北朝鮮の最高人民会議で金正恩氏の権限を強化したワケ

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月30日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。29日に開かれた北朝鮮の最高人民会議について解説した。

朝鮮民主主義人民共和国、平壌直轄市中区域万寿台万寿台議事堂(最高人民会議-Wikipediaより)

北朝鮮の最高人民会議で憲法を改正〜金正恩氏の権限を強化

北朝鮮の最高人民会議が29日に開かれ、憲法改正などを決定した。この改正は金正恩朝鮮労働党委員長の国務委員長としての権限を法的に強化する内容で、事実上の国家元首としての位置づけをより明確にする狙いがあるものと見られている。尚、本人の正恩氏は出席しなかった。

飯田)北朝鮮で国会に相当するということが、よく報道されますが。

朝鮮戦争当時の最高人民会議議場(平壌市内の地下壕)(最高人民会議-Wikipediaより)

問題がなければ憲法を改正する必要はないはず

宮家)親子3代で独裁をやっているのに、これでまた権限強化とはね。これ以上強化をやってどうするのという感じがしないでもないですね。文言上はそういうことになるのでしょうが、本当に強いのかはわかりませんよ。何も問題がなければ、いまのままやればいいわけです。もし金正恩が人々の目先を変えようとしているのであれば、経済制裁が相当効いている可能性もあります。そうだとすると、こういうときこそ、人心が乱れてはいけないから、目先を変えて、「将軍様にまた新たな権限が加わりましたよ」、「だからみんな勉強しなさい」ということをやるのでしょう。独裁者による権力維持の常套手段だと思います。

飯田)何か権威を与えて、目先を変える。

宮家)そして、勉強しろと。結局人々は振り回されて、「あれ、何だったっけ」、「生活は何も変わっていないぞ」などと考えないようにするということです。あくまでこれは私の1つの解釈ですよ。

飯田)ここのところミサイルを何回も発射したり、それを視察している模様を流したり、権威付けみたいなものをやり続けていますよね。

南北軍事境界線がある板門店で握手するトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=2019年6月30日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

ミサイルの新しい技術を実験したいだけ〜トランプ大統領は文句言わず

宮家)だけど彼はよくわかっている。核兵器は持った。しかし、普通のミサイルも含めた通常兵器では北朝鮮は決して強くはないのですよ。米韓連合軍のほうが圧倒的に強いはずです。ところが最近、ロシアからも新しいミサイルを手にしたかコピーしたか、他にもいろいろなところから新しい技術を入れて、それなりに諸外国の最新型に近いミサイルを作り始めています。今はそれをテストしているだけですから。米韓軍事演習はけしからんなどと言っているけれど、それは基本的には口実で、本当にやりたいのは新しい技術を使ったミサイルのテストです。ICBMでもないし、核実験ではないのだから、トランプさんは文句を言いませんからね。そういう問題ではないだろうと思いますけれども。これで脅威が増すのは、韓国軍と在韓米軍に対してですよ。そこがトランプさんはどうしてわからないのか。それでいて、肝心な非核化はちっとも進んでいないのだから。

飯田)次の米朝首脳会談が進むのではないかという話も、板門店で会ったときはありましたけれど。

宮家)全然進んでいないではないですか。

飯田)そのあとも、事務方が積み上げるようでもなく。

宮家)積み上げようがないですよ。非核化について共通の理念や定義がないのだから、話は進むわけがない。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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