、それでも問題はあるし、エネルギーというものはイコール価格ですよね。仮に自国に資源があるとしても、できるだけ温存して外から安定的に、しかもコストが安く買えるのであれば買うというのは1つの考え方だから、中東から買うのもいいのですが。でもこれだけリスクが懸案化して来ると、国として何も対処しないというのはおかしな話です。やはりここは冷静な議論がいると思います。

イラン学生通信(ISNA)が13日、AFP通信に提供した、オマーン湾で黒煙を上げるタンカーの画像=2019年6月13日 写真提供:時事通信

「有志連合」の意味をきちんと理解しなければならない

有本)まったく違う話ですけれど、これは女系天皇議論と似ています。要するに女系天皇とは何なのかということを、9割の国民が正確に知らない。その人たちに「あなたは賛成ですか、反対ですか?」と聞いても、意味がないのと同じです。有志連合という言葉だけ聞いてしまうと、自衛隊が中東に行って、アメリカ軍と一緒に何か危ないことをやるのかと思ってしまうけれど、日本のタンカーを守るためですよと。例えば、海賊対策などもやっているではないですか。その延長線上で考えることは可能なわけです。ただ、自衛隊の人たちがきちんとした任務を果たせるように、もう少し現状よりも踏み込んだ任務付与などを考えないといけないけれど、やらないという選択肢はないはずです。そういうことをきちんと言わなければいけません。

飯田)まずは、日本のエネルギーの現状であるとか。

有本)生命線ですからね。

飯田)仮に石油が止まったと考えると…。

有本)人の命に直結しますよ。

飯田)電力だとか、基盤のインフラ部分から見直さなければいけないし。

エネルギー不足は日本にとって根本的な問題

有本)この夏の暑さを考えたって、電気が止まったらどうなるか。あるいは家庭の電気だけではなく、日本は製造業、特に中小企業が9割ぐらい支えているわけでしょう。電気代がどんどん値上がりする状況になったら、立ち行かないですよ。

飯田)それこそ計画停電などをしないと、全部の供給を賄えないことになる。

有本)もしくは、止めている原発を動かす方向になりますよね。

飯田)しかし北海道の地震を例に見ると、全土がブラックアウトしても、原発を動かすよりは火力発電所を何とか直す方向に行きました。そこで原発は議論にならなかったですよね。

有本)そういう点でも、日本にとって根本的な問題を突きつけられているのですよ。

飯田)見て見ぬふりをすれば過ぎ去ってくれるという言い方をしますけれど、いい加減そうは行かなくなる。

有本)事なかれ主義では本当に済まされない話で、真面目に考えなければいけない。それと、いまは船舶の追跡サイトがありますよね。そういうもので、拿捕されていたイランのタンカーが出庫したということも言われていました。だから本当のことがわかりにくい部分もある。前にも日本船籍ではないけれど、日本に関係するタンカーが襲われています。そういう点でも、見て見ぬふりはまったくできない事態ですね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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