“クールジャパン戦略”が間違っている根本的な理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月4日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。クールジャパン戦略について解説した。

クールジャパン戦略を推進する株式会社海外需要開拓支援機構が入居する六本木ヒルズ森タワー(クールジャパン-Wikipediaより)

クールジャパン新戦略が決定

 

安倍総理)クールジャパン戦略担当大臣を中心に、本日決定をした戦略に基づく取り組みを進めて、省庁縦割りを排し、政府一丸となって取り組んでいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 

政府は3日、知的財産戦略本部の会合を開き、日本の文化を海外に売り込む新たなクールジャパン戦略を決定した。新しいクールジャパン戦略では、発信力のある団体をネットワーク化、行政主導から民間主導に切り替えることが柱となっている。

飯田)和食やアニメなど、日本独自の文化を発信するクールジャパン戦略ですけれども、官民ファンドなどを作ったりしていますが、失敗しているのではないかと言われていますね。

佐々木)根本的にグランドデザインが間違っているのではないかと思います。日本のアニメは素晴らしく、世界中に受け入れられています。スタジオジブリのアニメなどはそうですが、人気のある萌え系のアニメは、日本人全般が好きなわけではありません。同様にアメリカ、ヨーロッパ、中国でも、萌え系アニメが好きな人はいるけれど、全国民ではありません。アニメ系のコンテンツは各国にピンポイントでポツポツといて、全部集めると相当な人口になる。いまの文化はそういう感じなのです。

Japan Expo「Village Japon」にて、日本のアニメソングを演奏する奈良県のステージ(2011年6月30日)(クールジャパン-Wikipediaより)

マス向けではない小さな共同体に刺さっていく方策を考えるべき

佐々木)僕は最近、縦と横という考え方をしています。水平と垂直。例えばプラットフォームは水平で、アマゾンに行くと何でも手に入ります。一方で、スーパーで言うと成城石井のようなマニアックなスーパーは垂直の文化で、アニメのような文化は垂直な文化なのです。日本のミニマリズム的な文化、無印良品のようなものも垂直の文化です。刺さるところには深く刺さりますが、横に広がっているわけではない。世界中で水平に受け入れられている文化は、ハリーポッターやマーベルのようなハリウッド映画くらいしかないのではないでしょうか。たいていの場合はピンポイントで、垂直に深く入る。

飯田)量販店とセレクトショップの違いのような。

佐々木)そうです。日本のクールジャパン戦略を見ると、大手広告会社が入っているからかわかりませんが、常に横に水平に広げて、テレビのようなマスマーケティングという発想から抜けきれないところがある。そうではなくて、日本の萌え系のアニメは誰が観ているのかを深く掘り下げるべきなのです。日本にはマニアックな文化がたくさんあるではないですか。福井に行くと、「こんな古びた神社があったのか」と、秘境好きにはたまらない面白い場所があります。それを好きな人はいるけれど、世界中のみんなが好きなわけではないのです。そういうものを、SNSを駆使して拡げるのは正しい方向ではあります。マス向けではない、小さな共同体に刺さって行く方策を考えるべきだと思います。

飯田)総花的に何でもそろえるのではなくて、これと決めたら深く刺さるようなものを出して行くということですね。

佐々木)ゆるキャラも世界中の人は喜びませんよ。東南アジア、東アジアでは好きな人が多いですが、ヨーロッパ、アメリカなどの白人は気に入らないと思います。どこに刺さるのか、相当細かく分けて考える必要があります。

飯田)細かいリサーチが必要になって来ますね。

佐々木)それぞれの分野でインフルエンサーがいるので、そういう人たちを掘り起こすとか。日本だけで発信するのではなはなく、さまざまな国で発信する人を探して、鉱脈を掘って行くような緻密な戦略が必要だと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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